採用サイトで候補者が嫌う「良くないデザイン」とは?

2023/07/11

・「コンテンツ」伝達の手段

採用サイトにおいて、「デザイン」はとても重要な要素です。すでにあなたの企業に採用サイトがあり、しかしそのデザインが適切でないとしたら、リニューアルを考えなければいけない。それほど、デザインは重要な要素なのです。

しかし、その一方でデザインは大事でありますが、デザインが目的そのものになってしまうことは避けなければなりません。デザインは最終的な目標を達成するための「手段」であり、その目的自体を置き換えるものではないのです。採用サイトにおいて最も肝心なのは、求職者が知りたいと思う情報をコンテンツとして提供し、その情報を効果的に伝える手法がデザインであるということです。

したがって、現存する採用サイトのリニューアル、あるいは新たな採用サイトの制作においても、「良くないデザイン」は避けるべきです。デザインの質を判断する基準は、「担当者の好み」ではなく、採用サイトとしての目的を達成するかどうか、という視点から判断すべきです。

・スマートフォン対応だけじゃダメ!
 利用状況をしっかりイメージすることが必要

では、「良くないデザイン」とは、どのような特徴を持つものでしょうか?
デザインにおいては、単に加点要素を盛り込むだけでなく、減点要素を避けることが重要となります。減点となりやすいデザインの要素として、「スマホへの対応」「視覚的な古さ」「凝りすぎな演出」が挙げられます。

まず、「スマホへの対応」について考えてみましょう。学生や若い世代の求職者は、求人サイトがスマホ非対応であれば、その企業に対する距離感を感じてしまうものです。しかし、スマホ対応したとしても、その内容や構築方法が重要となります。例えば、PC版の求人サイトにある全ての情報が、スマホ版でも閲覧可能か。また、求職者の視点に立ち、利便性や応募への導線設計が適切に行われているか。求職者が面接の道順を確認する際、スマホ版の求人サイトからgoogleマップが手軽に起動できるか。これらの要素は、デザイン上でも重要となります。

次に、「視覚的な古さ」についてです。スマホ非対応の求人サイトは見た目が古い傾向にあります。これは、学生や若い世代の求職者にとって、マイナスの印象となります。自分とは異なる世界のものと感じてしまい、内容を確認することすら避けてしまいます。同時に、デザインが古く、長年変わらない求人サイトは、その企業のIT環境や感覚に対する不安を引き起こします。求人サイトを運用する意義があるにも関わらず、これらの要素は大きなマイナスポイントとなります。

最後に、「凝りすぎな演出」について説明します。個性的なIT企業がデザイン上の工夫を行うことは、その企業のスタイルとも言えるでしょう。しかし、その結果、サイトの操作が難しくなったり、情報が伝えづらくになったりすると、本末転倒です。求人サイトなのに、求める情報が得られない。コンテンツの価値が伝わらないといった事態は、マイナスポイントとなります。

・「デザインは機能に従う」
 とデザイナーに強く伝える

採用サイトのデザインにおいて、もっとも重要なのは「コンテンツ」です。コンテンツが見やすいかということと伝わるかということです。なので、デザイナーの個人的な好みによってデザインが左右されることがないよう注意が必要です。彼らは見た目を追求し、アイデアを取り入れたがるかもしれませんが、「デザインは機能に従う」という原則をしっかりと認識し、デザイナーにも理解させるべきだと言えます。

ここで言う「機能」とは、採用サイトの目的と、そのサイトが満たすべき要件を指します。デザインはこれらを補完する存在であり、デザイン自体が目立つ、またはデザインだけが強調されるような事態は避けるべきです。応募者は何かを知りたい、または調査したいからこそ採用サイトを訪れます。もし、必要な情報にすぐにアクセスできなかったり、情報が見づらい場合、それは彼らの意欲を削ぎ、その会社の印象を悪くする可能性があります。最悪の場合、彼らは自分が望んだ情報にアクセスする前にサイトを離れてしまうかもしれません。このような観点から、デザインは慎重に考えられ、実行されるべきものと言えるでしょう。

・採用サイトはデザインではなくコンテンツで勝負

採用サイトを設計する際、おもな要素としてデザインが挙げられますが、そのデザインはただ見た目を美しくするだけではなく、「ユーザー体験」を向上させるための重要な手段ともなります。これは企業サイト全般に共通する原則であり、特に採用サイトでは、訪問者が一般的に求職者という特定のユーザーに限られるため、求職者が応募を決めるまでの経路や必要な情報等、求められる要素が明確であることから、デザインがより重要な役割を果たします。

採用サイトにおける最も重要な要素は、求職者が知りたいと思う情報、つまりコンテンツです。そのため、デザインはそのコンテンツを理解しやすく、興味を持ち続けられるように配慮することが不可欠です。これを考えると、採用サイトのデザインは「シンプルで情報が伝わりやすく、品質が高い」ことが理想的です。企業のブランドカラーを使用したり、企業全体のデザインテイストを反映させることは重要ですが、色の使用が過多になったり、装飾が過度になると、求職者が内容を理解することを妨げる可能性があります。

個性を表現することも重要ですが、その個性が必要とされるのは「デザイン」ではなく、「コンテンツ」です。言い換えると、写真や登場人物、記述されている内容など、コンテンツ自体が企業の個性を表現する場であり、デザインはそのコンテンツをより魅力的に伝えるための道具であるべきです。シンプルだけどセンスがあり、ユーザーフレンドリーなデザインの中で、内容を通じて企業の魅力を差別化し、アピールすることが重要なのです。