人事担当者注目!中途採用者が退職する理由と定着率向上の手法

2023/07/21

中途採用は、企業にとって即戦力となる人材を獲得するための一つの手段として広く利用されています。しかし、中途採用の新入社員が早期に退職してしまうという問題がしばしば見受けられます。

企業風土に適応できなかった、期待していたキャリアパスが実現しなかったなど、中途採用の人材が退職を選ぶ背景には、多種多様な理由が存在します。

この記事では中途採用者が退職を決断する理由を深堀りし、それを未然に防ぐための具体的な策を提供します。これにより、中途採用の人材の定着率を向上させるためのヒントを得られることでしょう。

目次

  • 中途採用の現状
    ・中途採用とは何か?
    ・中途採用者の離職率
  • 中途採用者が早期退職する5つの原因
    ・会社の雰囲気が合わない
    ・応募者が実力を発揮できない環境だった
    ・想像と違う職務内容
    ・キャリアアップが期待できない状況だった
    ・教育とサポートの不足
  • 中途採用者への定着対策の5つについて
    ①採用対象の明確化
    ②会社の雰囲気や待遇について具体的に掲載する
    ③職歴やスキルをよく確認する
    ④中途採用者を積極的に受け入れる雰囲気作り
    ⑤入社後の徹底したサポートを実施
  • まとめ

中途採用の現状

中途採用について確認してみましょう。中途採用とは、企業が経験者やスキルを持った人材を途中で採用することを指します。新卒採用とは異なり、中途採用者はすでに一定の業界知識や技術を持っているため、企業にとっては即戦力となる可能性があります。
しかし、一方で中途採用者の離職率は無視できない数字となっています。中途採用が多い企業では特に、その現状を理解することが重要です。今回は、その中途採用者の離職率が実際にどれくらいなのか、数値を用いて具体的にご紹介します。

この現状を把握することで、企業としては中途採用者がなぜすぐに退職してしまうのか、その理由を探ることが可能になります。それにより、より良い採用策を導き出すこともできるでしょう。中途採用の現状を知ることは、会社の成長と存続にとって重要な要素となりますので、ぜひ参考にしてください。

中途採用とは何か?

中途採用とは会社組織等における採用の一種で、具体的には既卒者、第二新卒者、またはその他の職務経験を持つ人々の採用を指します。一般的に、学生が高校や大学を卒業してすぐに就職する新卒採用とは異なり、中途採用は年度の途中でも実施されることが特徴です。
中途採用という言葉は一見単純に見えますが、その背後には多様な採用方法や目的が存在します。例えば、「経験者採用」や「キャリア採用」では、即時に業務に対応できる能力を持つ人材を探すことが目的となります。また、「障がい者採用」では、様々な属性を持つ人々が共存するダイバーシティ環境の形成を目指します。これらは全て中途採用の一部であり、採用方法や求める人材は企業ごとに大きく異なります。

新卒採用は、新たな社会人としてのマナーやスキルを培う育成期間を含む長期的な人材開発計画の一部です。対照的に、中途採用は即戦力として活躍できる人材を迅速に確保することが目的となります。これは年度の途中で突然生じる組織の人員不足や増員に対応するためであり、応募者の既存の社会経験や職務経験が重視されます。これらの特徴は中途採用が新卒採用とどう異なるかを示しています。

中途採用者の離職率

中小企業庁の公表したデータによれば、中途採用者の3年以内の離職率は30%以上に上ると報告されています。これは、中途採用した人材のうちおおよそ3人に1人は3年以内に退職するということを示しています。

職種や企業の規模によっては異なる結果となるかもしれませんが、採用したものの約3割の人材が3年以内に退職するという高い離職率は、多くの企業が速やかに解決したいと思う問題の一つではないでしょうか。
企業は中途採用者を「即効力」を持つ人材と見なし、採用することが多いです。そのため、従業員教育などを行わずに、直ちに部署に配属することが一般的となっています。

しかし、中途採用者に対して十分な導入教育を行わないで現場に送り込む結果、以前の職場と新しい職場の作業方法の違いに混乱してしまったり、作業の手順について現場の従業員との摩擦が生じたりするケースがあります。これらは、すぐさま転職を考える一因となります。

中途採用者が早期退職する5つの原因

会社の雰囲気が合わない

新たな職場の社風に適応できないと、中途入社した従業員が早期に退職するケースが少なくありません。

例を挙げれば、前の職場で営業職をしていた人が、短い期間での目標達成が求められていた環境から、より長い時間をかけて顧客のニーズに対応するサービスを提供したいと考えるような状況があります。
こうした仕事の進め方や目標設定等、あらゆる要素が自身の価値観や働き方と合わない場合、その不一致が大きなストレスとなり、結果的に退職へと繋がってしまうこともあります。

