介護業界での人手不足問題を解決するための4つの採用のポイントとは

2023/12/13

介護業界の人材獲得は他の産業と比べて難易度が高いと言われています。その背後には3.9倍という驚異的な有効求人倍率があり、これは全業種と比較して2倍以上もの高さです。人手不足が深刻な状況にあるだけでなく、雇用後の定着率の低さも大きな課題として存在しています。多くの介護施設がこの二つの問題に直面し、解決策を模索しています。

では、介護業界の雇用状況を改善するにはどのような手法が有効なのでしょうか。この記事では、介護業界が直面する人材採用の問題と、その解決の糸口になるポイントを4つご紹介します。

もくじ

なぜ介護業界は採用が難しいのか

介護業界における新規の人材採用が難しいとされる背景には、何が存在するのでしょうか。その複雑な問題解決のために、困難を引き起こしている主な要素について深く掘り下げてみましょう。

1. 3K職場のイメージ

介護業界においては、過酷、不衛生、危険、という三つの要素が揃った「3K職場」のイメージが強く存在します。ここでいう過酷さと不衛生さは、主に「入浴介助・食事介助・排泄介助」、いわゆる介護の三大要素に関連しています。これらは介護職に就く上で避けられない業務内容であり、その困難さが3K職場のイメージを形成しています。

さらに、介護業務は体力的な負担が伴うだけでなく、介護者自体が物理的なリスクを負うこともあります。例えば、介護作業中に腰を痛める事例や、認知症のある被介護者から怪我を負う可能性が挙げられます。また、被介護者が転倒したり、迷子になったり、突然の体調変化に対応しなければならないという危険な状況に遭遇することもあります。

これらの業務の難易度が高いために、人材が不足しているにも関わらず、求人に対する応募が思うように集まらないという状況が生じています。

2. 他業種と比べて低賃金であること

介護職の報酬がその厳しい労働条件に見合わないほど低いことは、広く認知された現実です。

厚生労働省の2018年の調査結果によれば、介護職の給与が初めて平均30万円を超えたと報告されています。しかし、この数字はボーナスや臨時の手当を含む総額から計算されているため、実際に月給として30万円を受け取っている介護職員は稀だと言えます。

さらに、年齢による昇給がほとんど見込めないこの業界では、40代や50代でも月給が20万円台前半からスタートするところが多いのが現状です。このような給与体系は、他の業種と比較しても断然低く、介護職の厳しい現場環境と比べて十分な報酬が得られていないと感じる人も少なくないでしょう。

3. 直接雇用のメリットが少ない

介護の現場において、長期間働き続け、介護福祉士等の資格を持つ介護職員は、その技術力と知識が評価され、非常に重要な存在となります。しかし、驚くことに、このような高いスキルを持つ介護士の多くは、直接雇用よりも派遣会社を通じて働くことを選択しているのです。

その理由の一つは、介護職員の需給バランスにあります。介護業界では人手が常に不足しており、派遣介護士の需要が尽きることはまずないと言えます。したがって、派遣という形で働き続けることは、安定した雇用を保つための手段ともなります。

さらに、直接雇用に比べて派遣で働くことで得られる収入が倍近くになる場合もあるという事実も、派遣を選択する大きな要因となっています。これは、派遣会社が企業との交渉により高い報酬を確保することができるからです。

また、直接雇用では現場での人間関係にストレスを感じることもありますが、派遣会社を通して働くことで、そのようなストレスを軽減することが可能です。派遣会社を通じて働くことで、より自分のペースで仕事を進めることができ、結果として心地よい職場環境を維持することができると感じる介護士も少なくありません。

なぜ介護業界で人材が定着しないのか

介護業界では新たに入社した人材がすぐに辞めてしまう事例が多いという問題があります。この現象の背後には何があるのでしょうか。厚生労働省による令和元年の統計データによれば、離職した人の約65%が入社後3年以内に辞めており、その中でも40%近くが1年未満で退職しています。これは、一度介護職に就いたとしても、その環境に長く留まることが難しいという現状を示しています。つまり、新たな人材を確保するだけでなく、その人材を確保した後に定着させるという課題が、介護業界における人材確保の大きな障害となっています。

