わが国の企業の採用活動において、「ダイレクトリクルーティング」と「採用サイト」の活用が繁に行われるようになっています。これらの手法は新たな人材採用の方法として急速に広まっているものです。
企業が直接に目指す人材へアプローチをかける「ダイレクトリクルーティング」、また企業が自らの魅力や求める人物像をアピールし、採用へとつなげる「採用サイト」は、両方とも積極的な採用活動を推進する手段と言えるでしょう。
今回の記事では、企業と求職者双方が良好な結果を引き出すための「ダイレクトリクルーティング」と「採用サイト」の活用方法を詳しく解説します。企業の採用活動をより効果的に進めるための秘訣を探求しましょう。
目次
- なぜダイレクトリクルーティングが注目されるのか?またその方法について
・ダイレクトルーティングって何?
・ダイレクトルーティング注目の2つの理由とは
・求める人材や転職潜在層に直接アプローチできる
・採用コストを削減できる - ダイレクトリクルーティングの主な方法4つ
1.スカウトサービスを活用した効率的な採用方法
2.SNSを活用した求職者へのアプローチ
3.採用イベントで魅力的な企業アピールを
4.自社の採用サイトでコスト削減 - 採用サイトを導入する企業が増えている理由・企業サイトとの違い
・採用サイトとは何か
・採用サイトと企業サイトの違い - 採用サイトを導入する企業が増えている理由
・応募者のマッチ度が上がる
・他社との差別化がはかれる
・コストを抑え、効率良く採用ができる - 採用サイト×ダイレクトリクルーティングのメリット・注意点
・採用サイトとダイレクトリクルーティングのメリット
・採用サイトとダイレクトリクルーティングにおける注意すべき点 - 採用サイトとダイレクトリクルーティングがマッチする業種と有効な使用シーン
・ダイレクトリクルーティングが向いてる企業とは
・ダイレクトリクルーティング活用のシーン3つ - ダイレクトリクルーティングでの求職者へのアプローチのコツ
・ターゲットにあわせたスカウトメールを作成する
・自社の魅力を伝える採用サイトに掲載するコンテンツ
・採用サイトとSNSの連携について - まとめ
なぜダイレクトリクルーティングが注目されるのか?またその方法について
まずは、ダイレクトリクルーティングが注目される2つの理由と、実際にどのような方法でダイレクトリクルーティングが行われているのかを具体的にみていきましょう。
ダイレクトルーティングって何?
「ダイレクトリクルーティング」というフレーズはまだ新しく、その解釈は人によりさまざまです。
以下に《ダイレクトリクルーティングの各種解釈》を示します
・企業自身の採用サイトをメインに活用し、人材採用を実施する
・企業の情報を詳細に揃え、求職者が興味を抱くような環境を整える
・直接的に求職者にスカウトをかける ・・・など
この記事では、ダイレクトリクルーティングとは「求人広告や人材紹介会社など第三者を介さないで、直接的に求職者にアプローチを行う採用手法」という意味合いで解説していきます。この定義を持つことで、企業自身が能動的に優秀な人材を探し出し、引き寄せることができます。
ダイレクトルーティング注目の2つの理由とは
ダイレクトリクルーティングという手法が、採用の世界で注目を集めています。その理由は2つあります。1つ目は企業が希望する人材に直接アプローチできる点、2つ目は採用にかかるコストを効率的に抑えられる点です。これらの理由について、より詳細に説明していきましょう。
まず1つ目、企業が望む人材に直接アプローチできるという点です。従来の採用方法では、リクルーティング会社や求人広告を通じて人材を募集する方法が主流でした。しかしダイレクトリクルーティングでは、企業が直接目指す人材にコンタクトを取ることが可能です。これにより、企業の求めるスキルや経験を持つ人材と直接やりとりができるため、より適切な人材を採用することが可能となります。
続いて2つ目、採用コストの削減が可能であるという点です。従来の採用方法では、リクルーティング会社への手数料や求人広告費用など、さまざまなコストが発生します。しかしダイレクトリクルーティングでは、企業自身が直接人材にアプローチするため、これらのコストを大幅に削減することが可能となります。これにより、企業の経済的な負担を軽減することができるのです。
以上が、ダイレクトリクルーティングが注目される理由となります。企業が求める人材に直接アプローチでき、さらに採用コストを削減できるというそのメリットから、今後ますますこの手法が広く活用されることが予想されます。
求める人材や転職潜在層に直接アプローチできる
ダイレクトリクルーティングを活用することにより、企業は希望する候補者の「居住地」「職業経歴」「年齢」などの詳細なプロフィールデータを用いて、自社の特定のニーズにマッチする人材を効率的に探し出すことが可能となります。
