中小企業の採用課題:求人への応募が来ない3つの理由と7つの改善策

2023/08/04

中小企業における採用の難しさは、多くの採用担当者が頭を悩ませる課題の一つでしょう。「なぜ我が社の求人募集に応募者がほとんどいないのか?」「応募者数を増やすための具体的な手段は何なのか?」といった疑問を持つ方は多いはずです。

求人応募の少なさが指摘される際、その原因は主に採用に関する情報の鮮度や内容に起因することが多いです。具体的には、古い情報を掲載したままであったり、求人広告の内容が魅力を伝えきれていないなどが考えられます。

この記事では、中小企業の人材確保における厳しい現状から始まり、求人応募が少ない背後にある理由と、その問題を解消するための具体的なアプローチについて詳しく解説します。

さらに、中小企業の採用における成功の秘訣とも言うべき、効果的な採用方法も最後にご紹介します。ぜひ、記事の最後までお付き合いいただき、貴社の採用活動に役立ててください。

目次

中小企業の人手不足と求人の背景

現在の採用状況は、少子高齢化とそれに伴う労働人口の減少により、求職者が有利な状況、つまり売り手市場となっています。

「我が国の高齢化推移と将来推計」という総務省の報告によれば、毎年、日本の全人口が減っており、その中で高齢者の割合が増えていることが明らかになっています。

2010年時点では全人口の23%が高齢者でしたが、2060年には39.9%、つまり日本の2~3人に1人が高齢者となると予測されています。

また、みずほ総合研究所の「少子高齢化で労働力人口4割減、女性労働力率の男性並み引上げを」という調査では、労働力人口(15歳~64歳)が年々減少していることが示されています。

2016年時点で60%、約6600万人だった労働人口は、2060年には49.9%、約4100万人まで減少すると見込まれています。

このような状況の中、特に中小企業の人材不足は深刻な問題となっています。

厚生労働省の「我が国を取り巻く人手不足等の現状-人手不足の現状-」によると、大企業の人手不足感は約-23%であるのに対し、中小企業では約-39%となっています。

求職者の多くは、大企業の提供する安定性やワークライフバランスを重視しています。

中小企業では、求職者の大企業志向に対抗し、社内の福利厚生や労働環境を改善するために必要なコストを大幅に割くことが難しく、その結果、求職者が大企業に流れてしまう傾向があります。

さらに、中小企業庁の「次世代への引継ぎ(事業承継)」調査によれば、高齢者の退職により何らかの影響を受ける中小企業は54.8%にのぼります。従業員の高齢化と高齢者の退職は、中小企業の人手不足をさらに深刻化させる大きな要因となっています。

中小企業への求人応募が来ない3つの理由

現在の労働市場は求職者が主導権を握っていると言われています。それにも関わらず、求人に対する応募が思うように集まらないのは、中小企業特有の問題が存在しているからだと推測されます。

この記事では、大手企業や他の競合と比較して、なぜ中小企業が求人応募を引き寄せにくいのかという問題点について、具体的な3つの理由を詳しく解説していきます。

認知度が低く、企業情報が伝わり切っていない

数多く存在する中小企業の中には、企業の宣伝や広報活動に対するリソースや費用が限られており、情報が十分に発信されていないという問題が見受けられます。

それが原因で、大手の企業に比べて認知度が低く、自社の成果や魅力をうまく外部に伝えることができていないという現状が存在します。

この情報発信が不足している状況は、企業の業績や社名そのものが求職者に知られていない事態を引き起こします。結果として、求人情報を見ても自社で働くという具体的なイメージが湧かず、応募のハードルが上がるという悪循環に陥ることとなります。

求職者が知りたい情報が未掲載

求人を探す人々は、ただ単に職場の役割に興味があるだけでなく、その企業がどのような魅力を持つかにも関心を持っています。

求職者があなたの企業の求人情報を見て、自社ウェブサイトをチェックしたとき、情報が古く更新されていない場合、彼らは「この会社はまだ新たな人材を探しているのだろうか?」、「この企業は本当に魅力的だろうか?」といった疑問を抱く可能性があります。

そのため、企業HPが古いままの状態になっている場合は、定期的に最新情報に更新することが必要です。

企業の理念や達成した実績、働きやすい環境等、求職者が知りたいと思うような情報を、自社のウェブサイトを通じて分かりやすく伝えることが重要です。これにより、求職者はあなたの企業に対する理解を深め、興味を持つ可能性が高まります。

