【人事担当者向け】採用コストの平均相場と回収のための費用削減法6選

2023/09/04

人材の採用プロセスにおいては、求職者を企業に迎え入れるまでの「採用費用」が重要な要素となります。
これらの採用費用を効果的に管理することで、設定した予算範囲内でより多くの優秀な人材を引き寄せることが可能となります。

本稿では、用費用の一般的な市場価格と、それに伴う費用を回収するための削減手法採について解説します。

目次

採用コスト回収の基本!その定義と平均相場とは何か?

まずはじめに、採用コストの基本的な部分についてみていきましょう。
採用コストとは何かをおさえながら、採用コストの平均相場について解説します。


採用にかかるコストとは?

採用コストというのは、企業が新たな人材を雇うために必要な全ての支出のことを指します。これには、採用計画を立てる初期段階から、求人広告を出して応募者を集め、選考プロセスを実施し、最終的に候補者が社員として参加するまでの全ての経費が含まれます。

これと似た意味合いの言葉として「採用単価」があります。ただし、これは採用コストとは少し異なり、一人の求職者を雇うために必要な費用を指す言葉です。

採用コストは、全体的な視点から見ると、「外部コスト」と「内部コスト」という二つの部分に大別することができます。そして、これら二つのコストを合計したものが、最終的な採用コストとなります。これらのコストは、企業が採用活動に投じるリソースと時間を具体的に表示することで、効率的な採用活動の計画や人材戦略の策定に役立ちます。

外部コストについて

「外部コスト」とは、企業がその活動の一部を外部の専門家やサービスに委託する際に発生する費用のことを指します。この種の費用には、「求人広告の掲載費用」、「採用説明会のための会場費用」、「採用パンフレットの制作費用」、「新入社員の外部研修費用」、「人材紹介会社への紹介手数料」などが含まれます。

社内リソースだけでは対応しきれない業務を外部に委託するための費用ですから、社内での作業にかかる「内部コスト」と比較すると、かなり大きな金額になることが一般的です。そして企業の採用における全体コストを見てみると、これらの外部コストが大半を占めることが多いのです。

外部コストは基本的には外部業者への支払いなので、領収書や見積書などを通じて具体的な金額を把握することが容易であり、その費用対効果も明確に理解することができます。
もし企業が採用に関するコスト削減を考えているのであれば、まずはこの大きな比重を占める外部コストから見直しを始めると、効果的な結果を得られるでしょう。

内部コスト

内部コストというのは、企業が採用活動を進める上で自社内で発生する経費のことを指します。例として、新たな社員を迎え入れるための内定者との飲食会の経費や、新入社員の引越し費用、また候補者への交通費補助などが含まれます。

採用活動を担当する特定の部署が存在しない企業では、既存の社員が採用業務を行うためその手間賃も結果的に採用コストに加算されます。それが詳細な計算に反映されず、正確な採用コストが見えにくい状態になることもあります。

採用専門の部署が設けられている場合でも、他部署の協力が必要な採用活動があると、その部署の社員の給与も内部コストとして計上する必要が出てきます。その結果、内部コストの正確な把握はより複雑で難解なものになりかねません。

そのため、内部コストがいつ、どの場面で生じたのかをしっかりと追跡し、どの作業にどれほどの時間を投入したかをきちんと記録する仕組みを作ることが重要となります。これにより、採用コストの透明性が確保され、より効果的な人材採用が可能となります。


採用コストの一般的な相場は?

新卒の場合の採用

リクルートが2019年に行った調査によれば、新卒の採用にかかる費用は入社予定者1人あたり平均で93.6万円という結果が明らかになりました。これは、前年度の71.5万円と比べて増加していることを示しています。

近年、求職者に有利な売り手市場の状況下では、多くの企業が同時に求人広告を出すため、一つの求人が学生の視界に入る確率が減少しています。その結果、企業側はさらに多くの求人広告を出し、学生たちに対して自社の魅力を訴求する必要があるのです。
さらに新卒社員は、採用後にしっかりと育成する必要があります。それは求人広告の費用に加えて、新人研修などの教育費用も掛かるという事実から、採用費用を短期間で回収するのは困難な状況となっています。