通常の採用手段では出会うことが難しい潜在的な求職者に対しても直接アクセスすることができるので、求人情報をより広範囲に伝えることが可能です。
さらに、転職を考えているがまだ行動に移していない「転職潜在層」にも自社の求人情報を知ってもらうことが出来るのです。
これにより、ただ単に新しい仕事を求めているだけの人々ではなく、自己成長を望み、より高いステップを目指している優秀な人材と接触するチャンスが生まれます。
企業側が主体的に「獲得したいと考える人材」に接触することにより、求職者が転職を考え始めたときにすでに候補として認識されていたり、以前の接触がきっかけとなって転職を検討する可能性も増えます。
ダイレクトリクルーティングの最大の利点は、転職を考えている人々(転職潜在層)と転職を具体的に行動に移している人々(転職顕在層)の双方にアクセスできる点にあります。これにより求人応募の幅を大きく広げることが可能となります。
採用コストを削減できる
ダイレクトリクルーティングという採用方法は、採用を行う権限を持つ担当者が直接求職者のプロフィールを見て対話を行う方法を指します。この方法の大きな特徴は、一般的な求人システムと比べて「採用したい理想の人材」と「実際に応募してきた人材」の間に存在するズレが少なくなる可能性がある点です。
この結果として、書類選考や面接といった手間とコストを削減できるだけではなく、早期退職した場合の新たな人材採用にかかるコストも抑えることが可能となるのです。
また、スカウト型の求人サイトを使用する場合、人材データベースの利用料が毎月発生しますが、これは求人情報誌の掲載料や転職エージェントの手数料と比較すると低価格であることが多いです。そのため、これを継続的に使用することで採用コストを大幅に削減することができます。
ただし、この方法は採用を希望する対象者からの応募数が多くなる可能性があり、それにより手間がかかる場合もあります。そのため、応募者数が予想を上回る可能性については事前に確認し、対策を練る必要があります。
さらに、成功報酬型のダイレクトリクルーティングでは、採用が成功した際に決まった料金が発生します。このシステムでは、採用人数によって料金が変動する場合もあります。内定を辞退した場合、返金されることもありますが、始める際の初期費用や月額費用は必ず必要となりますので、その点に注意が必要です。
ダイレクトリクルーティングの料金形態は、成功報酬型と定額型の2種類があるため、それぞれの内容やコストを十分に確認し、検討した上で自社の採用問題を解決するための長期的な戦略としてダイレクトリクルーティングを使用することが推奨されます。
ダイレクトリクルーティングの主な方法4つ
1.スカウトサービスを活用した効率的な採用方法
採用活動を行う上で、特定の候補者に直接アプローチできるダイレクトリクルーティングの手法があります。その一つが、候補者と直接交渉が可能な「オファー機能」を持つ求人サイトを利用する方法です。
新卒採用においては、サイトに登録されている学生のプロフィールを閲覧し、自社のニーズに合う学生に対してオファーを出すことが可能です。また、中途採用の目的であれば、候補者の「職務経験」や「年齢」、「希望年収」等を基に直接アプローチすることができます。
また、求人サイトによっては月額料金のみで無制限に職種を登録できるものや、成功報酬金が不要なものも存在します。これらを利用すれば、企業のニーズや予算に応じて効率的に採用活動を展開することが可能です。
初めてデータベースを活用した採用活動を行う方でも、専門家による無料セミナーが開催されています。ダイレクトリクルーティングを始める際は、これらのセミナーへの参加を検討することで、安心して採用活動を進めることができます。
2.SNSを活用した求職者へのアプローチ
「ソーシャルリクルーティング」――この言葉は、採用活動において、SNSプラットフォームを活用することを指しています。TwitterやInstagramなどのSNSを使って、求人情報を広めたり、直接スカウトメールを送るといった取り組みが行われているのです。
近年、特に10代から20代の若者たちの間でSNS利用が広まっています。これに伴い、企業からの公式な情報発信よりも、一般のユーザーによる口コミ情報を重視する傾向が強まりました。
この流れは、就職や転職活動の場でも同じです。求職者たちは、「まずはSNSで企業情報をチェックしよう」「もっと現場のリアルな情報が知りたい」と思っています。このようなニーズに応えるべく、企業側も求職者に対する情報発信の場としてSNSを活用するようになりました。特に、これから就職活動を始める大学生や、将来的に転職を考えている人々へのアプローチに効果的です。
企業側からみても、SNSを通じて気軽に情報発信することができ、ダイレクトメッセージ(DM)を用いて直接コミュニケーションを取ることも可能です。これにより、公式ウェブサイトでは伝えきれない企業の魅力を伝えることができます。
