採用活動におけるデータ分析手法とは?推奨ツールも詳しく紹介

2023/07/31

人材採用のプロセスは、単に求人広告を掲載するだけでは終わりません。期待する成果を達成するためには、広告の投稿だけでなく、その結果をしっかりと分析し、反省点を見つけて改善することが必要になります。

具体的には、自社の採用過程を検証し、求人への応募者数や求人情報の閲覧数など、採用に関わる様々なデータを深堀りして分析することが必要です。これにより、採用活動の改善点を明らかにし、より効果的な採用戦略を練ることが出来るようになります。

本記事では、データ分析を通じて得られる採用活動のメリットを含め、採用過程でのデータ分析の具体的な方法と、その実行に役立つツールの紹介を行います。これらの情報を活用し、より効果的な採用活動を計画しましょう。

目次

データ分析を活用した採用活動の2つの大きなメリット

現代では、データ分析の重要性がますます高まっています。特に人材採用の分野でも、その威力を発揮しています。今回は、採用活動におけるデータ分析の利用がもたらす、具体的なメリットを2つご紹介します。これらの視点から採用活動を見直し、より質の高い人材獲得につなげるための参考にしていただけますと幸いです。

1 採用の効率化を実現できる

人材採用における活動を慎重にデータ分析することで、直感的に採用活動の課題を解決する道が開かれます。

全体の流れを追うことで、求人広告の掲載から具体的な人材を一人採用するまでの過程において、「どの部分に時間が多く消費されたのか」「どのような問題により進行が遅れたのか」等、効率的な採用活動を行う上で課題である部分が明らかになります。これにより、課題点の特定がスムーズに行えるわけです。

業務に関わる問題だけでなく、応募者の年齢や性別、キャリアアップ志向やプライベートの重視度といった、就職に対する応募者の取り組み方や視点などのデータも得ることが可能となります。

このような応募者のデータを詳細に分析することで、自社が最も求めている人材からの応募が増加するように、採用方法を適切に調整することが出来るようになります。そして、「自社が望む人材からの注目度は高まっているか」「望む人材からの応募数は増えているか」等、その効果を検証することも可能になります。

採用活動のデータをきちんと分析すれば、採用業務の効率化や採用活動のスピードアップを実現することができるでしょう。

2 採用コストのカットができる

採用活動は、企業にとって重要なプロセスでありますし、多くのコストがかかる項目でもあります。その主な項目は以下のようなものです。

・求人広告の掲載や採用エージェントの利用に伴う料金
・採用イベントの開催に必要な経費
・1人の新入社員を採用するための費用(採用単価)


これらの各項目にかかった費用と、その結果として得られた採用効果を比較することで、無駄な出費が発生している部分や、よりコストパフォーマンスの良いサービスが利用できる可能性がある点を見つけることが可能になります。

例えば、求人広告の掲載費用や採用エージェントの料金、採用イベントの経費などは、企業ごとに設定される予算に差があることは事実です。しかし、限られた予算内で最大限の採用効果を得るためには、各費用対効果をしっかりと分析し、コストを最小限に抑えることが求められます。

また、全ての採用活動にかかった費用を把握することで、「全体の総採用費用÷採用人数」により1人当たりの採用単価を算出することも可能です。これにより、採用活動の効率性を評価し、必要な改善策を考える一助となります。

分析対象となる4つの採用データ

人材の採用活動においてデータの分析は重要な役割を果たします。しかし、その重要性が理解できたとしても、具体的にどの部分を対象に分析を行うべきかがわからないという方も多いでしょう。

そこで、ここでは、一人の人材を採用するまでのプロセスにおいて重要なポイントを把握するために必要となるデータ分析の項目を4つご紹介します。これらの項目を押さえて分析を行うことで、より適切な採用活動を実施することに繋がります。

1 応募者数と応募経路

採用を成功させるためには、応募者がどの経路を通じて選考に参加したかを把握し、それぞれの経路からどれだけの応募者が集まったかを確認し、応募率を計算することが重要です。

応募者数と応募経路を深く理解し、分析することで、費用対効果の高い経路や、自社に適した人材を見つけやすい経路を特定することが可能となります。これにより、採用活動にかかる経費や時間を有効に活用することが可能となります。

具体的に分析するべき項目は以下の通りです。

・応募数、求人媒体別の応募数、応募経路に関する情報
・求人広告や自社採用サイトなどのページビューの総数
・全体としての総応募数
・職種ごとの応募数

主な応募経路としては、求人広告、大学の就職支援部、人材紹介エージェンシー、公共職業安定所(ハローワーク)、自社の採用サイトなどがあります。

それに加えて、企業説明会の開催回数、企業説明会からのエントリー数、オンラインやオフラインでの各種イベントからの応募数、合同説明会からの応募数なども詳細に把握しましょう。

