介護業界における平均採用単価は?5つの採用コストを削減する方法

2023/08/22

日本の高齢化が進行する中で、介護業界の市場規模は年々増大しているという現状があります。

この増大する市場に伴い、施設利用者の数も増えています。それに伴い、「もっと介護士を採用したい」と考える採用担当者も多いでしょう。

しかし、一方で採用単価を抑制しつつ、同時に施設のニーズに合った介護士の人材と出会う効率的な方法についても知りたいと思っていることでしょう。

本記事では、そんな採用担当者に向けて、採用単価を抑えつつ、質の高い介護士の人材に効率よく出会うための具体的な手法を紹介します。これらの手法を活用して、採用コストを削減していきましょう。

もくじ


1.介護業界における採用単価の平均相場は?

求職者を募る際に発生する経費は主に2つの形態が存在します。一つは、「掲載課金型求人」で、これは求人情報を公開するだけで費用が発生します。もう一つは「成功報酬型求人」で、これは求職者が応募したり、採用が成功した時にのみ費用が発生します。

この記事では、これら二つの採用単価の平均値について詳しく見ていくことにしましょう。

2.成功報酬型求人の平均採用単価は?

成功報酬型の求人募集における費用は、「応募課金」と「採用課金」の二つに分けられます。前者は、求職者が応募を行った際に発生する費用で、通常は数千円から3万円程度となっています。後者は、募集を行った企業が最終的に採用を決定した際に発生する費用で、その範囲は一般的に10万円から100万円と幅広く設定されています。

成功報酬型の求人募集は、初期投資が必要ないという特徴を持っています。つまり、事前に設定した条件が満たされた場合のみ、費用が発生するという仕組みになっているのです。このため、特定のポジションや、求める人材数が少ない場合など、より具体的な採用ニーズがある企業にとって、非常に有用な手法と言えます。

介護業界の抱える課題と、採用単価への影響

内閣府が公開している「令和4年版高齢社会白書(全体版)」によれば、日本の全人口の中で65歳以上が占める割合は28.9%にまで上昇し、高齢化が深刻な状態になっています。

さらになんと、令和18年には65歳以上の人口が全体の33.3%に達すると予測されており、国民のうち3人に1人が65歳以上という、速度感を持って高齢化が進んでいる現状から見て、介護業界は今後も拡大の一途を辿ることが確実視されています。

厚生労働省のデータによれば、2025年度には約243万人の介護士が必要だとされており、さらには約32万人もの新たな人材を確保する必要があると指摘されています。一方で介護業界が拡大し、人材確保の必要性が高まる状況にあるにもかかわらず、公益財団法人介護労働安定センターの調査結果からは、6割を超える介護施設が人材不足を訴えており、多くの施設が採用に頭を抱えている現状が明らかになっています。

このように介護業界が直面している難題と、それが採用単価にどのように影響を及ぼしているのかについて、詳しく見ていきましょう。

1.介護施設への需要の増大

今日の社会において、有料老人ホームのニーズは急速に増加しています。令和2年だけでも、その数は5.4%も増加し、この傾向はこれからも続くと予測されています。この状況から、新たに設立される介護施設で働くための労働力が必要不可欠となり、そのための求人募集が不可欠となっています。

我々の国の全人口のうち、後期高齢者の割合は増大し続けており、その結果として介護施設の需要が増えているという状況が生まれています。この状況は介護業界における人材不足の原因となる一方で、それはまた新たな問題を生み出しています。

人材不足が深刻化するほどに、一人一人の求職者を見つけ出し、採用するためのコストが増大する傾向があります。これは結果的に、採用単価が上昇するという結果をもたらし、企業にとっては大きな負担となります。この問題に対する解決策を模索することは、介護業界にとって今後の重要な課題となりそうです。

2.介護業界の人手不足

介護業界における人手不足という問題は深刻で、その根本的な原因として「低賃金と過酷な労働環境」のイメージがあると考えられます。

令和3年度の介護労働者の平均月給は244,969円となっており、これは前年度よりも1,834円増加したものです。しかし、厚生労働省が公表する「令和3年賃金構造基本統計調査」によれば、一般労働者の平均月収は307,400円とされています。この事実から、介護労働者の月収は一般労働者に比べて低いということが明らかになりました。

さらに、介護施設では多くの場合、夜勤やシフト制といった不規則な労働スタイルが必要です。これにより、通常の業務での疲労が蓄積するだけでなく、勤務形態の不安定さも労働環境の厳しさを増幅しています。

また、介護業界は、利用者だけでなくその家族とも良好な関係性を築くことが求められる職場です。そのため、人間関係のストレスを感じやすい環境となっており、それがまた一層の労働環境の過酷さを引き立てています。