また、SNSの運用コスト面でもメリットがあります。アカウント作成は無料で、有料機能を利用する際も料金を調整できるため、全体的に低コストで採用活動を実施できます。これらの理由から、多くの企業がSNSを採用活動に積極的に活用しているのです。
3.採用イベントで魅力的な企業アピールを
新たな卒業生たちを対象とした「会社説明会」や「オリエンテーション」、「インターンシップ」、さらにはリクナビやマイナビなどの就職情報サイトが主催する複数企業が一堂に会する「合同イベント」など、多様な形式の採用イベントが現在展開されています。
企業側としては、これらの採用イベントに参加する際には、自社の魅力を最大限に引き立てるような企画を戦略的に構築することが必要です。その結果、採用にかかるコストを抑えつつ、自社ブランドの信頼性や共感を取り込むことができるでしょう。
企業が最も注力すべきは、イベント参加者に対して積極的なアプローチを行うことです。具体的には、イベントならではの企業担当者との対話の場を設けたり、自社の魅力を網羅した資料やグッズの配布、質問応答の時間、参加者間の交流会などの環境を整えることが重要となります。
近年では、若者たちが魅了されるような独特な企画や運営を行うイベントも増えてきており、各採用イベントを効果的に活用し、その中で積極的に取り組むことが重視されています。
4.自社の採用サイトでコスト削減
自社の採用サイトとは、企業の公式ウェブサイトとは異なり、採用に特化したウェブサイトを自社で運営して人材を募集する方法を指します。
この採用サイトの主目的は、求職者に対して企業の採用情報を詳細に伝え、応募者の数を増やすことにあります。
通常、採用サイトには「業務内容」「社内の雰囲気」「オフィスの設備」「待遇」「福利厚生」などの情報が中心的に掲載されます。
加えて、「社員インタビュー」や「社長のメッセージ」などを通じて企業の魅力を伝えるコンテンツが提供され、デザインや写真の質にも工夫が凝らされていることが一般的です。これにより、求職者の共感や興味を引くことが可能になり、自社の採用サイトを作成するメリットとして挙げられます。
従来の求人サイトと比べて、自社の採用サイトからの応募者数は少ないかもしれません。しかし、予算を抑えつつ希望する人材を採用する可能性があるため、長期的な採用戦略には有用な手段と言えます。
さらに、自社の採用サイトから応募する求職者は、採用後の離職率が低いとも言われています。
専門的な職種の採用においては、昔は制作会社に高額な費用を支払って採用サイトを作成していましたが、現在では無料またはリーズナブルなコストで運営できるソフトウェアが存在します。これにより、有料の採用管理システムにダウンロードして組み込むことが可能になり、コスト削減に繋がります。
採用サイトを導入する企業が増えている理由・企業サイトとの違い
「採用サイト」採用のためのサイト導入が増える理由と、「採用サイト」と「企業サイト」の違いについて詳しく説明します。
採用サイトとは何か
採用サイト(リクルートサイト)とは、その名前が示す通り、企業が新たに人材を採用するための特化したウェブサイトのことを指します。これは、企業の全体的な情報を提供する企業サイト(コーポレートサイト)とは異なるものです。企業サイトは企業の全体像を伝えるためのもので、企業のビジョンや製品、サービス情報、IR情報などを掲載しています。
これに対して、採用サイトは企業が新規の人材を引き寄せることを主目的としています。求職者に対して企業の魅力や、働く環境、提供する福利厚生、キャリアパスなどを具体的に伝え、彼らが応募を決断する手助けをするための情報を提供します。
以下では、これら採用サイトと企業サイトの違いについて、詳しく解説してまいります。これを通じて、企業が採用活動を行う上でこれら両方のサイトがどのような役割を果たすのか、またそれぞれが何を目的としているのかを理解することが重要です。
採用サイトと企業サイトの違い
採用サイトについて
対象となるのは“求職者”。その主な目的は、採用活動を成功させ、そして、求職者に対して自社の魅力を伝えることです。
採用サイトの中身としては、企業の魅力や採用に関する情報が主に掲載されます。具体的には、会社が行っている具体的な事業や仕事の内容、そして採用における企業の考え方やメッセージなどが含まれるでしょう。
一方で、
企業サイトについて
こちらの対象は取引先、顧客、株主などとなります。その目的は企業全体のブランディング、つまり企業価値を高めること、そして企業について理解してもらうことが挙げられます。
企業サイトの中身としては、企業全体に関わる情報が中心となります。具体的には、会社案内や会社の歴史、サービス案内、代表からのメッセージ、IR情報、お問い合わせなどが含まれます。