また、人材紹介エージェンシーを利用している場合は、「どの担当者から紹介された応募者を採用できたか」「費用対効果が高かったエージェンシーはどこか」などのデータも収集します。

「どの種類の応募者がどの経路を通じて応募してきたのか」「どの経路からの採用率が高かったか」などの情報を数値化することで、自社にフィットする応募者がどの経路から応募してくるのかを理解することができます。これにより、より効率的な採用活動を展開することが可能となります。

2 選考プロセスについて

選考段階での進行状況と、いわゆる「歩留まり」の割合を計算しましょう。

「歩留まり」という単語は、製造業などの生産全体で使われ、原材料や素材の投入量に対する実際に生み出された製品の数量の比率を示します。採用活動での「歩留まり」は、「応募⇒選考⇒内定⇒内定承諾」の一連の採用フローで、各段階に進む人数の割合を指しています。

例を挙げると、書類選考に進む人数が10人で、それから5人が次のステップに進んだとすれば、書類選考の歩留まり率は50%となります。

分析すべき選考の段階や数値、選考データの例として、一般的なものは以下のとおりです。

採用における歩留まり率は、低いほど理想的ですが、「他社からの内定が早かった」「求人の掲載内容と実際の状況が合致していなかった」「社風が自分に合わないと感じた」などの理由から、必ずしもそうはならないものです。

ただし、歩留まりが悪いというデータだけを見ても、問題の本質を見つけ出すのは難しいです。採用プロセスのどの部分で歩留まりが悪かったのかを明らかにすることが重要です。

例えば、2次選考の合格者から最終面接に進む人数の歩留まりが低い場合、「面接日に来られなかった」「面接前に辞退する旨の連絡があった」など、応募者の都合で進行できなかった可能性があります。

このような状況では、「最終面接まで進んでもらう」ために、応募者に対して自社の魅力や働きやすさを強調し、入社に対する動機付けを促すことが重要となります。

各採用プロセスの歩留まりの原因と改善策は多岐にわたるため、まずはどの段階で歩留まりが起きているのかを、データ分析を通じて理解することがスムーズな問題解決の第一歩となります。

3 採用にかかるコスト

製造業などでは「歩留まり」という言葉を使い、これは原材料から完成品までの生産過程でどれだけ効率良く変換できたかを示す指標です。同じように、採用活動における歩留まりは「応募から選考、内定、そして最終的に内定承諾に至るまでの過程」で、進行した候補者の割合を意味します。

採用コストは大別すると「外部コスト」と「内部コスト」の2つに分けられ、それぞれは「どの部分にかかったコストなのか」を基準に分類されます。

それでは具体的に何が外部コストや内部コストに含まれるのか見てみましょう。

外部コスト
・求人広告を掲載するための費用
・人材紹介会社を通じて採用成功を収めた際の報酬
・ダイレクトリクルーティングの利用費
・自社の採用ページやパンフレットなど、採用に関連するツールの制作費
・面接時に候補者に支払う交通費
・オンライン面接ツールの使用費


内部コスト
・採用担当者の人件費
・部門責任者や役員が面接のために費やす時間
・社員が採用活動に費やす時間を金額に換算したもの
・従業員へのリファラル(社員紹介)採用の報酬


これらの採用コストを適切に管理・把握することは、全体の採用活動を効率的に運営するために不可欠です。

「どの部分にどれだけの負担や時間、コストがかかっているのか」を明確に知ることで、データ分析を行いやすくなります。

そして、それぞれの採用活動でどれだけのコストが発生しているのかを計算することで、費用対効果が低い活動を特定し、採用コストを改善する道筋を見つけることが可能になります。

4 人件費や採用活動の対応時間

人材を採用するための業務では、人件費や採用活動にかかる時間が大きな経済的負担となります。これらの要素は全てコストとして認識し、適切な分析を行うことが求められます。

採用業務においては、面接の対応だけでなく、メールの作成や返信、面接日程の調整等の事前準備における対応時間も無視することはできません。これらもまた、企業の貴重なリソースである時間を消費する要素となります。

人件費と採用活動対応時間の分析には、以下の要素が含まれます。

・採用業務を行った社員の人件費と対応時間
・人事部門の人数、OB・OG訪問を行ったり、リクルーターとして活動する社員の数とその対応時間
・求人サイトの営業や採用コンサルタントとの打ち合わせ時間、スカウトメールの作成時間など

これらの要素は全て、採用活動におけるコストとして把握し、適切に分析することが求められます。それにより、採用活動をより効率的に行うための改善策を見つけ出し、業務をスムーズに進めるための道筋を描くことが可能となります。

