我々の社会は少子化により、人材の採用がより困難な状況になっています。この結果、企業の採用コストは年々増大しており、この問題にどのように取り組むべきかを探求している採用担当者も多いでしょう。
しかし、採用の成功は必ずしも大きなコストをかけることに直結するわけではありません。資源を最も必要とする部分に焦点を当て、効果的に費用を投じることで、より効果的な採用活動を展開することが可能となります。
本記事では、各業界での採用コストの平均相場を考慮しつつ、コストを抑制するための主要なポイントを解説します。これにより、採用担当者はより効率的でコスト効果の高い採用戦略を策定することができるでしょう。
目次
- 採用にかかるコストとは?
採用コストと採用単価の違いは? - 採用コストは「外部コスト」と「内部コスト」に分類される
外部コストについて
内部コストについて
- 【雇用形態ごと】採用コストの平均価格
新卒採用の際の平均的な採用費用相場
中途採用の際の平均的な採用費用相場
アルバイトの採用に関するコストの平均相場 - 採用にかかるコストの計算方法向
企業の採用コスト:外部+内部コスト
外部コストの具体例
外部コストを調べる方法
内部コストの具体例
内部コストを調べる方法
採用単価計算方法:採用費用÷採用した人数
- 採用コスト削減の9つのポイント
外部コストの見直し
ダイレクトリクルーティングの実施
採用広報に力を入れる
SNSを採用を実施する
リファラル採用を行う
内部のコストの見直し
採用ターゲットの見直し
選考フローの見直し
カジュアル面接の導入手順
- まとめ
採用にかかるコストとは?
採用活動におけるコストには、どのようなものがあるのでしょうか。
はじめに、採用コストの内訳をみていきましょう。
採用コストと採用単価の違いは?
採用コストというのは、企業が人材を採用する際に投じる全てのコストを総合したものを指します。これには、求人広告の掲載費や人材紹介会社に支払う報酬、採用管理ツールの利用料金、採用を担当する従業員の人件費等が含まれます。これらの費用は、採用活動に伴う内外の出費を全てカバーしています。
一方、採用単価とは、1人の新人を採用するために必要な費用を指します。この用語は、応募者1人あたりの採用コストと同義で使用される場合もありますが、大抵の場合においては、採用コストと同じ概念を指すことが多いです。
採用コストは主として、求人広告や採用ツールのコストパフォーマンスを測るための基準として活用されます。具体的には、「求人広告の掲載費用÷採用人数」のような計算式を用いて、採用活動における投資の効果を確認することが可能です。
採用コストを採用した人数で割ることにより、全体的な採用活動において「1人を採用するためにどれだけのコストが必要だったのか」を明らかにすることができます。
企業が採用コストを理解していないと、人材採用の予算策定や投資の効果が把握できず、採用活動が「効率的に行われたのか」、「採用プロセスに無駄がなかったのか」といった点を評価することが困難になるでしょう。
そのため、採用活動におけるコストの使い方を定期的に検証し、改善することで、より効果的な採用活動を展開するためには、採用コストの把握が必須となります。
採用コストは「外部コスト」と「内部コスト」に分類される
採用コストとは、企業が新たな人材を採用するためにかかる経済的な負担のことを指します。この採用コストは、大きく「外部コスト」と「内部コスト」の二つに分けられます。外部コストとは、求人広告の出稿料や専門の採用支援サービスへの支払いなど、企業外部への支出を指すものです。一方、内部コストは、採用活動を行う社員の給与や、面接のための移動費など、企業内部で発生する費用を指します。これらのコストを合わせたものが、採用における全体的なコストとなります。採用コストを把握することは、効率的な採用活動の推進や採用計画の立案において重要な要素となります。
外部コストについて
外部コストとは、企業が人材を採用する際に、自社のリソースだけではなく、外部のサービスや専門機関の力を借りて発生する費用のことを指します。
具体的には、「求人情報を掲示するために支払う広告費」、「専門の人材紹介機関に人材を探すために支払う報酬」、「新たな人材を集めるための企業説明会を開催する際の場所や備品のレンタル費用」、「企業の魅力を伝えるために制作するパンフレットの制作費」などが含まれます。