ターゲットに合わせた採用方法を実施していない

あなたの会社が求める人材へのアプローチ方法が適切ではない場合、それが原因でなかなか求職者からの応募が集まらないという事態に直面する可能性があります。

そういった場合には、まず第一にするべきことは、自社の採用戦略を見直すことです。

例を挙げてみましょう。ある企業が20代のフレッシュな人材を採用したいと考えているとします。しかし、その企業が主に採用活動として活用しているのが、比較的30代以上の求職者が多く利用するハローワークだとしたら、そこには明らかなズレが生じています。

若者にアピールし、その活力を企業に取り込みたいと思っているのであれば、より若い世代が頻繁に利用するインターネット上の求人媒体を活用することが求められます。そのように、ターゲットとする人材に合わせた採用方法を選ぶことが、効率的で質の高い採用につながるのです。

求人応募が来ない中小企業が実践すべき
7つの改善策

採用担当者の中には、「なかなか求人に対する応募が集まらない、どのように改善すれば良いのか?」といった問いに頭を悩ませている方も多いことでしょう。特に中小企業の場合、大手企業と比較して求職者へのアピールが難しいかもしれません。

そこで今回は、そんな中小企業の求人に対する応募を増やすための具体的な改善策を7つご紹介します。これらの対策を実行することで、魅力的な求人広告を作成し、より多くの求職者に自社の魅力を伝えられるようになるでしょう。人材確保の難しさを感じている企業様の参考になれば幸いです。

 ❶ 認知度を高め、自社の魅力を広く拡散する

企業の存在を知られていなければ、どんなに魅力的な求人を出しても求職者からの反応が得られません。企業の認知度を高め、見込みの応募者にアピールするためには、自社の情報発信を積極的に進めることが求められます。

この情報発信の一環として、自社の採用専用サイトの開設を検討することも一つの手段です。この専用サイトでは、動画や画像を用いて企業の詳細な情報を効果的に伝えることが可能になります。

その際、発信する情報はただ単に自社の情報を並べるだけではなく、求職者が知りたいと思う情報を、求職者自身がどう感じるかを考えて組み立てることが重要です。

たとえば、企業の理念やこれまでの実績はもちろんのこと、福利厚生の具体的な内容や、具体的な採用部署の業務内容、社内の雰囲気や働く環境など、求職者が自分が実際に働くイメージを持つための情報を提供しましょう。求職者が「この会社で働きたい」と思えるような魅力的な情報を伝えることで、自社の魅力を最大限に発揮し、求職者へのアピールを強化できます。

 ❷ 求人情報の詳細記述で採用ミスマッチを削減

意気揚々と内定を出したものの、その後に辞退されるという状況は、よくある事象です。その背後には、求人情報と実際の仕事内容との間にギャップが存在する可能性があります。

したがって、求人情報は、求職者が実際に働く際の業務内容と一致するように、詳細かつ具体的に記載することが極めて重要となります。

特に中小企業の場合、大企業と比較して、社員の平均在籍年数や会社の売上など、記載できる情報が限られているかもしれません。しかし、可能な限りの情報を提供し、未確定の部分は面接の際に明確に説明することで、求職者に対する信頼を築くことができます。

求職者が新たな職場を選ぶ際、労働条件、福利厚生、休暇、業務内容、職場環境などの情報は非常に重要な判断材料となります。

そのため、これらの情報は、求職者が具体的な勤務イメージを持つことができ、職場とのミスマッチを防ぐためにも、必ず詳細かつ具体的に記載することが求められます。

 ❸ 新たな採用方法の見直し求人応募数の増加させる

求職者からの応募が思うように集まらない場合、一つの要因として求人の露出が十分でない可能性が考えられます。

特に中小企業の中には、主に公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求人募集を行っている場合が少なくありません。

求人の露出度を高めるための一つの手段として、全国規模の求人情報サイトの利用を推奨します。

全国的な求人情報サイトに掲載することで、自社の求人情報は全国の様々な求職者に届く可能性が広がります。その中には、自社とフィットする可能性のある求職者は勿論、地元に帰郷する意向のある求職者に対しても、自社の情報を迅速に伝えることができます。

採用のために使っている媒体を一度見直し、自社の業種やターゲットとなる利用者が多い全国規模の求人情報サイトを複数選んで活用することで、より多くの求職者に自社の求人を訴求しましょう。