このような厳しい職場環境と低賃金のイメージが、求職者にとって介護業界への就職を避ける要因となっています。結果として、求職者の数と介護施設が必要とする人材の数との間にギャップが生まれ、人材確保のコストが増大する一因となっています。

3.高い離職率

介護労働安定センターが実施した調査の結果、介護職の離職率は14.1%に上昇し、全体的な産業の平均離職率13.9%をわずかに超える結果が明らかになりました。

2019年度を除けば、全産業の平均離職率を上回る傾向にあるものの、2010年から2021年の間に介護業界の離職率は3.7%も改善されています。これは、労働環境が徐々に向上しており、働きやすさが増していることを示しています。

採用には大きなコストがかかりますが、それにもかかわらず新たに採用した求職者が早期に離職してしまうと、その労力と費用は結果的に無駄になってしまいます。

このような事態は、他の業種に比べて高い離職率が、介護士の採用に必要なコストが増加する一因となっていると考えられます。介護業界では、離職率の改善とともに、働きやすい環境の整備がより一層求められています。

介護士の採用費用を削減する5つのポイント

介護業界で働く人々を見つけるのは一筋縄ではいきません。この業界では、優秀な人材を見つけても、その人が長く続けられるようにするのはなかなか難しいのが現状です。また、採用担当者としては、採用のための費用(採用単価)をできるだけ抑えたいという思いが常にあります。

そこで、この記事では、介護業界で採用単価を抑えるための5つの効果的なポイントをご紹介します。これらのポイントを押さえることで、介護業界での人材確保と採用単価抑制の両立が可能となります。これから述べるアドバイスが、あなたの採用活動をより効率的に、そしてコストを抑えて遂行するための一助となれば幸いです。

1.採用手法の見直し

私たちが人材採用に関する取り組みを最適化するための初めの一歩は、現行の採用手法の再評価から始まります。

採用に関連した全ての業務とその関連費用を詳細に把握し、単にコストが発生しているだけでなく、実際に効果が上がっているのかどうかを見直すことが必要です。これにより、無駄な費用を削減し、より効率的な採用活動を実現することが可能となります。

例えば、費用をかけて求人広告を掲載しているにも関わらず、時間をかけて求職者に連絡を取っていなかったり、既に必要のなくなったポジションの求人広告を続けているといった場合、無駄なコストが発生している可能性があります。これらの問題を見つけ出し、改善に取り組むことで、採用にかかるコストを削減することができます。

また、費用だけでなく、採用活動にかかる時間や手間も見直すべきです。時間と労力をかけているにも関わらず、採用効率が良くない活動は再評価し、改善に取り組むことが重要です。

これらの採用活動の見直しと改善は、採用にかかるコストを見つけ出し、削減することで、一人当たりの採用コストを下げることに繋がります。これにより、より効率的で生産性の高い人材採用につながることでしょう。

2.採用ミスマッチの防止

採用活動には多大な費用、時間、そして労力が必要ですが、採用した人材が定着せずに退職してしまうと、その全てが無駄になってしまいます。

このような状況を避けるためには、求人票の作成において明確な表現を用い、専門用語の使用を避け、必要な情報を全て網羅することが重要となります。これは、求職者と企業の間での認識の差異を最小限に抑えるための措置です。

求人票には、どのような人でも理解できるような言葉で、企業の雰囲気、仕事の内容、勤務形態などを具体的且つ分かりやすく記述することが必要です。

さらに、求人票や企業の採用サイトに詳細な情報を掲載しておくことで、求職者は自社についての理解を深めてから応募することが可能となります。これにより、採用後に「思っていたのと違う」というような認識のギャップを防ぐことができます。

また、面接前後に求職者に職場見学を提供すると、実際の職場の雰囲気や業務内容を実際に見て理解してもらうことが可能となり、採用のミスマッチを防ぐ上で非常に効果的です。できるだけ多くの情報を共有し、正確な理解を促進することで、人材の定着を図ることが可能になります。

3.自社サイトの強化

自社サイトとは、具体的には、あなたが運営する施設のウェブページを指します。

このウェブサイトには施設の詳細、アクセス方法、そして施設の運営方針などを織り交ぜたオリジナルの情報が盛り込まれています。これらの情報は、顧客やその家族だけでなく、仕事を探している人々にとっても価値のある内容となります。

実際に求職者たちは、応募の前や面接の前に、インターネットで施設名を検索し、情報を収集することが一般的です。そのため、あなたが運営する施設のウェブサイトが定期的に内容を更新していれば、その施設の雰囲気や内部の状況を的確に伝えることができます。これにより、求職者と施設との間に生じる可能性のある誤解を未然に防ぎ、施設に対する良好な印象を形成するのに役立ちます。

