採用業務の効率化によるメリットと10の改善策&求人方法を詳しく解説

2023/07/20

「業務効率化」、この言葉は、採用業務に関わる方々にとっては避けて通れないテーマの1つとなっています。

採用業務の効率を引き上げることは、単に作業量を削減するだけではなく、採用にかかる費用を抑えることにも繋がります。さらに、この効率化がもたらすメリットとして、求める資質を持った人材にタイムリーに接触できるという利点が挙げられます。

本稿では、採用業務をより効率的に行うことで享受できる利益と、そのためにどのような改善や求人方法が有効なのかを詳細に解説していきます。業務改善のアイデアを求めている方、採用費用の削減を目指している方、優秀な人材を確保したいと考えている方、ぜひともこの記事を参考にしてみてください。

目次

基本的な採用業務の流れとその効率化メリット

採用業務とは、企業が新たな人材を獲得するための一連のプロセスを指します。このプロセスをスムーズに進めることが、企業の成長を支える基盤となるのです。しかし、採用業務は多くの手間と時間を必要とします。そのため、採用業務を効率化することで、何が得られるのでしょうか。では、まず採用業務の基本的な流れを振り返り、その後で効率化によるメリットについて詳しく見ていきましょう。

・採用計画の立案について

経営上の課題や事業に対する戦略、そして必要とされる採用人数を基に、採用活動の詳細やスケジュールを策定し、採用計画を作成する段階です。

採用活動における準備段階とは何かを理解するためには、以下の要素を明確にする必要があります。「企業が求める人物像の具体化」「企業の魅力を言語化すること」「採用プロセスの設計」「最適な採用メディアの選択」「適切な採用面接官の選定とその教育」。これらの要素を把握し、適切に実行することで、成功する採用計画を立案することが可能となります。

・募集活動について

採用計画に基づき、求める人材を探すための募集活動は、採用予算を超えない範囲で効果的に行う重要な段階です。

また、自社の求人情報を正確かつ魅力的に伝えることも、重要な業務の一部となります。これにより、求職者が自社のビジョンやカルチャーを理解し、自分自身がその中でどのように活躍できるかをイメージしやすくなります。

具体的な募集手段としては、求人媒体の利用や人材紹介サービスを活用することはもちろん、自社の採用サイトやSNSを使ったプロモーション活動も有効です。さらに、既存の社員による紹介や採用イベントの開催なども、多様な人材を引き寄せるための有効な手段となります。

・応募者の選考、面接について

まず、適切な人材を探すためには、書類選考、説明会、筆記試験、面接など、複数の選考ステップを経て候補者を見極める必要があります。

現在、求職市場は求職者にとって有利な売り手市場であると言われています。このため、応募者は多くの企業から選ぶことができます。その状況を理解し、自社が他の競合企業と比較されていると認識することが大切です。選考の過程を通じて、自社への理解を深め、応募者の動機づけを図ることで、志望度を高めることが求められます。

また、応募者の中には、早期に内定が決まった企業を選ぶ人もいます。そのため、応募から内定までの期間をできるだけ短くする工夫も必要となります。これによって、求める人材を逃がさないようにすることが重要です。

・内定出し後のフォローについて

内定を出した後の次なる段階とは、内定者に対して通知を行い、彼らの入社の意向を確認するという重要なステップとなります。

もし中途採用の場合には、内定を出す前後において、入社後の待遇について決定するための条件面談を実施することも一部の企業では行われています。

また、内定者が複数の企業からの選考を同時進行させている場合、その状況を把握しつつ、適切なサポートを提供することが求められます。

内定辞退という結果を避けるために、頻繁にコンタクトを取り、確認を行いながら、必要に応じて企業の内部を見学する機会を提供したり、社員とのコミュニケーションの場を設けることも勧められています。さらに、内定者向けの研修やランチ会など、内定者をフォローアップする様々な活動を行うことで、新入社員の定着をより確実なものとすることができます。