 ❹ SNS活用で情報発信力の向上

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は、その普及率と情報の拡散力から、情報発信の重要なツールとして位置づけられています。Twitter、Facebook、Instagramなどのプラットフォームは、利用者の数が多く、特に若年層のユーザーが多い点が特徴で、これにより情報の幅広い伝達が可能となります。

株式会社エン・ジャパンによる調査「ソーシャル&スマホ時代の採用広報術」によれば、求職者の約17%が企業のSNSを確認しており、これはSNSが企業の情報を得るための有効な手段となっていることを示しています。

また、SNSは大部分が無料で使用可能であり、そのため、情報発信に関するコストを抑えることができ、これもまた大きな利点であるといえます。

SNSを通じた情報発信の魅力は、企業の労働条件や福利厚生などの硬直的な情報だけではなく、よりリアルで人間味溢れる社内の雰囲気や現場の様子を伝えられる点にあります。

サムライト株式会社の調査レポート「中途求職者の方が「社風・カルチャー」をより重視することが判明」によれば、求職者の43.1%が「社風・カルチャー」を重視しているという結果が得られています。

求職者は職場の環境や社員の雰囲気を重要視しており、これらの情報提供が求められています。したがって、SNSを活用して社内の情報を積極的に発信し、企業の魅力を伝えることが求められているのです。

 ❺ テレワークの導入と求人ターゲットの拡大

テレワークの導入は、柔軟性のある働き方を可能にし、それにより、採用するべき人材の範囲を広げる可能性が出てきます。

特に、子育て世代の中には、仕事と育児の両方をこなすことを望んでいる人々がいます。また、地域によっては通勤が難しいという問題を抱えている求職者もいます。これらのグループに対しても、テレワークの導入により、彼らを採用対象とする扉を開くことができるのです。

さらに、テレワークの導入は、日本全国の求職者との面接や説明会の機会を増やす可能性があります。これにより、自社の面接や説明会への参加者数が増え、より多くの人材と接触する機会が増えると考えられます。

電話対応やチャットによる対話、オンラインでの会議など、家からでも対応可能な業務については、テレワークを適応することにより、採用対象となる人々の範囲を広げることが可能となります。したがって、テレワークの導入は、採用の範囲を広げるための重要な戦略となるのです。

 ❻ 内定者のフォローアップを行い辞退者減少させる

内定者が抱えるさまざまな不安や疑問を解消し、内定辞退を防ぐための方法について考察します。

まず重要となるのが、内定者と現在の社員間の交流の機会を設けることです。実際の業務を開始する前に、同じチームや部署のメンバーと面識を深めることで、内定者は気軽に質問を投げかけることが可能となり、その結果、自身の不安や疑問が解消されます。

さらに、内定者に対して、入社後にどのような仕事を担当するのか、どのようなスキルが必要となるのかを事前に伝えることも重要です。これらの情報は、内定者が入社後に業務を円滑に進める上で必要不可欠な要素となります。

また、有用なビジネス関連の書籍の紹介や必要な資格の情報提供、具体的な業務内容についての先輩社員からのアドバイスや情報共有なども、内定者にとって価値ある情報となるでしょう。これらの情報は、内定者が自身のキャリアを描く上での重要な参考になります。

 ❼ 無料掲載での採用コスト削減

人材採用に必要な費用を抑えることは、企業の経営において重要な課題の一つであり、その解決策の一つが採用コストの削減です。採用コストを減らすことで、企業は財政的な負担を軽減し、さらなる人材採用活動に集中することが可能となります。

採用コストとは、具体的には人材を採用するために必要な費用のことを指します。これは大きく二つに分けられ、企業内で発生する採用活動にかかる費用、つまり内部コストと、企業外で発生する採用に関連する費用、すなわち外部コストとなります。

中でも、特に採用コストを大きく左右するのが、外部コストの一部である求人広告の掲載費用です。この費用は、しっかりとした採用結果を得ることができないにもかかわらず、無駄に高額な広告費を投じてしまう場合があります。

そこで、採用コストを削減する一つの方法として、無料で求人情報を掲載できる媒体の活用があります。例えば、「Indeed」や「ハローワーク」、「ジモティー」などの無料求人掲載サイトを利用することで、無駄な広告費を抑えつつ、効果的な採用活動を行うことが可能です。これにより、企業は採用活動にかかる費用を削減し、より効率的な人材採用が期待できます。

求人応募増加!
中小企業向けおすすめ採用手法5選

採用活動は企業の成長と発展において重要な要素となりますが、「どのように求人を出すべきか具体的なイメージがわかない」、「どのような採用方法を選べば良いのか」など、具体的なアクションに移すまでのステップが見えづらいと感じる方も多いのではないでしょうか。