これらは、企業が自力で人材を探すためのコスト(内部コスト)とは別に発生する費用であり、特に人材紹介会社を利用する場合や採用専門のウェブサイトを利用する場合には、この外部コストが大半を占めることもあります。従って、採用に関する総コストを把握し、適切な人材採用戦略を立てるためには、外部コストについて理解しておくことが重要となります。
内部コストについて
内部コストは、企業が新たな人材を採用する際に社内で生じる費用のことを指します。これには「採用を担当するスタッフの給与」や「社員が自身の人脈から新たな人材を紹介し、その結果採用に繋がった際に支払われる報酬(これをリファラル採用と呼びます)」、「面接に来た応募者の交通費」などが含まれます。
さらに、内部コストは社員の給与と一体化しているため、外部コストとは異なり、明確に計算することが難しい面があります。外部コストとは、人材紹介会社など外部のサービスを利用する際に発生し、請求書や見積書などの形で具体的な金額が分かる費用のことを指します。
なお、採用に関するコストについて詳しく知りたい方は、以下のリンクを参照してください。
→【採用サイト制作の流れ・費用相場・最適な制作会社の選び方】
【雇用形態ごと】採用コストの平均価格
私たちは先ほど、採用コストについて触れてきました。それは企業が新たな人材を採用するために必要な費用全体のことを指します。それらは広告費や採用活動の運営費、そして新たな従業員の研修費など、企業が人材を獲得し、育成するために費やす費用が含まれます。
さて、次に進む前に、採用コストの平均相場がどのように形成されているか、その背景について考えてみましょう。この平均相場とは、全ての企業が採用にかかる費用の平均値のことを指します。この数値がどのように決まるのかは、業界の平均的な採用費用、採用者の経験やスキル、さらには雇用形態など、多くの要素が絡み合っています。
これらの要素を理解した上で、現在の採用コストの平均相場を雇用形態別に見ていくことで、より具体的な採用戦略を立てるための参考にすることができます。例えば、正社員採用の場合とパートタイム採用の場合では、それぞれに異なるコストがかかるでしょう。これらの差を理解することで、企業は人材採用における予算や方針を適切に決定することが可能となります。
以上のことを踏まえて、次に採用コストの平均相場を雇用形態別に見ていきましょう。これにより、各企業の人材採用に関する方針や予算をより実践的に策定するための手助けとなることを期待しています。
新卒採用の際の平均的な採用費用相場
リクルートの「就職白書2020」を参照すると、2019年度の新卒一人当たりの採用費用の平均は約93.6万円で、前年度の71.5万円と比較すると、明らかに増加傾向にあることが確認できます。
この採用コストの上昇は主に、内部コストの増大が大きな要因となっています。
採用活動を進めるためには、人事担当者だけでなく、現場の社員など、人事部門以外のスタッフも関与することが一般的になってきています。こうした状況は、採用活動に参加する社員の数が増えることで、人件費という内部コストが増加する結果となります。
人事部門以外の社員が採用活動に積極的に関わることは、採用が難航する現在の状況を改善するためにも必要な動きと言えるでしょう。
また、インターネットを利用して就職活動を行う学生の割合が増えていることから、「採用活動のWeb対応」が課題となっている企業が多く、その結果、採用費用が増えたと感じている企業が半数近くに上るというデータもあります。
求職者が求職説明会や採用セミナーへの参加から、企業のWebページや求職サイトを利用するといったオンライン領域へと行動の場を移していることを考慮すると、企業としては従来の採用活動のアプローチを見直す必要性が出てきています。
参考:「就職白書2020」
https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/hakusyo2020-01-48-up-1.pdf
中途採用の際の平均的な採用費用相場
リクルートが発表した「就職白書2020」によれば、2019年度の中途採用に関するコストは平均で1人あたり103.3万円となっており、これは前年度の83万円と比較して増加傾向にあることがわかります。
中途採用は新卒採用と同じく、人事部門だけでなく現場の社員も採用活動に関与することが必要です。それは、採用が難しい現状に対応するための施策ともいえるでしょう。
特に注意が必要なのが、中途採用の場合には、早期退職を防ぐためにも「応募者のスキルレベルや専門知識が配属先の雰囲気や業務内容に適合しているか」を見極めることが重要となります。