1. 介護業界でのミスマッチで入職している

介護産業は、その労働力不足から来る状況により、あらゆる人材を受け入れる傾向があります。職歴や学歴などの基準を問わないことから、他の雇用市場では選考を通過しきれない人材でも、介護業界では採用される可能性が非常に高いのです。

しかしながら、「とにかく仕事があればそれでいい」という考えの人材は、介護業界特有の厳しい労働条件を十分に理解していない場合が多いです。

「実際に働いてみたら、排泄介助が受け入れがたかった」、「高齢者や障害者に対して不適切な行動をとった」等、適性や倫理的な問題から業務を続けることができない人材も、未経験からの採用では相当数存在します。

このような人材は、彼らの技能や適性が仕事と合致せず、早期退職に至るミスマッチな人材となります。これは企業にとっても、人材にとっても、よい結果を生まないため、採用の際には適性の確認や職業理解の深化を促すことが重要となります。

2. 入社前のイメージと違う

採用界隈では、厳しい現実に対するイメージを払拭するために、現場の実態とは異なる理想化された語彙や写真、業務状況を美化して求人を出す組織が存在することが知られています。しかしこのような手法は、短期間の採用は可能かもしれませんが、長期的な視野に立つと良好な成果をもたらすとは言えません。

加えて、求人を出す人事部や事務担当者が現場の実態を十分に理解していないために、実際の状況とは異なる採用手法を展開してしまうケースも少なくありません。これも、新入社員の早期退職を引き起こす要因となります。

3. 賃金が割に合わないと感じる

賃金についての問題は介護職において大きな懸念事項となっています。一部の労働者は介護の職務に対する適性があり、長期にわたって勤務したいと考えていますが、昇給の見込みがほとんどなく、キャリアアップの機会も少ない職場では、高い能力を持つ介護職員は離職しやすくなります。

多くの職場では、職員のスキル向上のために資格取得や外部研修の受講を推奨し、その費用は施設が負担することがほとんどです。しかし、休日や業務時間外に研修のための時間を使い、それに対する昇進や昇給の見返りが少ないと感じると、労働者は報酬が適切ではないと感じるかもしれません。

長期間働いても大きな昇給はほとんど期待できず、その結果、高い能力を持つ介護士は、より高賃金の介護施設や管理職への採用を目指して他の場所へ移ることが多くなります。また、他の業種で働く能力がある場合、介護業界全体を離れることも増えてきています。このような現状を受けて、介護業界では賃金に対する再評価が求められています。

人手不足問題解決への取り組み4つのポイント

これまでに、介護業界における人材不足の厳しい現状について詳しく触れてきました。この問題は、一筋縄ではいかない難題であることが明らかです。しかし、ただ悲観的になるだけでは何も解決しません。より高い採用率と定着率を達成するための戦略を考え、行動に移すことが重要です。それでは、具体的にどのようなアプローチが有効なのでしょうか?今回は、そのための4つのポイントについてお伝えします。

1. 業務内容を事前に明確に伝える

採用では、求職者と職場のミスマッチが離職率を高める一因となります。この問題を解消するために最も重要な事は、採用選考の段階で業務内容を候補者にしっかりと理解してもらうことです。

特に、未経験者が多い介護業界では、候補者が「食事介助・入浴介助・排泄介助」の三大介護について十分な理解を持っていない可能性が高いため、これらの業務に対する適性や心情的な抵抗を確認することが必須となります。

さらに、介護業界はチームでの作業が主体なため、コミュニケーションスキルも重要な要素となります。コミュニケーションが苦手な人は、この業界には向いていないかもしれません。