・入社手続きについて

あらかじめ決められた入社日に、内定者を迎えます。
入社後に困ることがないよう、入社するまで丁寧なフォローが重要です。

採用業務を効率化するメリット

採用業務の効率化を図ると、以下のメリットが得られることが期待できます。
それぞれ詳しくみていきましょう。

・人事部の負担軽減

採用業務は、企業にとって重要な職務の一つでありながら、人事担当者が他の日常業務と共に行うことが一般的です。

この採用業務には、「候補者との交流」、「面接のスケジュール調整及び面接実施」、「内定者への継続的なサポート」など、多岐にわたるタスクが含まれます。

それらのタスクを通常の業務と同時に進行させると、採用活動の迅速な展開が困難になるだけでなく、企業全体の人事戦略に悪影響を与える可能性があります。

採用業務で人的リソースが不足するという事態を避けるためには、採用プロセスを効率化し、人事担当者の業務負荷を適度に保つことが重要です。これにより、人事部の負担が軽減され、組織全体のパフォーマンス向上に寄与することが可能となります。

・優秀な人材の確保

人材採用業務を効率化し、不必要な業務を取り除くことで、採用にかかる時間を短縮することができます。これにより、素早い採用活動を展開することが出来るようになります。

さらに、応募者との信頼関係の構築や相互理解を深めるための対話により多くの時間を割くことができます。これにより、応募者が途中で活動を止める、または採用を辞退する可能性を減らすことができます。その結果、優秀な人材を採用する可能性が高まるのです。

採用業務での主要な課題とは何か

採用業務の効率化にあたり、効率化が難しい部分が一部存在します。
効率化が難しい採用業務とはどのようなものか、具体的にみていきましょう。

・対応する応募者や社内でのコミュニケーションの負担

人材採用のプロセスは、応募者とのコミュニケーションだけでなく、組織内の採用担当者や面接官、さらには経営層との交流も含まれています。これらはすべて、質の良い人材を確保するために欠かせないプロセスです。

応募者とのコミュニケーションは、応募者が企業について理解し、企業も応募者を理解するための重要な機会です。これを削減することは、優秀な人材を見逃す可能性があります。

また、面接官や採用エージェント、決裁者との調整も採用のスムーズな進行には欠かせません。彼らが持つ情報や視点は、最終的な採用決定に大きな影響を与えます。

しかし、これらのコミュニケーションは、具体的な量を測ることや自動化することが難しいため、採用業務の効率化には障壁となります。

コミュニケーションの効率化は困難ですが、その他の業務においては効率化の余地があるかもしれません。そこで、それらの部分に焦点を当てて、どのように改善できるかを考えてみることが大切です。

・新しい施策や改善策の実施にかかる負担や工数

企業の中には、自社にふさわしい人材を引き寄せられないという課題を抱え、人材採用の質を向上させたいと考えている場合が多いでしょう。

しかし、そのために新たな取り組みや改善策を導入すると、人材採用業務に対する負担が増大するという課題が生じることがあります。

新規の取り組みや改善策によって生まれる成果は一朝一夕には現れません。その成果が具体的な形で表れるまでには、相当な時間を費やす必要があります。そのため、成果が見えるようになるまでは、増えた負担を背負わざるを得ないという状況が生まれるのです。

・業務のシステム化の難易度高い

人材採用では、システム化が困難な業務が多く存在します。

全体的に見て、採用業務は一定のパターンを繰り返すことが特徴的ですが、各個の応募者が抱える状況は異なります。例えば、一部の候補者は内定を受けてすぐに入社の決断を下しますが、一方で、入社に対して躊躇する者もいます。そのため、すべてのケースに対してシステム的なアプローチで対応するのは難しいのです。

具体的な例として、面接の日程調整を挙げることができます。この業務は他の採用業務に比べてシステム化しやすいと言えますが、現実的には、日程調整の連絡を取る過程で、候補者の志望度や活動状況を把握したり、面接官との情報共有や面接の姿勢を調整したりするためのコミュニケーションが必要です。

採用業務を無理にシステム化しようとすると、このような重要なコミュニケーションが阻害され、結果として望んでいた候補者を逃してしまうという問題が生じる可能性があります。

したがって、採用業務をより効率的に進めるための6つの改善方法を次にご紹介します。

採用業務の効率化を図る6つの改善法とシステム

採用業務の効率化は、企業の発展と成長に必要不可欠な要素です。効率的な採用活動は、適切な人材をタイムリーに見つけ出すことを可能にし、企業の競争力を高めます。では、具体的にどのような改善策が存在するのでしょうか。ここでは、採用業務をより効率的に進めるための様々な改善方法や、業務効率化を後押しするシステム、サービスについて詳しく見ていきましょう。

・採用フローの見直し

人材採用の効率化を実現するためには、まずは現行の採用フローを細かく見直すことです。特に採用に関する業務で、担当者が大幅な時間を投入している業務や、手間取っている業務があるかどうかを確認しましょう。