人事担当者だけで選考を進めてしまうと、後から見たときにスキルや性格がマッチしていなかったというミスマッチが生じ、それが原因で退職に至るケースが生じることがあります。それは大きな損失となるため、現場の社員の意見や視点を取り入れて採用の選考を進めていくことが必要です。
しかしながら、中途採用の場合には企業ごとに求める経験やスキルが大きく異なります。例えば、第二新卒や未経験でも可能性を感じる人を対象とする採用の場合、平均コストは100万円を下回る可能性もあります。一方、経験豊富で即戦力となる人材を求める場合には、100万円を超えるコストがかかることも十分に考えられます。
そのため、平均コストはあくまで参考の1つであり、採用計画に応じた適切な予算設定が重要となります。採用コストは自社が求める人材によって変動するため、明確な採用ターゲットを設定することがまずは必要です。
参考:「就職白書2020」
https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/hakusyo2020-01-48-up-1.pdf
アルバイトの採用に関するコストの平均相場
2019年に実施された株式会社ネオキャリアの調査によれば、アルバイトを採用する際の平均費用は、東京都内で約6.4万円という結果が明らかになりました。
アルバイトの採用コストは、業界によって大きな差があります。例えば、飲食業やアパレル業界では、人気が高いため、採用単価は約5万円と比較的低価格です。一方、警備員や介護、看護職などの採用が困難な職種では、10万円以上という高額な採用コストが必要となる場合があります。
さらに、採用を行う地域によっても採用費用に違いがあります。それは地域ごとの最低賃金が影響を与えています。そのため、自社が採用する具体的な職種や地域によっては、全国平均とは大きく異なる採用コストが発生することも予想されます。
また、少子高齢化により労働力が減少し続けている現状から、アルバイトの採用コストは年々上昇傾向にあると言えます。
しかしながら、中途採用に関しては、企業ごとに必要とする経験やスキルに大きな差があります。
したがって、自社が希望する職種や地域の平均採用コストを把握し、採用にかかる費用を事前に見積もることが、採用活動を成功させるためには重要となります。
採用にかかるコストの計算方法
採用に必要な経費、すなわち採用コストの平均的な相場について軽く触れたところで、次のステップとして、その計算方法を具体的に解説していきます。この際、採用コストと採用単価の間に存在する微妙な違いにも注目しながら、その適切な算出法を一緒に見て行きましょう。この知識は、企業が人材採用にどの程度の投資をするべきか、または現状の採用活動が適切なコストをかけて行われているのかを判断するのに非常に役立ちます。
企業の採用コスト:外部+内部コスト
採用コストを理解するためには、それが「外部コスト」と「内部コスト」の二つの要素から成り立っていることを知ることが重要です。「外部コスト」+「内部コスト」が、結果として採用コスト全体を形成します。
この採用コストの概念を分析する際、単にコストが生じたプロセスを一覧にするだけではなく、「どのプロセスが外部コストに該当し、またどのプロセスが内部コストに該当するのか」を明確にすることが鍵となります。この理解を深めることで、より効率的でコストパフォーマンスの良い採用戦略を立てることが可能となります。
外部コストの具体例
外部コストという言葉は、会社が人材を採用する際に外部の力を借りて発生する様々な費用を指すものです。外部コストには、さまざまな項目が含まれます。以下にその代表的な例を挙げてみましょう。
まずは、求人媒体への広告掲載費用です。会社が人材を募集する際に、求人情報を広く伝えるために必要な費用となります。次に、人材紹介会社を通じて採用に成功した場合に支払われる成功報酬も外部コストに含まれます。
また、ダイレクトリクルーティング、つまりスカウトサービスの利用にも費用が発生します。同様に、自社の採用ページやサイト、パンフレットなどの採用ツールの制作費も外部コストの一部です。
面接時に求職者に支払われる交通費や、採用イベントや社員との懇親会で発生する飲食費も外部コストの一部となります。オンライン面接ツールの利用費、内定者へ提供する外部研修の費用、さらには内定者向けのSNSサービスにかかる費用なども含まれます。