また、要介護度が高い入居者が多い施設では、内部の情報を外部に公開することを敬遠する傾向があります。しかし、採用候補者に対しては施設の現場を見学させることが必要です。施設によっては、選考過程で1〜2日間、現場の体験を許可する制度を導入しているところもあります。これにより、応募者は実際の仕事の雰囲気を肌で感じることができ、より具体的な業務内容を理解することが可能となります。

2. 現場の要望を反映させた採用活動を行う

多くの企業では、採用活動は本社が中心で行われ、採用の現場と直接関わりのない部署が募集のプロセスを一手に引き受けることが多いです。これは、事務所と採用現場が物理的に離れていることや、組織的な問題から生じることが少なくありません。その結果、採用活動が現場の実際のニーズを十分に反映していないという問題が生じます。

このような状況では、採用の目標が単に人員不足の解消、つまり「人数の穴埋め」になりがちです。しかし、そうした短期的な視点からの採用活動は、採用後に現場と新人との間にミスマッチが発生するリスクを高め、結果的には早期離職につながる可能性があります。

それを防ぐためにも、採用活動においては現場の要望をしっかりと踏まえることが重要です。具体的には、採用活動を始める前に現場のニーズをヒアリングし、面接には現場の責任者を同席させるなどの取り組みが有効です。これにより、現場の実情に基づいた採用が可能となり、現場と新人とのミスマッチを最小限に抑えることができます。

3. 入社前後の不安感を完全に解消する

新たな職場への挑戦は、未経験者にとって大きな一歩であり、その背中を押す「不確定要素」が内定後の辞退や入社後の早期離職に直結することがあります。多くの場合、彼らは「自分にはこの仕事が本当に適しているのだろうか」という不安を抱えています。

これらの不安要素は、身体的な負担、サポート体制の有無、上司や同働者との人間関係、職場の雰囲気など、多岐にわたります。これらが積み重なると、結果的に早期離職へと繋がる「スイッチ」が入ってしまう可能性があります。

したがって、企業としては内定後や入社後のフォローが重要となります。新入社員の不安を解消し、明確なキャリアパスを示すことで自信を持って仕事に取り組むことができるよう支援する必要があります。

特に、新入社員が自立するまでの研修プロセスは非常に重要です。ベテラン社員に一任するという方法は、その社員が退職した場合などに問題が生じる可能性があります。そのため、チーム全体で研修体制を構築し、新入社員が安心して働ける環境を整えることが必要です。

4. 表彰式などでのモチベーションアップ

賃金に関する問題は、短期間で解決することが難しいというのが現実です。給与が上昇し、昇給や昇格への明確な道筋が示されている場合、それが長期的な就労意欲を高める原動力になるのは事実ですが、多くの職場ではそのような状況は期待できません。

そうした状況下で、働く人たちのモチベーションを高める効果的な手段として、職員の成果を認め、表彰することが挙げられます。特に努力を重ねて成果を上げた職員や、日々の業務に精労している職員を対象に、その努力や成果を正当に評価し、表彰することで、その人の労働意欲を活性化させることができます。

特に、介護の現場においては、数字による定量的な評価が困難な場合が多いですが、そうした中で職員の日々の努力や成果を表彰という形で認知し、称賛することによって、その人のモチベーションを引き上げることが可能となります。

まとめ

介護業界での人手不足を克服するためには、雇用と定着、それぞれの問題を解決することが重要です。特に早期退職の問題は、採用時の対応により軽減可能であると言えます。

適性を見極め、企業の魅力を十二分に伝えるためのシステムが求められています。その結果、企業にフィットする多くの応募者を獲得し、その中から選考を進めるというアプローチが最適と考えられます。そのために、採用ホームページ制作の「リクデザ」がおすすめです。リクデザは徹底的なヒアリングにより、企業の隠れた魅力を引き出し、それを求職者に向けて伝えるホームページを制作します。これにより、以前は0.5%だった応募率が2.6%まで、5倍以上に改善した福祉系企業もあるとのことです。したがって、介護職の採用に頭を悩ませている方は、一度リクデザにご相談することをお勧めします。
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