改善の余地がある箇所を特定したら、次にその箇所をどのように改善すれば生産性が増加するかを検討します。この段階では、具体的な改善策を思いつくことが重要です。

採用業務の改善と見直しを行う際には、効率的な方法として「ECRSの法則」を活用することがおすすめです。

ECRSの法則とは、「Eliminate(排除:取り除く)」「Combine(結合:つなげる)」「Rearrange(交換:組み替える)」「Simplify(簡素化:単純にする)」の頭文字を組み合わせたもので、これらの手順をEからSの順に進めていくことで、優先順位を明確にしながら、効果的な業務改善を実行できます。この法則を適用することで、採用フローの見直しはより明確で、結果的にはより効率的なものとなります。

・システムを使った自動化

これまでのExcelを使用した人事の管理方法では、同時期に複数の職種や雇用形態で求人を募集する時、応募者の管理から面接、そして選考の進捗管理まで、かなり煩雑な業務となり、それが大きな負担となることが避けられませんでした。

これに対して、採用管理システムの導入を考えると、人事業務の一部を自動化することが可能となります。これにより、人手で行っていた一部の作業をシステムが担当することで、大幅に手間を削減することができます。

具体的には、採用管理システムを利用することで、エントリーフォームを「正社員」「契約社員」「派遣社員」「パート」などの雇用形態ごとに細かく分けて管理することが可能になります。これにより、それぞれの雇用形態に対する応募者を一元的に管理でき、求人の対応を迅速に行うことができます。

さらに、どの応募者がどの雇用形態・職種で応募したかを自動的に記録するため、人手をかけずに管理することが出来るようになります。これにより、応募者の管理が一層スムーズになり、より効率的な人材採用が実現可能となります。

・評価基準の標準化

人事部門の一員として、重要な役割の一つに、人材を必要としている各部門との活発なコミュニケーションがあります。その中でも特に重要なのは、求められる人材の特性やスキルを正確に把握し、明示的な採用基準を設定することです。

評価基準を具体化することで得られる利点は大きいです。それは、「期待と現実が違った」と感じて退職する者を減らすことができます。また、部署の要望と新しい社員の能力がマッチしないためにその能力が活かされずに無駄になってしまう、という状況を避けることもできます。これらはすべて、人材と企業や部署間のミスマッチを防ぐための重要なステップとなります。

・採用代行(RPO)サービスの活用

採用代行、あるいは「RPO」(Recruitment Process Outsourcing)とは、企業の雇用プロセスを専門的に処理する「採用代行サービス」を示す用語です。

このサービスにより、採用のエキスパートが面接を担当し、企業は時間とリソースを大幅に節約することができます。さらに、適切な採用基準に基づいて、理想的な候補者を見つけることが可能となります。

人材を必要とする企業の人事部門は、新たなメンバーの追加に関連する人件費や研修コストなど、様々な費用負担を抱えています。しかし、採用代行サービスを活用することで、これらのコストを削減し、効率的に適格な人材を採用することが可能となります。これは、企業にとって大いに経済的なメリットをもたらすはずです。

・採用管理システム(ATS)の導入

採用管理システム、一般的にはATSとも呼ばれ、その名が示す通り「Applicant(応募者)」、「Tracking(追跡)」、「System(システム)」の頭文字を取ったものです。これは求職者の募集やエントリーの受付、また候補者とのコミュニケーションや進行状況の管理といった、採用に関する多くのタスクを効率的に行うためのシステムです。さらに、企業が自身の選考過程で得た情報を分析し、その結果を採用力の強化に活用するためのツールでもあります。

採用管理システム(ATS)の導入によって、募集から採用までの一連の過程に関わる情報を一元的に管理することが可能となります。これにより、採用に必要な時間を大幅に削減することが可能となります。

さらに、このシステムを利用することで、各種情報を言葉や数値として表現し、それを社内で共有することが容易になります。これは採用業務が特定の個人やチームに依存することを防ぐ大きなメリットとなるでしょう。このように、採用管理システム(ATS)の導入は、企業の採用プロセスをより効率的で公平にするための強力なツールとなります。

・オンライン面接ツールの導入

オンライン面接ツールは、インターネットを活用して距離を問わずに面接を実施可能とする便利なツールです。多くの場合、チャットや録画といった機能を備えています。

企業が自身のオフィスで面接を行う従来の方法では、求職者の交通費の負担が発生することがあります。これに対し、オンライン面接ツールを使用すれば、会場のレンタル費や交通費といった経費は一切かからないため、企業のコスト削減に大いに役立ちます。

