中途採用の募集方法と給与の設定方法、未経験者の採用における重要ポイントの解説!

2023/09/26

企業の成長や突然の人員不足などさまざまな状況に対応するために人員を補充する必要が生じます。中途採用はその一つの手段で必要となるケースはよくあります。
しかし、中途採用の担当者とっては、適切な選考方法や給与の設定方法など、頭を悩ませる課題も少なくありません。
この記事では中途採用について取り組む採用担当者向けに、中途採用におけるメリットとデメリットや募集の際の重要なポイント、注意すべき事項などを解説していきます。こちらを参考に採用担当者が自社の状況に最適な採用戦略を立てる一助となれば幸いです。

目次

  • 中途採用とその特徴
    1.現状に不満有り・経験がまだ少ない
    2.社会人としての経験がある
    3.これまでの実績を確認できる
    4.自社と競合他社を比較している
  • 新卒採用と中途採用が異なるポイント
    ・新卒のメリット・デメリット
    ・中途採用のメリット・デメリット
  • 中途採用募集で明確にするポイント
    1.必要な人材のイメージを作る
    2.どのような業務を担当するのか
    3.必要な経験とスキルは何か?
    4.入社後のキャリアパスを想定する
    5.募集要項を作成する
    6.給与は自社基準か前職基準か
    7.競合他社の求人と比較
  • 未経験者採用時の注意点について
    1.未経験者募集のメリット
    2.未経験者を評価するポイント
    3.これまでの経験の評価ポイント
  • まとめ

中途採用とその特徴

中途採用とは企業が既に何らかの就労経験を持つ人材を雇用することをいいます。
この定義をより明確にすると、「新卒採用以外の全ての人材採用」となり、企業が必要なタイミングで必要なスキルを持つ人材を見つける採用方法です。
中途採用を行う場合に念頭に置くべきは自社と候補者とのマッチングだけでなく、候補者が持つ特性や特徴について理解することも重要です。

候補者のバックグラウンドや思考パターンを具体的に理解することで、適したアプローチ方法やコミュニケーション手法が見えてきます。


 1.現状に不満有り・経験がまだ少ない

転職を検討する人の状況はそれぞれ異なりますが、その多くは何かしらの不満が存在しています。在職中の人の場合その不満は今の職場の環境や待遇に関するものであることが多いです。また、離職中の方の場合は、現在の状況に対する不満と共に将来に関しての不安も抱えていることがあります。

特に若い世代でこのような状況にある人に関しては、新卒と同様の育成型の中途採用を行っている企業もあります。これは若手や第二新卒と呼ばれる採用で、経験が少ないからといって見放すのではなく新卒採用と同じようにポテンシャルを重視して長期間にわたり研修・教育を実施して育てていくというものです。

また社会人としての素養がまだ足りない人に対しては、初めてのステップとして補助的な役割からスタートするという選択肢もあり、経験を積みながら自身の能力を高めていくことができます。

 2.社会人としての経験がある

すでに社会人として一定期間働いてきた経験を持つ人は、基本的なビジネスマナーについては習得しているといえるでしょう。これは、ビジネスでの振る舞いやマナー、プロフェッショナリズムについて一定の理解があることを意味します。

社会人経験があるということは、職場でのポジションやキャリアプランについて具体的な話を進めやすくするというメリットもあります。彼らが自身の能力と経験を認識しており、どのような役割やポジションが自分にとって最適かを理解しているからです。

もし企業が一定の社会人経験を持つ人材を採用することを考えている場合、即戦力として活躍できるキャリア採用や、若手や第二新卒を対象とした採用が適切なアプローチとなるでしょう。これらの採用は、経験豊富な人材を確保しつつも新鮮な視点やアイデアをもたらす若手の力を活用することで、組織全体のパフォーマンスを向上させる可能性があります。

 3.これまでの実績を確認できる

企業で優秀な実績を残してきた人々が転職を考えるとき、多くは現状を超えた待遇を求めていたり、やりがいのある仕事を求めています。彼らは企業にとって大きな価値を持つため、彼らの実績を十分に評価できる環境を整備することが必要です。

このような人材を対象に中途採用を検討する場合にはその人の経験を最大限に活かせる形態の採用が求められます。具体的には、その人のスキルを即時に活用できる即戦力型の採用や、長年の経験と知識を活かせるシニア採用が考えられます。