特に中小企業の場合、人事部門が限定的であったり、経験や知識が不足している可能性もあります。しかし、それは採用活動を行う上で障壁となるべきではありません。今回は、中小企業の皆様に向けた、効果的な求人手法を3つご紹介いたします。これらの方法を活用することで、より質の高い人材を採用するための道筋を見つけることができるでしょう。

 求人検索エンジンの活用 

求人検索エンジンとは何かというと、それはインターネット上に存在し、複数の求人サイトから求人広告情報を集め、ユーザーが検索した結果として表示するウェブサイトのことを指します。

このような求人検索エンジンには、「Indeed」や「求人ボックス」などがあり、それぞれが求人情報の探しやすさで一定の評価を得ています。

求人検索エンジンの最大の利点はなんといっても、GoogleやYahooといった一般的な検索エンジンでも検索結果として表示されるため、求職者が求人情報に到達するための手間を大いに省くことができる点です。これにより、インターネット上での自社求人情報の露出機会が増えて、求職者にとって見つけやすい存在となります。

さらに、求人検索エンジン毎に提携している求人サイトへ自社の求人情報を掲載することにより、求職者が応募する際のルートを増やすことが可能となります。これにより、より広範な求職者に対して自社の求人情報が届き、応募数を増やす可能性もあります。

このように、求人検索エンジンの活用は、求人情報の露出増加と応募経路の多様化を通じて、より多くの応募者を引きつけるための有効な手段となるでしょう。

 ダイレクトリクルーティングの活用 

ダイレクトリクルーティングとは一体何でしょうか。それは、企業が求職者に直接接触してリクルートする具体的な手法を指します。その選択された手法は、求職者が企業を探すのではなく、企業が積極的に求職者を見つけ出すという逆転の発想です。

このダイレクトリクルーティングの顕著な例として、新卒採用に特化している「dodaキャンパス」や、IT業界の経験者が多く利用している「Green」などが存在します。

ダイレクトリクルーティングの最大の長所は何でしょうか。それは、企業が特定のスキルセットや経験年数を持つ求職者に対して、直接アプローチできるという利点があります。

企業が自社のニーズに合う求職者に直接コンタクトを取ることで、面接の回数を減らしたり、企業と求職者の間の誤解や不一致を少なくすることが可能となります。これは、最終的には採用にかかるコストを削減する効果が期待できます。

自社の業界や求める求職者の特性に合うサービスを活用することで、ダイレクトリクルーティングによる応募数を増やすことが可能です。これは、適切な人材を見つけ出すための効率的な方法と言えるでしょう。

 採用サイト作成 

採用サイトとは何でしょうか?これは、求職者に向けて自社や募集ポジションについての詳細情報を提供する特化したウェブサイトのことを指します。この採用サイトは、ビジネスの全体像を描くために顧客やビジネスパートナーに向けて作られるコーポレートサイトとは異なります。コーポレートサイトは、自社のビジネス活動や製品、サービスの紹介を主目的としています。

採用サイトの優れた特性として、文字数や視覚的な素材(画像や動画など)の制限が無いことが挙げられます。これは一般的な求人サイトとは対照的に、自由に自社の特性や働く魅力を表現することが可能であるという意味です。これにより、細部にわたり自社を詳細に紹介し、求職者に対して深い理解を持ってもらうことが可能になります。

さらに、採用サイトには応募ボタンや応募フォームを設置することが可能です。これにより、求職者が採用サイトで得た情報をもとに自社に興味を持った場合、直接応募することが可能になります。この機能は、求職者からの応募数を増やす助けとなるでしょう。

まとめ

中小企業は、大企業と比較して、求職者からの応募が得られにくいという課題を抱えているのが一般的です。

この応募が少ないという状況は、情報の発信が不十分であるためや、求職者に合わない求人媒体を用いているなど、様々な要因により生じています。

本記事で提示した中小企業向けの応募数アップのための改善策や採用手法は、求職者からの応募数を増やすための有効な手段となることでしょう。

あなたの会社の特性や魅力を自由に伝え、求職者が求めている情報を提供するためには、オリジナルの採用サイトの作成が強く推奨されます。

志望度の高い求職者を引き寄せることや、採用におけるミスマッチを防ぐといった、採用活動における多岐にわたる利点がある採用サイトの作成は、あなたの会社の採用力を向上させるための重要な一歩となるでしょう。