また、オンライン面接ツールの導入は、地方在住の求職者にもメリットをもたらします。移動に伴う時間や費用を気にすることなく、自宅から気軽に面接に参加できるため、面接への参加ハードルが大幅に下がります。これにより、多様な人材の採用が可能となり、企業のビジネス展開にも寄与します。

効率的な採用のための5つの求人手法

人手不足や人材確保の厳しさが増している現代社会において、採用業務の効率化は企業にとって重要な課題となっています。その中で、採用業務の見直しや新しい採用ツールの導入といった手法が一般的に取り入れられています。しかし、これら以外にも、求人方法そのものを改革することで、採用業務を一段と効率化することが可能です。

それでは、採用業務を効率化できる求人方法とは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、その手法について詳しく解説していきます。

・SNS広告戦略

SNSを使った求人広告の掲示方法について説明します。つまり大手のSNSプラットフォームであるFacebookやInstagramに求人広告を掲載する方法です。

多くのSNSプラットフォームにはコンテンツを簡単に共有できる機能が備わっています。そのため、企業が自身のアカウントから求人情報を発信すれば、それがSNSのユーザーによって自然と拡散されます。結果として、一般的な採用サイトでの募集よりも、多様な背景を持つ人々からの応募が期待できるのです。

このような広範囲にわたる応募者の存在は、企業が新たな才能を発掘し、より広範囲のスキルと経験を持つ人材を採用するチャンスを提供します。それはあなたのビジネスが成長し、進化するための鍵となるでしょう。

・オウンドメディアと自社の採用サイト

自社が直接運営し発行するメディア(オウンドメディア)や、自社のウェブサイトを通じて行う人材募集について解説します。

オウンドメディアや自社ウェブサイトを通じて人材を募集すると、求人広告を出す必要がなくなり、その分採用コストを大幅に削減することが可能になります。

さらに、自社の独自の企業風土や、求める人材への期待をそのまま表現することができるため、求職者に対して自社のブランドイメージを強く印象付けることができます。

独自の採用サイトがあれば、求職者はその会社がどのような人材を求めているのかをより深く理解することができます。その結果、より適切な人材が応募する可能性が高まり、採用成功率も向上します。

・ハロワークの活用

ハローワークは、国の厚生労働省が管轄する公的機関であり、その主な役割は求職者に対し求人情報の提供や、就職に困難を抱える人々への支援を行うことです。

その特徴的で魅力的なサービスとして、企業が無償で求人を公開することが可能であることが挙げられます。これは、特にスタートアップや中小企業にとっては経済的な負担を軽減する大きな利点となります。さらに、「応募者がハローワークを通じて連絡してくる」や「就職面接会や企業説明会への参加」といった機会を提供するなど、企業側から見ても多彩な支援が得られる点が大きな魅力と言えるでしょう。

・リファラル採用の活用

リファラル採用とは、会社の社員が自らの人脈を活用して新たな人材を紹介するという採用手法を指します。

この方法の最大の特長は、社員自身が会社の雰囲気や働く環境を直接知っているため、紹介した人材が求めている環境と会社の実情が合致しやすい点にあります。これにより、仕事内容や職場環境の違いから生じるミスマッチによる早期退職を防ぐことが可能になります。

さらに、リファラル採用は求人サイトの利用や人材紹介サービスの利用が不要となるため、採用にかかるコストを大幅に節約することも可能です。つまり、リファラル採用は人材と企業のマッチングの質を高めつつ、採用コストを削減するという二重のメリットを持っています。

まとめ

採用を効率良く進めるためには、まず自社の採用プロセスを徹底的に分析し、どの部分を改善すれば効果が最も高まるかを見つけ出すことが必要です。

採用の全過程をツールによって自動化したり、他の企業に業務を委託することも一つの方法です。しかし、自社の採用過程の中でどこが最も効率化の余地があるのかを特定し、その部分に焦点を当てて改善に取り組むことで、コストを抑制しつつ驚くほど早く効果を実感できる改良が可能になります。

本記事を活用して、採用業務の効率化に挑戦してみてはいかがでしょうか。人材採用の効率化は、組織全体の生産性向上にも大きく寄与する重要なステップです。今すぐ始めて、その変化を実感してみましょう。