分析データの採用業務への5つの活用方法

採用活動の結果から得られるデータは、それ自体が非常に価値のある情報源です。しかし、そのデータを適切に活用できなければ、その価値は単なる無用の長物となってしまいます。そこで、得られたデータを有効に活用するための方法を具体的に説明していきましょう。この知識を身につけることで、採用活動の効率化や成功率の向上につながるかもしれません。

1 費用対効果の高い媒体を理解する

複数の求人媒体を駆使している場合、それぞれの媒体に関する全体の費用だけでなく、その費用に対する成果もデータ分析を通じて詳しく把握することで、各求人媒体がどれだけの費用を必要としたのかを明確にすることが可能になります。

それぞれの求人媒体にかかった費用と採用された人数を、「1つの媒体に必要なコスト÷採用された人数」という計算式を用いることで、採用にかかったコストを算出します。これにより、どの求人媒体が最もコストパフォーマンスが高いのかを見つけ出すことができます。

具体的な例を挙げますと、求人媒体Aで必要とされたコストが200万円で、採用人数が2人だった場合、採用にかかったコストは100万円となります。一方、求人媒体Bで必要とされたコストが80万円で、採用人数が4人だった場合、採用にかかったコストは20万円となります。

もしも費用対効果が低い媒体があった場合、その求人内容を再考したり、有料プランの変更を検討したりといった改善策を講じるか、効果が低いサービスの利用を見直し、より効果が高いものに絞り込むことで、予算配分を適切に行うことができ、結果として採用コストの削減が可能となります。

2 選考辞退や内定辞退者を減少させる

人材採用のプロセスにおいて、選考辞退や内定辞退が多く見られる場合、それはそのプロセスに何かしらの問題が存在している可能性が高いです。その問題を探るためには、データ分析が有効です。具体的には、辞退者が多い採用プロセスを特定し、その歩留まり率が低い箇所を見つけ出せば、改善に繋がることでしょう。

歩留まり率が低い採用プロセスには、それぞれ異なる課題が存在する可能性があります。その課題に適した解決策を適用することが重要となります。

例として、企業説明会からエントリーまでの段階で歩留まり率が低いとしましょう。これは、説明会を経てエントリーを辞退する人々が比較的多いことを意味します。この場合、説明会の内容の再検討や、エントリーへの誘導方法の改良などが求められます。

辞退が多い箇所、つまり歩留まり率が低い部分を特定できれば、どこをどのように改善すべきかという採用上の課題が明らかになります。歩留まり率を上手に管理し、問題を修正すれば、採用成功への道筋が見えてくるでしょう。このようなアプローチは、選考辞退や内定辞退を減らすための重要な手段となります。

3 社員の早期退職を防ぐ

新入社員の早期退職者が増加しているという問題は、企業が採用した人材との適合性がうまくいっていない可能性を示しています。

過去に採用された人材に関する情報を取り出し、分析することで、企業の理想とする人材像を再定義することが可能となります。これにより、新入社員の早期退職を防ぐ策を立てることができるでしょう。

厚生労働省が行った令和2年の雇用動向調査「転職入職者が前職を辞めた理由」によれば、早期退職の主な理由として以下の3つが挙げられます。

・労働時間、休日、給与などの労働条件に対する不満
・仕事の内容が自分に合わないと感じる
・職場の人間関係が良好でない


新入社員が当初、自社を志望した理由を再度分析することで、どのような候補者が早期退職する傾向にあるのかを特定することが可能となります。その結果、適切な人材の採用とミスマッチの防止のための最適な対策を講じるための手掛かりを得ることができます。

参考:-令和2年雇用動向調査結果の概況-
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/index.html

4 採用人材の偏りを無くす

人材採用をする際には、彼らの特性を深堀りすることが必要です。これには、個々の行動様式、性格、業務処理能力といった特性の分析が含まれます。データを元にしたこれらの分析を通じて、採用される人材の特性に偏りが生じることを防ぐことができます。

採用プロセスでは通常、複数の選考回数が設けられます。求職者はこれらの選考の過程で数えきれないほどの面接官と接触します。しかし、それぞれの面接官は異なる価値観を持ち、求職者に対する印象も一様ではありません。

同じ候補者を評価したとしても、Aと名乗る面接官からは高評価を得られるかもしれませんが、一方でBという面接官からは低評価を受けることもあります。これは避けられない現象です。

選考プロセスにおいては、公平性が重要な要素となります。面接官の主観的な評価により、本来企業が必要としている人材が選考から除外されたり、逆に企業の文化に合わない人材が選考を通過してしまったりする事態は、絶対に避けるべきです。