中途採用者は、自身の性格や価値観に合う職場を求めて転職を決断します。ですから、実際の職場環境が彼らの望む社風と大きく異なる場合、そのギャップが早期退職の一因となり得ます。これが、新たに採用した人材がすぐに辞めてしまう事態を生む原因の一つです。

応募者が実力を発揮できない環境だった

転職後に新たな職場の上司や同僚とソリが合わずに、これによってストレスが蓄積し、結果として早期に退職を選択するという事例は、中途採用者の間で見受けられます。
働く場所での人間関係は、その場所で働くことの心地よさに直接影響を与える要素であり、新たな職場での人間関係を築くことは、中途採用者が直面する重要な課題です。

しかしながら、どんなに努力しても、社内の人間関係に溶け込むことが難しく、これがストレスのもととなってしまうケースは少なからず存在します。
上司や他の社員との相性は、中途採用者が転職を決定する前には判断が難しい項目で、これが転職後に人間関係に悩む原因となり、結果として早期に退職を選択する事態を招いてしまうのです。

想像と違う職務内

中途採用者が新たな職場で直面する問題の一つは、実際の仕事内容が事前に聞いて理解していたものと異なるというケースです。これは、新たな職場での生活を早々に終える要因ともなります。

この問題は、企業が採用時に伝える業務内容と、実際の業務が一致しない場合に生じます。新しい環境での仕事に対応できず、自身が不得意と感じる業務を続けなければならない状況に直面すると、中途採用者はその業務に適応できず、退職を考えるケースが見受けられます。

特に、自分の得意分野やスキルセットと異なる業務をこなすことになった場合、不満が徐々に高まり、中途採用者は早期退職を選択することが少なくありません。このような状況は、企業と中途採用者双方にとって望ましい結果をもたらさないため、事前の業務内容の共有や、期待値の調整が重要となるのです。

キャリアアップが期待できない状況だった

一部の中途採用者は、自身のキャリアを高めるために、実績を積み重ねることを目指しています。しかし、入社前に説明された職務内容と実際に行う業務が異なる場合、自分のキャリアを発展させるチャンスがないと感じることがあります。

このような状況では、転職の目的が達成できないと感じ、不満が募る傾向にあります。これが原因で、新たな職場をすぐに退職してしまうケースも見受けられます。

キャリアアップを積極的に追求していない中途採用者でも、仕事を始めてみて自分に合わないと感じる場合、退職を選択することがあります。
さらに、より高収入を求める人や企業の上層部へ昇進することを望む中途採用者にとって、キャリアアップの機会が限られた職場では、長期的に働くことが難しくなる可能性が高いのです。

教育とサポートの不足

労働環境が整備されていないと、新たに入社した中途採用者が迷うことや、不安を感じ、その結果としてすぐに退職を考える可能性があります。これは特に教育やサポート制度が不十分な場合によく見られることです。
たとえそれまでの経験やスキルが豊富であったとしても、中途採用者にとって新たな職場は未知の領域です。企業ごとに業務内容や進め方は異なるため、新しい環境に適応するまでの間、サポートが不可欠となります。

もし、新たな職場の企業方針を十分に共有できなければ、中途採用者は自分の方法で仕事を進めざるを得なくなり、不安感を抱きやすくなります。
中途採用者が即戦力と見なされて放置されると、新しい職場のやり方を理解するまでに時間がかかり、不安を感じることが多くなります。

中途採用者の離職を防ぐためには、入社後すぐに企業の運営方針や働き方についての教育を行い、安心感を提供する必要があります。これにより、中途採用者が長期間働くことが可能となり、企業の成長に貢献することができるでしょう。

中途採用者への定着対策の5つについて

新たに会社に加わった中途採用者が早期退職をする原因はさまざまです。入社後のフォローアップが不十分な場合や、配属された部署での人間関係が良好ではないといった状況が考えられます。

中途採用者が安心して勤続できる環境を作るために、どのような対策が有効なのでしょうか。以下では、中途採用者を会社に長く留めるための5つの効果的な対策について詳しくご紹介します。

①採用対象の明確化

人材採用のプロセスは、一種のパズルゲームとも言えます。その成功の鍵は、「自社に必要な人材像は何か」を事前に明らかにすることにあります。

この人材像を明確にすることは、採用のミスマッチを未然に防ぐための重要な手段です。これは、企業が求めるスキルや価値観を理解した上で、自己適合性を判断し、応募する候補者を引き寄せるための具体的なステップとなります。これにより、企業は自社と合わない候補者との面接や調整といった時間とコストを大幅に削減することができます。