自社サイトのもう一つのメリットは、求人広告には含まれていない情報を提供できる点です。

施設の運営方針や施設長からのメッセージ、さらには行事に関する情報などを掲載することで、求人広告以上に施設の魅力を伝え、その雰囲気を感じ取ることができます。

さらに、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの結果に表示されることで、求職者が求人サイトを経由せずに直接応募することも可能になります。これにより、エージェントや求人サイトへの支払いを抑えることもできるのです。このように、自社サイトを強化することで、施設のブランドイメージ向上とコスト削減を両立することが可能になります。"

4.リファラル採用の活用

リファラル採用とは、企業が自社の従業員から自身の知人を推薦してもらう、という採用手法の一つを指します。

例えば、介護学校を修了し、現在介護職員として働いているスタッフは、学生時代の同級生や先輩が多数存在します。そのような人脈を活用すれば、経験豊富な介護職員や資格を有する人材を紹介してもらう可能性が高くなります。

このような知人からの紹介制度を使うことにより、企業は求人広告の費用を大幅に削減できます。また、紹介で入社した求職者は、既存の社員とのつながりがあるため、すぐに退職するという事態を避けられる傾向があります。それによって、社員の離職率を低下させる効果も期待できます。

さらに、社員が知人を紹介したくなるような働きやすい環境を整えつつ、紹介により採用が成立した場合には、紹介した社員と新入社員に報酬を提供するリファラル制度を設けるのも一つの手段となります。これにより、社員が自発的に優秀な人材を紹介する動機づけにもなります。

5.助成金の活用

厚生労働省から提供される雇用促進のための助成金は、企業が採用にかかる費用を抑える有効な手段となります。この助成金は、その条件や金額、申請期限などが詳細に定められていますが、一度受け取ったら返済の義務はありません。また、申請が承認されれば、その資金は全額、採用活動に活用することができます。

特に介護業界では、「特定求職者雇用開発助成金」、「65歳超雇用推進助成金」、「トライアル雇用助成金」といった各種の助成金を利用することが可能です。しかし、これらの助成金はそれぞれ独自の条件が設定されていますので、企業としては厚生労働省の公式ウェブサイトで詳細情報を確認し、自社の状況に最適な助成金を選び出すことが重要となります。

介護士採用コスト削減のためのおすすめ採用サービス

介護士の採用に関連する費用を節約するための効率的な採用サービスについてご案内します。豊富な選択肢が存在しますので、それぞれの特性を理解し、自社のニーズや条件に最も合致するサービスを選択することが重要です。

1.特化型介護求人サイト

介護の専門性を求める求職者にとって、介護に特化した求人サイトは非常に有用なツールとなります。これらのサイトは、一般的な求人サイトとは一線を画す特徴を有しています。その最大の特徴は、求人情報に介護士特有の細かな要求やニーズを反映できることです。介護職に従事する方々は専門的な知識や技術を必要とするため、自身のスキルや経験を十分に活かせる職場を求めています。そのため、介護専門の求人サイトでは、具体的な業務内容や勤務環境、求める資格や経験など、介護士として重要なポイントを詳細に記載できます。

その結果、求職者と求人企業のマッチングの精度が高まり、求職者は自分に最適な職場を見つけやすくなるのです。また、これは企業側にとっても大きなメリットとなります。なぜなら、自社の求人情報をより具体的に伝えることで、自社のビジョンや働き方に共感する求職者と出会いやすくなるからです。これにより、人材離れを防ぎ、長期的な人材確保に繋がると考えられます。

総じて、介護に特化した求人サイトは、求職者と企業双方にとって、より質の高い出会いを提供する場となるのです。それは、求職者が自身の能力を最大限に発揮できる職場を見つけ、企業が自社にフィットする人材を獲得するための最適なプラットフォームとなるのです。

2.カイゴジョブについて

2023年8月現在、「カイゴジョブ」は150万人以上の会員を誇っています。その広範な収覚力を活用し、多くの人々に露出する求人広告を掲載することが可能です。これは、さまざまな候補者との面接を行いたいと願っている施設にとって、非常に有用な求人サイトと言えるでしょう。

このサイトの利用者は、応募前に職務内容や応募資格に対する質問を投げかけることができます。また、電話によるサポートも提供されています。これにより、採用後に生じる可能性のあるミスマッチを事前に防ぐことが可能です。これらのサービスが「カイゴジョブ」の主要な特徴となっており、利用者にとって非常に役立つものとなっています。