 4.自社と競合他社を比較している

転職活動を行う際は、候補となる複数企業を比較して応募先を絞り込むのが一般的なアプローチです。比較する基準となる要素は主に仕事の内容や給与、雇用の形態、休日といった条件があります。

一方で、企業側としては優秀な人材を競合他社に取られないようにするためにも、最初のステップとして自社の求人募集と競合他社の求人募集を確認し比較することが重要となります。

その結果をもとに転職を検討している人々のニーズに合わせた最適なアプローチ方法を見つけることが大切です。自社の魅力を最大限に引き立て、優秀な人材を自社に引き寄せることができるようになります。

新卒採用と中途採用が異なるポイント

人材の採用において、新卒採用と中途採用には下記のようなメリットとデメリットがあります。ひとつひとつ見ていきましょう。


 新卒のメリット・デメリット

【メリット】
・愛社精神が醸成される
新卒社員は初めての職場に就くことになります。そのため、自社の理念や企業文化を迷いなく受け入れ深く理解することが期待できます。結果として企業への愛着や忠誠心を持った社員に成長してくれるでしょう。

・組織が活性化する
企業のメンバーが長期間変わらないとマンネリ化し仕事のモチベーションが低下するというのは良くある話です。その結果、組織全体のパフォーマンス低下や業績の悪化につながる恐れもあります。
新卒社員を採用することで、新しい風が組織に吹き込み、組織全体が活性化できます。また新人教育に取り組むことで、いまいる社員も自身のスキルを磨き、組織全体に向上心が生まれやすくなります。

・新人研修の効率化
新入社員の教育は未来への投資とはいえコストがかかりますので出来るだけ抑えたいと考えていると思います。新卒社員は入社時期が同じなので、新人研修を一斉に行うことが可能で、結果として教育の効率化が進みます。特に大企業では、その効果が顕著に現れるでしょう。

【デメリット】
・採用プロセスが長い
新卒社員の採用は、一般的に広報開始から選考活動そして内定までに半年以上の期間を必要とします。より良い人材を獲得するためには、学生が自社への興味を持ってもらうために広報活動を早期から始める必要があります。そのため、選考開始前から母集団形成のための活動を始めなければ、思うような人材の確保が難しくなるでしょう。

・教育に時間がかかる
新卒社員は入社後に企業研修を受け、その後に徐々に具体的な業務を学んでいくのが一般的です。初めて社会人となる彼らは、はじめから戦力として活躍できるわけではなく、社会人としてのマナーや企業の商品やサービスを理解するための時間が必要となるでしょう。

・早期退職のリスク
新卒社員は学生から社会人への大きな環境変化に対応しなければなりません。その中で「自分とこの職場は合わない」と捉えられれば、その結果、早期退職する可能性もあります。

・ブランド力が求められる
新卒採用は企業が学生を選ぶだけでなく、学生自身も自分が働きたい企業を選びます。学生にとって魅力的なブランド力を持たない企業は、新卒採用において不利な立場になる可能性があり応募すらこないこともあり得ます。優秀な人材を確保するためには、企業自身が自社のブランド力を高め、魅力的な採用戦略を構築することが必要です。

 中途採用のメリット・デメリット

【メリット】
・新たな知識・スキル・人脈の獲得
中途採用では既に社会人経験を持つ人材を採用することで、その人がこれまでに身につけてきた知識・スキル・人脈などを獲得につながります。特に、異業種から転職してきた人材の場合、自社に新たな視点やアイデアを持ち込むことができるようかもしれません。

・即戦力
中途採用者は社会人としての基本的なビジネスマナーをすでに持っているため、即座に業務に取り組むことができます。特に同じ業界から転職してきた人材なら、業界特有の知識や経験を活かし直ちに業務に対応することが期待できます。ただ経験者だからといって過剰な期待を持つと、達成できない目標設定に繋がりかねないので注意が必要です。

・過去の実績を基にした採用判断ができる
中途採用では、応募者の過去の実績を見て人材を選ぶことができます。応募者が以前の職場でどの程度の業績を上げてきたかどのような貢献をしてきたかを評価し、採用することができます。

・短期間での採用が可能
中途採用は新卒採用に比べて採用までの期間が短いという特徴があります。転職希望者は常に新しい職場を探しているため、自社が求める人材がすぐに応募してくれる可能性があります。