求人広告を掲載したり、就職説明会に参加したりすると、これらの費用は決して少なくはありません。そのため、採用全体のコストにおいて、外部コストの割合が大きくなる傾向にあります。
それゆえ、外部コストを見直すことを考える際には、採用ツールを自社で作成したり、自社の求人サイトを設立したりといった、外部に頼っていた部分を自社で補うことが必要です。これにより、採用コストの最適化が図れるでしょう。
外部コストを調べる方法
外部コストとは何か、そしてそれをどのように調査するのか、これらは採用において重要な課題であります。外部コストは、企業が求人媒体や人材紹介会社などに支払う費用の事を指す言葉です。この費用を明確に理解し、適切に管理することが、社内のコスト削減や効率的な業務運営に役に立ちます。
外部コストを調査するためには、まず企業が外部に支払った費用を一つひとつ確認し、それを集計するところから始めましょう。例えば、各種の見積もり書や請求書は、企業がどのような項目に対して、そしてどれほどの費用を支払ったのかを具体的に示す資料です。これらを適切に整理し、分析することで、コスト削減の方向性を見つけることが可能になるでしょう。
ただし、外部コストを調査する際には注意点が一つあります。それは、社内のスタッフや志望者への支払いは外部コストに含まれない、ということです。この点を理解し、適切なコスト分析を行うことが必要です。
内部コストの具体例
内部コストは、企業が人材を採用する際に自社内で生じる費用のことを指します。以下に、内部コストの具体的な例を挙げてみましょう。
まず一つ目は、求人情報を公開するために支払う「求人媒体の掲載費用」です。二つ目は、「採用担当者が採用活動全般に費やす時間」です。この時間は人件費として計算されます。その他、採用に関わる時間を費やす各部門の責任者や役員の時間も内部コストとしてカウントされます。
三つ目は、「知人の紹介による採用(リファラル採用)」における社員への紹介報酬です。社員が自身の知人を紹介し、それが採用に繋がった場合、その社員に対して一定の報酬が出されることがあります。
また、「内定者懇親会費や各種会食費」や新たに採用された社員が引っ越しを行う際に生じる「転居費」も内部コストの一部です。
一般的に、採用活動全体の費用に占める内部コストの比率はそれほど高くないとされています。しかし、一部の採用工程を自社内で行うように変更した場合、その分の費用が内部コストとして計上されることもありますので注意が必要です。
内部コストを調べる方法
外部コストとは異なり、内部コストは集計が難しく、記録が不十分になりがちです。
内部コストとは、例えば説明会や面接を担当する社員の人件費や、電話対応を行うスタッフの給与など、企業内で発生する経費のことを指します。また、自社の従業員だけでなく、採用が決定した候補者にかかったコストも、内部コストとして集計されます。
外部コストと比較して、内部コストはその具体的な金額を把握するのが困難なことが特徴です。そのため、「どの業務にどれだけの時間を費やしたか」を把握することが重要となります。
事前に内部コストに該当する経費項目を定めておき、それにかかるコストが発生した際には、それを個別に計算して記録に残すことが必要です。これにより、どれぐらいの内部コストが発生したかを把握し、その効率化に役立てることが可能となります。
採用単価計算方法:採用費用÷採用した人数
「採用単価」という言葉は、新たな人材を迎え入れる際に1人あたりにかかる経済的な負担を表す値となります。この数値は、「採用にかかった全体的な費用を、採用された人数で割った結果」として明らかになります。
採用単価を適切に計算するためには、最初に採用に要した費用の総額、つまり採用コストを把握しておくことが必要です。そして、その後で必要な人数を採用した上で、採用単価を算出します。
多くの場合、採用コストと採用単価は同一視されることが多いのですが、採用単価を視野に入れて考えることで、「採用の規模をどれだけ拡大できるか」といった問いに答えるための重要な手がかりとなります。したがって、採用の経済性を考える際には、採用コストだけでなく採用単価にも注目することが重要となります。
採用コスト削減の9つのポイント
採用に関わるコストは、外部コストと内部コストと二つの要素に分けられます。それらの理解を深めた上で、採用コストをどのようにして抑えられるかについて説明いたします。
外部コストと内部コストの特性を理解し、それぞれに対する最適な対策を適用することで、採用コストを効率的に抑えることが可能となります。本項では、その具体的な方法について詳しく解説いたします。