このプロセスは、「早期退職者を採用しない」という合理的なアプローチでもあるため、人事の問題を根本から解決するという観点からも重要です。

②会社の雰囲気や待遇について具体的に掲載する

求職者たちは福利厚生に対して関心を持っています。そのため、募集の段階で会社の雰囲気や待遇を詳細に明示しておくことで、企業は早期退職者の採用を未然に防ぐことが出来るようになります。

中途採用の社員がすぐに退職する主な理由の1つとして、待遇面での不満が挙げられます。福利厚生が充実している企業は、その情報を求職者に対してあらかじめ提供し、その上で募集を行うというアプローチがいいでしょう。
また、業務内容を明確に記載することも大変重要です。「営業」や「事務」といった抽象的な表現よりも、具体的な業務内容を求人票に記載することで、求職者は自分がどのような仕事をするのかをより具体的にイメージしやすくなります。

待遇が期待以下だと感じた中途採用の社員は、早期退職を選ぶ傾向が多いです。企業としては、求人を開始する前に待遇の内容やその提供の有無を正確に伝えることが重要です。これにより、企業と求職者双方にとって最適な採用ができるようになります。"

③職歴やスキルをよく確認する

面接の際には、候補者の職歴やスキルを徹底的に理解することがとても大事です。これにより、短期間で離職してしまう可能性のある人材を採用するリスクを避けることができます。

人材採用は企業にとって大きな投資であり、長期間働いてくれる人材を探すことは企業にとって重要な課題です。そのため、面接時には応募者の詳細な情報を確認し、しっかりとコミュニケーションを取ることが必要です。

適任の人材を採用するためには、大量のエネルギーと時間が必要となります。ですので、面接の段階で候補者の職歴やスキルを詳しく調査することで、その人材が早期に離職してしまう可能性があるかどうかを事前に推測することができます。

また、企業と候補者がお互いに最適なマッチングを図るためには、面接には配属予定の部署の上司も同席することがおすすめです。これにより、候補者が自社のカルチャーやチームにフィットするかどうかをより精緻にに判断することができます。

さらに、経歴が豊富な応募者に対しては、過去の退職理由をヒアリングすることも必要になります。それにより、候補者の性格や価値観、仕事に対する考え方などが見えてきます。

さらに、適性検査を活用することで、面接だけでは見えにくい候補者の能力や適性を探ることができます。これらの手段を組み合わせることで、自社に最適な人材を見つけ出すことが可能となります。

④中途採用者を積極的に受け入れる雰囲気作り

中途採用者が会社にスムーズに溶け込むためには、企業としてそのための環境を整備することが肝心です。その一環として、懇親会などの社内イベントの設定は、新たなメンバーと既存の社員間での人間関係を深める絶好の機会となります。
中途採用者と既存スタッフ間のコミュニケーションが不十分だと、新入社員が早期に退職するリスクが高まる可能性があります。それは、人材の投資と維持に関して企業にとって大きな損失をもたらす事態となりかねません。

したがって、新たなメンバーが安心して働ける社内環境を作り、定着率を高めるためには、社内交流の場を提供することが不可欠です。これにより、互いの理解を深め、一体感を醸成することができ、結果的には全体の業績向上にも繋がるでしょう。

⑤入社後の徹底したサポートを実施

新たに仲間入りした社員へのケアは非常に大切です。新入社員が業務に適応しやすい環境を提供するために、一人一人に専属のサポート担当者を配置し、彼らが安心して働ける環境を整えましょう。

新たな職場は、過去の業務経験がある中途採用者であっても、初めての地であるため方向性や仕事のやり方が見えにくい場合があります。このような状況に対処するためには、一定の期間、彼らに対してサポート役を設け、適切な教育を提供することが不可欠です。これにより、早期に退職する人材の数を減らすことが可能となります。

このような丁寧なサポート体制は、新たな労働環境に不安を感じる中途採用者に対する安心感が増します。新しい職場への適応が円滑に進むと、彼らの働く意欲も高まり、結果として長期的に企業に貢献し続けることが期待できます。

まとめ

職場での新たな挑戦として中途採用者を迎え入れることは、しばしば彼らが早期に退職するという事態に直面します。しかし、それぞれの退職の理由は人それぞれで、一概には言えません。
それゆえ、中途採用者と企業の間で起こり得るミスマッチを最小限に抑える対策を考え出すことが、退職率の低下に繋がると言えます。

本記事に書かれている内容を基に、中途採用者との関わり方やケアの方法を改善する機会を設けてみてはいかがでしょうか。

そして、あなたの企業にぴったり合った人材を見つけ出すためには、採用サイトを魅力的に見せることが不可欠です。リクデザなら、あなたの企業のさまざまな魅力を引き立てる採用サイトを作成することが可能です。応募者数の増加だけでなく、あなたの企業に最適な応募者を集めることができるでしょう。