公平性を損なう可能性のある採用が発生しないようにするためには、主観が介入せず、誰もが公平と認める採用基準を設けることが必要となります。これが、採用する人材の偏りを防ぎ、企業の成長を支えるための重要なステップとなります。

5 PDCAサイクルに基づいて検証を行う

PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の英語の頭文字を組み合わせたもので、これは業務フローの中で計画から改善までの一連のプロセスを体現しています。これを繰り返すことで業績の向上や問題の解消を図る手法をPDCAサイクルと呼びます。

人材ビジネスにおいて、採用データを有効活用するためには、このPDCAサイクルに従い、仮説を立てて検証を行うことが重要です。

採用データを基に改善策を見つけ出すだけでなく、それを実行し、結果を評価し、必要に応じて修正するといった一連の流れを経ることで、初めて有意義な結果が得られます。

予測を立てて行動し、その結果を評価することなくしては、結果が得られたかどうかの判断が難しくなります。採用活動における新たな課題が次々と浮上してくる中で、それらを効果的に改善し続けるためにも、PDCAサイクルの適用は非常に有効と言えるでしょう。

データ分析に活用できるお勧めツールの3選

ここからは、データ分析に有効なツールを3つ紹介します。

1 採用管理システムについて

採用管理システムは、求職者の応募から最終的な採用までの全プロセスを一つのシステム上で集中管理できる便利なツールです。これは英語では「Applicant Tracking System(ATS)」と呼ばれ、直訳すると「応募者追跡システム」となります。

採用管理システムの利点として、応募件数や応募者の個人情報、面接のスケジュールなどを管理できるだけでなく、応募者とのメールのやり取りも同一システム上で行うことができます。これにより、面接官との間で応募者のデータを簡単に共有でき、履歴書のコピーを渡すといった手間を省くことが可能です。

さらに、面接後の評価や進捗状況を経営陣と共有することも簡単になります。入社を決めた応募者の応募経路が明確になるという利点もあり、これらのデータを蓄積し、分析に活用することができます。

具体的な採用管理システムとしては、HRMOS株式会社ビズリーチが提供する「HRMOS」が挙げられます。ビズリーチ社が運営する求人媒体「ビズリーチ」や求人検索エンジン「スタンバイ」と連携することが可能で、媒体別や転職エージェント別の紹介実績や選考通過率などを数値化し、グラフによって見易く表示することができます。これにより、初めてデータ分析を行う人でも手軽に分析を行うことができるのが大きな特徴です。

2 Googleアナリティクスについて

Googleアナリティクスは、Googleが開発したデータ分析ツールで、このツールを活用することで、「訪問者がどのような経路で我々のサイトにアクセスしてきたのか」や「訪問者が最も閲覧したページはどこなのか」といった情報を詳細に分析することが可能となります。

特に、自社で採用サイトを運営している場合、Googleアナリティクスは非常に役立つツールとなります。「どのページが求職者にとって魅力的だったのか」、「どの経路を通じて応募ボタンをクリックするに至ったのか」という情報を得ることができます。これらの情報は、採用サイトの最適化や改善に非常に重要な役割を果たします。つまり、Googleアナリティクスは、採用活動をより効果的に行うための必須ツールと言えるでしょう。

3 ジョブカンについて

ジョブカンとは、採用プロセスを一元管理するためのシステムの一種で、その中でも特に採用に関するウェブサイトを自分たちで作成することができるという点が特徴的です。

このシステムは、その操作方法が非常に直感的で分かりやすいため、初めて使用する人でもすぐに慣れることができます。その結果、中途採用からパートタイムの採用、そして新卒採用に至るまで、幅広い採用活動に対応することが可能となります。また、複数の求人媒体を用いての採用活動を一括管理することも可能なため、採用プロセス全体を効率的に運営することができます。

さらに、面接が終わった後には、面接官がジョブカンの採用管理システムに結果を入力するだけで、その結果が採用活動に関わる全ての社員と共有されます。これにより、社員間の情報共有がスムーズになり、採用活動全体の進行をよりスピーディーかつ効率的に行うことができます。

まとめ

優れた人材を確保したいと考えている企業にとって、採用活動をより効率的に進めるための一つの手段がデータ分析です。この分析により、問題点や改善すべき箇所を詳細に把握することが可能となります。

しかし、単にデータを分析しただけでは十分ではありません。分析から得られた知見を基に、具体的な改善策を立案し実践することが求められます。これが真の意味でのデータ活用と言えるでしょう。

この記事が、採用活動におけるデータ分析の導入を検討している方々の参考になれば幸いです。データに基づいた効率的な人材採用を目指し、是非とも試みてみてください。