【デメリット】
・企業文化に馴染めない
転職者が自社の企業文化に馴染めず、いままでの方法やスタイルを押しつけることがあります。これは早期退職につながる可能性があるため、面接時や採用後のフォローで柔軟性があるのかを確認し、採用後は適切なサポート体制を整えることがです。

・若手社員の育成問題
社内に中途採用者が多いと、業務はスムーズに進む一方で、若手人材が入社しづらい状況になることがあります。社員の若返り考えている場合、中途採用だけに依存せず新卒採用も含めたバランスの良い採用を心掛けることが必要です。

・早期退職のリスク
中途採用者の中には、抱いていた企業のイメージと実態が異なると感じ早期退職するケースもあります。転職回数が多い人材は、退職に対する抵抗感が少ない傾向があり選考時のチェックや面接での会社の内容についての情報提供が大切となります。

・高額な採用コスト
中途採用は新卒採用に比べて採用コストが高くなる傾向があります。人材紹介会社への手数料や求人広告費などが発生するためです。これらのコストを抑えるためには、求人広告の見直しや必要に応じてリファラル採用の導入などの工夫が必要となります。

※あわせて読みたい
・採用とは?人事の採用担当が知っておくべき、新卒・中途採用の基本

中途採用募集で明確にするポイント

企業が中途採用を実施する際、ポイントとなるのが求人票の作成です。ただ求人票を作成するにあたっては、企業が必要とする人材のイメージを明確にすることが必要です。では、具体的に何を明確にすべきなのでしょうか。

ここでは、中途採用の採用計画を作るにあたり明確にするべきことを説明します。


 1.必要な人材のイメージを作る

採用計画を進めるうえでの基本は、求める人材のイメージを明確に描くことです。

会社が必要としている人材が、高度な専門スキルを持つ人材なのかそれとも単純に人手が欠けているだけなのかを見極めることは、効率的な人材獲得に不可欠です。

採用活動でのミスマッチを防ぐためにも、明確に人材像を描くことがポイントです。

 2.どのような業務を担当するのか

採用した人材が担当する仕事の内容をあらかじめイメージすることは、非常なポイントとなります。これにより求める人材像がより鮮明になり、適切な採用戦略を立てることができるようになります。例えば、特定の専門知識や技術が必要な業務であれば、それに適合するスキルを持つ人材を求めることになるでしょう。また、マネージメント能力が求められる職務であれば、リーダーシップを発揮できる人材が適任となります。これらの事前のイメージ作りにより、採用活動がスムーズにすすみ企業の成長を支える人材を採用することができます。

 3.必要な経験とスキルは何か?

求める人材像が明確になった後は、必要な経験やスキルを明確にします。

未経験者でも問題なく受け入れ可能なのか、特定の資格は必要なのか、経験者を求める場合はどの程度のキャリアと、どんな業務がこなせることが求められるのかを明確にします。

ただ、ここで注意が必要なのはあまりにも詳細な条件を設定しすぎると、その条件に適合する人材を見つからない可能性もあります。

そのため、設定を行う時には転職市場の動向を調査し、その情報をもとに適切な条件を設定することが大切です。

 4.入社後のキャリアパスを想定する

入社するする中途採用者が具体的にどのような経験を積みどのような役職に昇進するかを前もって考えて考えておくことは、賛否が分かれます。

なぜなら、社員が実際に働き始めると事前に思い描いたキャリアパスが崩れてしまうことは少なくありません。予想外の業務変化や人間関係、スキルの伸びなど、様々な要素がキャリア形成に影響を及ぼすからです。

それでも、企業側が想定したキャリアパスがどおりになった場合には、それはひとつの成功事例として自社の財産になります。

想定外の結果になったとしても、その経験は次回以降の中途採用の際に活かすことができます。

 5.募集要項を作成する

募集要項を作成する場合の基本的な項目は、会社概要、雇用形態、具体的な職務内容、応募条件、必要資格、給与、そして福利厚生などです。

もし自社を他社と差別化したい場合は、自社の情報を追加することがおすすめします。

例えば、既に在籍する社員による中途入社者の体験談や、求める人物像についての詳細な説明、転勤の有無やその条件なども加えることで、応募者にとって理解しやすい募集要項となり、採用時のミスマッチも減らすことができるでしょう。

 6.給与は自社基準か前職基準か

企業がどのようにして給与を決定するかはそれぞれの会社によって異なります。多くの場合、企業は自社の給与基準に基づいて給与を設定します。これは、既存の給与体系があるため、一貫性を保つことが比較的容易だからです。