売り手市場が続くことを考慮すると、求人広告を掲載する期間や頻度が今後も増えることが予想されます。その結果、新卒採用にかかるコストは今後も増加する可能性が高いと言えるでしょう。
しかしながら、新卒社員の採用コストは短期的に高く感じられるかもしれませんが、その社員が成長し、企業に大きな利益をもたらす可能性を考えると、長期的な視点での投資と考えるべきです。

参考資料:「就職白書2020」

中途採用の場合

リクルートが2019年に行った調査によれば、その年度の中途採用における一人あたりの平均採用コストは103.3万円にのぼり、前年度である2018年度の83.0万円と比較しても、新卒採用と並んで、増加の傾向にあることが示されています。

中途採用のコストが新卒採用よりも高い理由は、個々の求人で必要とされる経験やスキルの要件が大きく異なり、その要件に完全にマッチする人材を探し出すのが一層難しいという事情があるからです。

しかしながら、""中途採用""と一括りに言っても、その中には特定の職種や業界の経験を必要としないポテンシャル採用と、即座に現場で活躍できるスキルや経験を求める採用が存在します。

このため、比較的採用が容易なポテンシャル採用のコストは103.3万円よりも低くなる傾向にあります。一方で、即戦力として期待できるほどの経験やスキルを持つ人材を見つけるのは難しいため、103.3万円以上のコストがかかる可能性が高いと考えられます。

参考情報:「就職白書2020」

アルバイトとパートの場合

株式会社ツナグ・ソリューションが2014年に実施した調査結果によれば、アルバイトやパートタイムの職員を採用するための平均的な費用は約5.2万円となっています。

アルバイト採用は、労働力を効率的に、できるだけ低コストで集める手段として利用されています。したがって、その費用は新卒者や中途採用の費用と比較して低めです。しかし、採用した人数を考慮すると、それなりの金額になることを理解することが重要です。

アルバイトは正社員と比べて短期間で退職する傾向があるため、採用にかかった費用を回収するのは難しい場合があります。これは、採用において考慮すべき重要なポイントとなります。


採用コストの算出方法について

企業の採用活動には様々な費用が発生します。これらの費用は、一般的に内部コストと外部コストに分けて考えることができます。それぞれ具体的にどのようなものが含まれるのか、そしてそれらがどのように合計されて採用コストとなるのかを理解することで、より効率的な採用戦略を立てることが可能となります。そこで今回は、内部コストと外部コストを分析しながら、採用コストの具体的な算出方法を一緒に見ていきましょう。

外部コストと内部コストの例

外部コストと内部コストの見分け方は「費用が発生したのが社外か社内か」で判別可能です。

具体例を見ながら、どの費用が内部コストか外部コストに該当するかを紹介します。

外部コストの具体例

外部コストは、企業が自身のリソースだけで対応することが困難な、採用活動に関連する出費のことを指します。具体的には、次のような費用が考えられます。

・オンラインや新聞などの媒体に掲載する求人広告費
・スキルフルな人材を企業に紹介し、その結果採用に成功した際に支払う報酬
・採用候補者を対象とした会社説明会の開催費用
・採用活動のためのパンフレット制作費

・内定者とのコミュニケーションを円滑にするためのSNS利用費
・内定者のスキルアップを目指す外部研修の費用
・自社の採用に関する情報を掲載するウェブサイトの制作にかかる費用

これらは、企業が自社のリソースだけで対応することが困難で、外部の専門的なサービスを利用することにより発生する費用です。これらの費用は、領収書や見積もり書類などとして明確に記録されるため、どの程度の費用がかかったかを把握しやすいという特徴があります。このように明確にコストを把握することは、企業の経営戦略において重要な要素となります。

内部的なコスト具体例

企業が人材を採用する際に発生する内部コストとは、具体的には以下のような費用を指します。

1つ目は、求人広告の作成に関する打ち合わせ時間にかかる社員の人件費です。2つ目は、面接や採用のために働くスタッフの人件費という要素があります。3つ目には、応募者との電話対応を行うための社員の人件費が含まれます。

さらに、4つ目として応募者の交通費も該当します。また、5つ目の内定者の引越し費、6つ目の会食費、7つ目の応募者に渡すノベルティグッズ費用も内部コストです。8つ目は、内定者へのフォローとして発生する会食費があります。9つ目には、入社が決まった者への引越し支援費用が含まれます。最後に、10つ目としてリファラル採用の紹介社員へのインセンティブも内部コストにカウントされます。