外部コストの見直し
会社が自身の求人募集に関する要求事項に対応するために、どのように最適なサービスを選んでいくかが、費用を節約するための最も重要な要素となります。
何を無料のサービスで補うことができるのかを見極め、その結果、「どの部分を有料のサービスから無料の提供に切り替えるべきか」を深く検討することが非常に重要です。このようなアプローチをすれば、最終的には外部から発生する費用を抑制することができるでしょう。
ダイレクトリクルーティングの実施
ダイレクトリクルーティングという採用手法は、事業体が自主的に採用を希望する候補者に対して直接働きかけを行うものです。
多くの企業が採用に向けて求人サイトへの掲載や人材紹介企業への依頼を行ってきました。これらの手法は基本的には、企業が応募者や紹介者を待つという受け身の形態を取るものです。しかし、ダイレクトリクルーティングはそのような待つスタイルを逆手にとり、企業自身が主導権を握り、自社にマッチする人材を探し出し、自らアプローチするという積極的な採用アクションを取ります。
この手法には、「自社の特徴や魅力を個別に強調してアピールすることが可能」、「高度なスキルを有する求職者に直接自社の存在を認知してもらえる」といった利点があります。そして、具体的な求める人材像が明確に定まっている場合には、特に有効な手法と言えるでしょう。
ただし、ダイレクトリクルーティングにはスカウトの送信回数ごとに求職媒体に対して費用を支払うことが一般的です。そのため、候補者の見極めを丁寧に行い、少ないスカウト送信回数で採用を成功させることができれば、採用にかかるコストを削減することも可能です。
一方、スカウトメールの候補者選定には時間を要すること、また、候補者へのスカウト返信率を高めるためには、候補者に合わせてオリジナルなメールを作成することが求められるなど、内部でのコストが増える可能性があることを頭に入れておく必要があります。
採用広報に力を入れる
採用の費用を削減するための一つの戦略は、企業自らが主導的に採用活動を進めるという手法でしょう。
企業自らが主体となる採用の方法では、求職者の多くに対して自社への関心を引き出すことが大切となります。
たとえ企業側から積極的に行動を起こし求職者と接触を図ったとしても、その企業に対する関心が見られなければ、結果的に応募に至らず、その努力は無駄となってしまう可能性があります。
求職者が自社に興味を持つためには、採用広報を強化し、情報発信を行うことが必要となります。
求職者とのマッチング率を高めるためには、年収だけで人を動かすことのできない層や、まだ転職活動を考えていない潜在的な層など、幅広い人材に対して企業を広く知らしめることが重要となります。
例えば、企業のミッションを社長のインタビュー記事を通じて伝えたり、社員同士の対話を記事に掲載して社内の雰囲気を伝えるなど、実際に企業に入ってみないと分からないような企業の魅力を積極的に広報することが求められるのです。
SNSを採用を実施する
今日、TwitterやFacebook、Instagramなどの多種多様なSNSは、採用活動における強力なツールとなり得ます。これらのプラットフォームをうまく利用することで、企業は広範で多様な人材プールにアクセスすることができ、そのプロセスは基本的に無料で行うことが可能です。外部のリソースに頼らずとも、企業自身が手を出しやすい方法と言えるでしょう。
この方法が特に効果的なのは、2000年以降に生まれた世代、いわゆる「デジタルネイティブ」に対してです。彼らはインターネットと共に育ち、SNSを日常的に利用する傾向にあります。つまり、彼らにとって、企業がSNSを通じて採用活動を行うことは自然な繋がりとなるのです。
もちろん、SNSだけではなく、「Wantedly」や「Linkedin」などの専門的な採用サービスを使用することで、より高度なスキルを持った人材に直接接触するチャンスも生まれます。これらのプラットフォームを上手く活用することで、ITリテラシーが高い、SNSに精通した人材を獲得することが可能となり、それが結果的に企業の利益に繋がるでしょう。
リファラル採用を行う
リファラル採用というのは、従業員が自身の親しい関係者やビジネスパートナーを企業に推薦し、それが採用につながるという方法です。つまり、従業員自身が新たな人材を会社に引き入れる役割を果たします。