3.介護ワーカーについて

介護ワーカーは年間に1万件の転職を成功させている介護職専門の求人サイトです。これは、求職者が求人情報を見つけやすく、また求人企業が採用活動を効率的に進められる環境を提供しているからです。

面接日程の調整や待遇条件の交渉を専任の担当者が行います。これにより、求人企業と求職者のやり取りがスムーズに進み、求人企業の採用担当者が費やす時間を大幅に削減できます。これは、採用活動にかかる手間やコストを軽減したい企業にとって大きな魅力となっています。

さらに、完全成功報酬型です。初期費用は一切かからず、採用が成功した場合のみ報酬を支払う仕組みになっています。これにより、採用活動にあたってのリスクを最小限に抑えることが可能です。

また、採用後に退職者が出た場合でも、保証期間内であれば紹介手数料の一部を返金する制度を設けています。これは、少人数でも確実に採用を成功させたい施設や企業にとって、大きなメリットになります
介護ワーカーの採用にお困りの施設や企業に対して、解決策を提供しています。

4.ジョブメドレーについて

ジョブメドレーは、国内でもトップクラスの規模を誇る医療介護の求人サイトで、毎月驚異の2.8万人が新規で登録を行なっています。

このウェブサイトの魅力は、一切の料金がかからずに求人情報を掲載できる点や、掲載期間に制限がないという非常に利用者に優しいサービスが提供されていることです。さらに、成功報酬型というシステムを採用しているため、企業側は自分のペースで求職者を見つけることができます。

また、ジョブメドレーは、会員登録を行なっている求職者に対して直接アプローチすることが可能です。これは、スカウトメールという形で行われ、企業から求職者に対して直接連絡を取ることが可能となっています。

さらに驚くべきことに、このスカウトメールは月に200通まで無料で送ることが可能です。これにより、企業は単に待つだけの受け身の採用から、能動的な採用へとシフトすることが可能となります。

求人検索エンジン

求人に特化した検索エンジンは無料で始められるため、採用コストをかけられない施設でも取り入れやすい手法です。
すでに自社の採用サイトや、求人サイトで出している情報を使うことができるため、原稿作成などの手間がかかりません。
ここからは、求人検索エンジンを紹介します。

1.Indeedについて

Indeedは日本国内で最も多くの人々が訪れる求人情報検索エンジンで、毎月なんと4000万人以上の方々が利用しています。その魅力は、求人情報の豊富さとSEO(検索エンジン最適化)に優れている点にあります。

Indeedの特徴として、職種や勤務地、雇用形態、給与形態など、様々な条件で求人を絞り込むことができます。これにより、人材紹介が不足している地方エリアにおける採用活動にも、大いに役立てることが可能です。

また、Indeedの課金システムは「クリック課金型」であり、求人情報をクリックした閲覧者一人につき課金されるシステムです。クリック一回あたりの単価は15円からと、非常にリーズナブルな設定となっています。しかし、このシステムにより、運用費用が一定ではなく流動的になるため、予算管理には一定の注意が必要であることを覚えておいてください。

2.求人ボックスについて

「求人ボックス」という名称の求人情報サイトは、非常に多くの求人を取り扱っており、その数は驚くべき1000万件以上にも上ります。このウェブサイトの運営は、あの「食べログ」や「価格.com」など、我々の日常生活に何らかの形で影響を与えている多数のプラットフォームを手掛けている会社、カカクコムによって行われています。

この求人ボックスは、その使用者である求職者にとって非常に使いやすいところが魅力で、その優れたサイト設計が人々から高く評価されています。そしてまた、その特徴として、勤務形態や地域など、求職者が求める情報を限定せず、様々なニーズに対応した幅広い情報を提供している点も見逃せません。

また、広告主にとっても魅力的な点があります。それは、クリック単価が25円〜と、比較的低価格であることです。さらに、競合サイトや利用者数が他の大手求人サイト「Indeed」に比べて少ないため、実際に採用につながるクリックが多いという傾向があります。これは、企業にとっては採用コストを抑えることが可能となるという、大きなメリットを指しています。

まとめ

介護業界は労働力不足が課題となっており、採用には苦労が伴います。しかし、その困難を乗り越えるために、便利なツールやサービスを活用して、コストを抑えつつ効果的に採用活動を進めることが求められています。

この記事を参照に、効率的な採用活動の進め方を学び、取り組んでみてください。

それでもなお、採用活動がスムーズに行かず困っている方は、採用コストを抑えて効率的に採用を進めることが可能なIndeedの利用をお勧めします。

その際、Indeedとの連携が可能な採用管理システムの使用や、Indeedの専門知識を持つ代理店に依頼するといった選択肢も考慮に入れてみてください。これらの手段を用いることで、更に効率的な採用活動を行うことが可能となるでしょう。