これらの内部コストは、採用に携わる社員の人件費や、求職者や内定者のための各種支援費用など、企業内で発生する費用を指します。

これらの費用は、外部コストに比べて記録しにくく、どれだけかかったのかをすぐには把握しづらい特性があります。そのため、どの費用が内部コストに該当するのかをあらかじめ理解しておくこと、そして発生した際には忘れずに記録することが、企業の健全な人材採用のために大切なポイントとなります。


採用にかかるコストと単価計算の方法

企業の人事部門では、採用活動に必要な費用、すなわち採用コストを計算し、効率的な採用活動を行うための重要な指標とします。この採用コストは、「外部コスト+内部コスト=採用コスト」という公式で表現することができます。

外部コストとは求人広告費やエージェンシー手数料など、社外から発生するコストのことを指します。一方、内部コストとは社内で発生する、人事部門の人件費や面接での時間コストなどを指します。これら二つのコストを合算することで、一つの採用にかかる総コストを確認することができます。
さらに、採用単価という指標も重要です。これは採用にかかる総コストを採用した人数で割ることで求められ、「採用単価=(外部コスト+内部コスト)÷採用人数」という公式で表現します。一人あたりにどれだけのコストをかけて採用活動を行っているのかを示す指標となります。

採用コストと採用単価は、それぞれ内部コストと外部コストを基に計算されます。そのため、これらのコストを正確に把握し、適切に管理することが採用活動の効率化につながります。これらの指標を活用して、賢明な人事戦略を立てることが必要です。


採用コストを効果的に回収するための費用削減ポイント6選

新たな人材を獲得するためには、しっかりとした投資が必要です。しかし、それを適切に管理し、必要以上に膨らませないようにすることが重要です。そこで、採用コスト全体を削減することで、その早期回収を目指す手段を一緒に考えてみましょう。

最後に、この採用コスト全体の中から、どの部分を削減することができるのかを探るため、6つの重要なポイントを一つずつ詳しく見てみましょう。これらを理解し、適用することで、より効率的な採用活動を行い、経済的な負担を軽減することが可能になるでしょう。

①求人広告媒体の見直し

求人広告の媒体を見直すための主要な3つの要点について考えてみましょう。

1つ目は、求めているターゲットと求人広告がマッチしているかどうかです。求めている職種や職務経験、スキルセットなど、具体的なターゲット像を明確にした上で、それに適した媒体を選ぶことが重要です。

2つ目のポイントは、求人広告の内容がわかりやすく、求職者の注目を引くものであるかどうかを確認することです。ポジションの詳細、勤務地、給与、福利厚生など、求職者が知りたい情報を明確に伝えるとともに、企業の魅力を効果的に伝えることが必要です。

そして、3つ目の要素は、使用している求人媒体や広告の掲載時期が適切であるかを検討することです。求める人材の活動傾向や、業界の採用動向などを考慮に入れて、最適なタイミングで最適な媒体に掲載することが求人効果を高めます。

求人広告媒体を見直す際には、単なる費用削減を目的とするだけでなく、同じ予算でもこれまで以上に求職者とのマッチングを高めることを目指すべきです。これが、採用にかかるコストを効率的に削減する一助となります。

②リファラル採用

「リファラル採用」という言葉に馴染みがない方もいるかもしれませんが、簡単に言うと、既存の社員が自身の人脈から新しい人材を会社に紹介するという採用方法のことを指します。

このリファラル採用の最大の特長は、採用に関わる費用の大幅な削減が可能という点です。具体的には、紹介した社員に対しての報酬や、新たに人材を探すための交際費以外に、特別な費用が発生せず、高額な求人広告費や人材紹介会社にかかるコストを大きく抑えることができます。
また、この採用方法のもう一つの利点は、新たに入社する人材が、既存の社員を通じて会社の内部情報を理解した上で入社するため、入社後のミスマッチが防げるという点です。これにより、入社後すぐに辞めてしまうといった早期退職を減らすことが期待できます。