自社の基準で給与を決定する場合、中途入社者の年齢や経験年数を考慮に入れ、それを自社の既存の従業員と比較します。これにより、給与が客観的に適切であることを保証できます。

一方、前職の基準に基づいて給与を設定する場合もあります。これは、特に企業がその人材を強く必要と感じている場合に一般的です。前職での給与を保証することで、求職者を引きつけることができます。ただし、その額が自社の給与水準と比較して極端に高い場合、企業はその求職者と合意できる金額を見つけるために交渉する必要があります。

給与については、一度上げると容易に下げることができないため、給与設定に関する説明は重要です。つまり、企業はなぜその給与額になったのかを明確に説明し、求職者が納得できるようにすることが必要です。これは、給与設定における透明性と公正性を保つための重要なステップです。

 7.競合他社の求人と比較

自社の求人票の作成が終わったら、情報の抜け漏れがないかを再確認することが大切です。
求人票の再確認では、採用担当者が自分自身を求職者の立場に置いて、何を求めているかを理解し、それに基づいて客観的に求人票を見つめ直すことが必要です。

そして、その上で、自社と競争関係にある他社の求人情報と比較することが重要なポイントとなります。競合他社の求人情報が自社のものより魅力的に見えてしまうと、自社への応募者が減る可能性があります。

可能な範囲での条件緩和や待遇面での改善等、採用を希望する人々が自社を選ぶような工夫を行うことが大切です。採用担当者が自分自身が応募したいと思うような求人票を作成することを目指しましょう。

未経験者採用時の注意点について

企業が人材不足に直面している場合、従来の経験者のみを対象とした採用活動ではなく未経験者へ目を向けてみるのも方法です。未経験者の採用には予想以上のメリットが存在しているのです。
では、その具体的なチェックポイントについて一緒に見ていきましょう。


 1.未経験者募集のメリット

企業が求人を募る際、未経験者も募集することには多くの利点があります。その一つとして、母集団を広げることが可能になります。

多様な背景を持つ人材が集まる中から、自社のニーズにマッチした個性とスキルを持つ人物を見つける可能性が高まるということです。

さらに、未経験者の中には、新たな挑戦に対する情熱と意欲が溢れている人材がいることもあります。彼らは新しい業界や職種に対する強い興味と全力で取り組む姿勢を持っているため、学習力も高く、業務内容を素早く理解し、自社の重要な一員となる可能性があります。

未経験者を採用することは、企業にとって新たな視点やアイデアを引き入れ、組織の活性化につながる大きな機会となりえます。

 2.未経験者を評価するポイント

未経験者を採用する時に、その人物を評価する上で重要な視点となるのが、彼らが自社に対して興味関心を持っているか、または業界に対してどれだけ興味関心を持っているか、の2つに分かれます。
両方のタイプともに評価できますが、特に自社に強い興味を持っているタイプの未経験者は、その情熱が自社の成長を後押しする可能性があるため、より高い評価を受けることが多いです。

さらに、応募者が自社や業界について深く調べているかどうかを確認するのも重要です。彼らが自分自身で会社や業界のことを調べていて、会社や業界の知識を深めていることは、その意欲と能力を示すものであり、これもまた高い評価を受けるポイントです。

 3.これまでの経験の評価ポイント

業界未経験の候補者を評価するとき、その人が他の業界で得た経験は重要な基準になります。

彼らの評価をする時、ただ長年にわたる勤続年数や特定の職務経験年数を単純に数え上げるだけではなく、前職での具体的な成果を評価することもポイントです。

候補者が過去に複数の会社で働いていた場合、その人の職務が一貫性を持っていて、その間に何か矛盾が見られないかを確認することも、適切な評価を行うための重要な視点です。

まとめ

中途採用は、企業が直面している人手不足や欠員などの課題を解消するための重要な手段となります。企業の成長や変革を遂げるためには新たな人材が必要となる場合もあります。その際、中途採用は他の会社や他の業界で得た新たな視点やスキルを持った人材を迎え入れる機会となります。

ただし、中途採用を成功させるためには、短期間で質の高い応募者を集めることが不可欠です。そのための効率的な手段として求人サイトの活用が欠かせません。求人サイトは広範な求職者にリーチすることが可能で、自社の求人情報を効果的に発信できます。