この方式を導入するためには、会社側がリファラル制度を適切に設計し、運用する環境を整える必要があります。しかし、その労力を考えても、リファラル採用は人材採用にかかる外部コスト、例えばエージェントへの成功報酬や求人広告の掲載費などを大幅に削減することが可能です。
リファラル採用は、単なる縁故採用とは異なります。その大きな違いは、応募者が通常の選考プロセスを経る点にあります。これにより、企業と候補者の両方が互いの期待値を確認し、調整する機会を持つことができます。これは、候補者が入社後に期待と現実のギャップに直面し、早期に離職するリスクを減らす一助となります。
結果的に、内定辞退や早期離職の発生率が低減し、人事コストの削減にもつながるわけです。そのため、リファラル採用は効率的かつ効果的な採用手法と言えるでしょう。
内部のコストの見直し
内部コストを削減するためには、採用に関与するスタッフの人数を削減するよりも、採用プロセスに掛かる時間を最小限に抑えることに集中することが重要です。
採用活動が長引くと、それに伴う人件費が増大する傾向があるため、採用プロセスを迅速に進めることが内部コストの削減に直結します。採用スピードを最大限に早めることで、内部コストを効果的にコントロールすることが可能となるのです。
採用ターゲットの見直し
ビジネスにおける採用活動は、企業の成長や進化のために不可欠な要素です。その中でも、我々が採用するべきターゲット、つまり求職者の像を再定義し、採用計画を見直すことで、企業の内部コストを効果的に削減することが可能となります。
採用するべきターゲットの再定義は、より具体的にはどのような人材を自社に迎え入れるべきか、そしてそのためにどのような採用活動を展開すべきかという全体的な見直しに繋がります。これにより、採用コストをどこに具体的に投資すべきかという視点が明確になります。
より詳しく採用ターゲットや採用ペルソナについて理解するために、以下のリンクを参照してみてください。
→「採用ペルソナとは? 採用戦略に重要な理由やメリット、作り方とポイントを紹介」
この記事では、具体的な採用ペルソナの作り方や、その重要性、利点について詳しく解説しています。
選考フローの見直し
人材の採用を適切に行うためには、選考フローの見直しが必須となります。「採用を担当する者の負担」、「新人が期待に沿わない(ミスマッチ)率」、「内定を断られる率」の3つの観点から選考フローを再評価しましょう。その中で、効率を高めたり、必要のない部分を削ったりすることが可能な箇所を見つけ出すことが重要です。
ただし、効率化を図るだけでなく、応募者にどのように働きかけるかを考慮することも大切です。「インターネットを使った面接を導入する」「社員との交流の時間を設ける」など、様々なアプローチ方法が存在します。これらを取り入れることで、より効果的な採用が可能となります。
※選考フローの改善について更に詳しく学びたい方は、以下のリンクから「採用業務の効率化によるメリットと10の改善策&求人方法を詳しく解説」をご覧ください
→「採用業務の効率化によるメリットと10の改善策&求人方法を詳しく解説」
カジュアル面接の導入手順
採用面接とは別の、より気軽な雰囲気で行うカジュアル面談が有用であると考えられています。
採用後に「職場の雰囲気が合わない」「同僚との人間関係に問題がある」などの理由で早期退職を選んでしまう人材がいることは、企業にとって大きな悔やみとなります。そのような採用ミスマッチを防ぐために、カジュアルな設定で互いの理解を深める時間を設けることが重要です。
求職者の経歴や将来のキャリアビジョン、企業が提供している職種の詳細な仕事内容など、具体的な情報を交換するだけでなく、どのような価値観を持って仕事に取り組んでいるのかという内面的な部分まで探ることで、採用のミスマッチをさらに防ぐことができるでしょう。
まとめ
人材採用にかかる費用は、企業にとって重要な経費の一部を占めます。そのため、一人当たりの採用費用を適切にコントロールすることは企業の経済的健全性に役に立ちます。
しかし、ここで重要なのは、ただ単に採用プロセスを省略したり簡略化したりすることでコストを削減するのではなく、質を維持しながらも採用コストを抑える方法を見つけることです。つまり、目指すべきは選考プロセスを効率化することで、これにより質の高い人材を確保しつつ、採用にかかるコストを抑制することが可能となります。
この記事が皆さまの参考になれば幸いです。採用コストを見直し、より効率的な選考プロセスを実現するための第一歩としてご活用ください。これからも自社の採用コストを見直す作業を進めていきましょう。