ただし、一つ注意点として、会社内にまだリファラル採用制度がない場合は、その制度をまず設けることが必要となります。これは初めての試みとなるかもしれませんが、その労力を惜しまずに導入することで、その後の採用活動がより効率的になることでしょう。

③SNSの活用

「Facebook」、「Twitter」、「Instagram」などのソーシャルメディアプラットフォームは、今や採用活動に欠かせないツールとなっています。これらのプラットフォームは基本的に誰でも無料で利用できるため、企業はこれらを活用し、自社の採用活動に役立てることで、採用に関わるコストを大幅に削減することが可能です。

さらに最近では、ビジネス専門のSNSも増えてきています。「Linkedin」や「Wantedly」などのプラットフォームは、ビジネス利用を前提として設計されており、企業と求職者が直接コンタクトを取り合うことを容易にしています。これらのビジネス専門のSNSの活用も、採用活動をより効率的かつ効果的に行うための一つの手段となっています。

④インターンシップの導入

「インターンシップ」と呼ばれる短期的な職業体験を採用活動の一部として導入することは、採用コストを抑える手法として有効です。これは実際のオフィスや工場、店舗等で数日間、実際の業務を体験してもらう方法です。その後、その経験を基に求職者自身が次のステップを決定します。

この導入による直接的な採用コストの削減は期待できませんが、求職者がインターンシップを通じて職場の環境や雰囲気、自社の社員との相性を事前に把握することが可能となります。これにより、入社後の早期退職や内定の辞退などを防ぐことができるのです。この結果、長期的な視点で見ると採用コストの削減に繋がると言えるでしょう。

⑤自社採用サイトの活用

現代の求職者は情報の収集にインターネットを頻繁に使用しています。この事実をうまく利用して、自社の採用サイトを活用すれば、より詳細な情報を提供できる上、求職者と企業双方に利益をもたらす可能性があります。

求人サイトや求人検索エンジンを通じて自社の採用サイトへと誘導することで、多くの求職者に自社情報を見てもらうことが可能になります。これにより、十分な情報を得た上で応募してくれる求職者が増え、入社後のミスマッチの可能性を軽減できるでしょう。
さらに、自社採用サイトだけで求人募集が可能となれば、求人サイトや人材紹介会社に依存することなく、自社だけで完結する求人募集が可能になります。これは、長期的な視点で見ると、採用にかかるコストを大幅に削減することにつながります。

※自社採用サイトの詳細についてはこちらの記事もご参照ください→
【採用サイトの立ち上げメリットは?求められるコンテンツとは。】

⑥採用代行の活用

人材の採用はビジネスの中心的な役割を果たしていますが、その業務はまさしく大がかりで時間がかかるものです。採用代行サービスを活用することで、この重要ながらも複雑なプロセスを専門的に行ってもらい、企業の採用業務の効率化を実現することが可能です。この効率化は、採用にかかるコストを削減するというメリットも生み出すことがあります。

また、採用代行サービスはその名の通り全ての採用業務を代わりに行ってくれるわけではありません。例えば、応募者との対話や説明会の手配など、業務量が多く時間が掛かる部分を中心にサポートを行ってくれます。このように、必要な部分だけを選んで代行サービスを利用することも十分に可能です。

もちろん、採用代行サービスを利用することで依頼料が発生します。しかし、採用業務が大幅に効率化されることで、結果的に全体の費用を抑えることができるため、採用コストの削減に繋がることもあります。これらの要素を考慮に入れて、自社の状況に合った採用代行サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。


まとめ

採用プロセスに必要なコストの早期回収を目指す際、単に費用削減だけを追求するのではなく、費用対効果の向上を図ることがキーポイントです。

採用方法の見直しや、外部の採用支援サービスを有効に活用することで、採用活動をより効率的に行うことが可能です。結果として、コストが増える場合でも、採用活動の成果が高まれば、それにより採用コストの早期回収が見込めるわけです。

本稿を参考に、あなたの企業の採用コストを一度見直してみてはいかがでしょうか。

採用コストを抑える一助となる手法として、自社専用の採用サイトの制作が挙げられます。

「リクデザ」を利用すれば、徹底的なヒアリングを行い、あなたの企業の魅力を最大限に引き立てる採用サイトを設計します。是非ともこのサービスを有効活用し、採用活動をより効果的に進めていただきたいと思います。