以上のように、企業サイトと採用サイトでは、伝達しようとする目的や内容が大きく異なります。
企業にとっては、欲しいタイプの人材を採用するために、求職者にとっては、応募先の企業をより深く理解するために、採用サイトは非常に有益なツールとなります。これが、多くの企業が採用サイトを設けるようになった理由です。
採用サイトを導入する企業が増えている理由
応募者のマッチ度が上がる
かつての求職者は、興味がある企業を見つけるとすぐに応募していました。これはインターネットが一般的になる前の話です。
しかし、現在ではインターネットが広く利用されており、求職者は気に入った企業を見つけた際に、まずその企業のウェブサイトを訪れます。企業の過去の歩みや提供しているサービスなどを調べ、応募するかどうかを決めるようになっています。
採用担当者は主にクライアントや顧客、株主、投資家などをターゲットにしており、企業のビジネスやサービスについての詳細な情報を掲載しています。
一部の企業は採用情報ページを設けていますが、そのページ数やウェブサイトの設計などで、専用の採用サイトほど充実した情報を掲載することが難しい場合もあります。
それに対して、採用サイトは求職者をターゲットにしており、企業が伝えたい情報と求職者が知りたい情報(例えば、先輩社員のインタビューや福利厚生の詳細など)を詳細に掲載することができます。
企業が伝えたい情報としては、「どのような人物に応募・入社してほしいのか」、「何の仕事で活躍してほしいのか」、「自社の強みや魅力」、「社内の人間関係や雰囲気、福利厚生の詳細」などがあります。
一方、
求職者が知りたい情報としては、「自分がこの会社で活躍できるのか」、「自分に合った会社なのか」、「社内の雰囲気や同僚はどのような人たちなのか」、「仕事の内容や福利厚生はどのようになっているのか」などがあります。
求職者にとっては、自分に合わない会社に応募したり、そこに入社して再度転職を余儀なくされる事態は最も避けたいことです。
そのため、求職者は採用サイトの情報を基に、どの企業に応募するかを比較検討しています。
仮に求職者が気になる2つの企業があったとします。そのうちの1つは採用サイトを持っていて、もう一つは採用サイトが無い場合、採用サイトがある企業への応募率は明らかに高くなるでしょう。
採用サイトがないと、応募自体が難しくなるため、採用サイトを設立する企業が増えているのです。
他社との差別化がはかれる
近年、採用活動の領域では、企業間の競争が激しくなり、それを差別化するための施策が急速に進化しています。
その具体的な例として、求職者が企業選びをする際のポイントを明瞭に表示したり、読むことによって興味を引くコンテンツを創造したり、視覚的に楽しむことができるデザインを用いた写真を掲載するなど、自社の魅力を最大限にアピールする工夫を行っています。
さらに、採用のウェブサイトには、公式の採用担当者には掲載されていない「社員の思考」「真実の声」「休日の過ごし方」など、社内の様子をリアルに感じられる情報を提供することで、オリジナリティーを強調している企業も存在します。
ただし、企業の良い面だけを強調し、実際の仕事のフローや企業文化を適切に伝えられなければ、「入社後の企業の雰囲気が思ったものと違う」「人間関係が思ったよりも難しい」などの理由で、採用後すぐに退職する求職者が増える可能性があります。
したがって、採用のミスマッチを防ぐためには、可能な限り具体的な仕事に関する情報を伝えることが重要となります。
コストを抑え、効率良く採用ができる
一般的に、社員を募集するために人材紹介サービスを利用する場合、1人の採用につき約80万円のコストが発生します。同様に、就職情報サイトや雑誌広告を使って求人情報を広める場合も、50〜80万円程度の費用がかかると考えられます。
採用用のウェブサイトを制作会社に発注すると、サイトの品質によりますが、おおよそ50〜100万円の費用が必要となります。これは決して安い費用ではありません。
しかし、一度採用サイトを設けると、それを長期的に使用することができます。さらに、自社の求人情報に合わせてカスタマイズも可能です。そのため、人材紹介サービスを利用するよりも、長い目で見れば、費用を抑えることが可能と言えます。
制作会社へ発注する際に、ウェブサイトで使用する素材や文章を自社で準備すると、さらなるコストダウンが期待できます。また、採用に関するコンテンツを自社で創出することにより、全体的な採用の単価を削減することが可能です。これらの方法を利用し、効率よく、かつ経済的に人材採用を行うことができます。
採用サイト×ダイレクトリクルーティングのメリット・注意点
採用サイトとダイレクトリクルーティングのメリット
ディレクトリクルーティングを用いた採用サイトは、過去の採用手法と比較して多くの利点を持っています。その中でも、特に大きなメリットを3つ挙げてみましょう。
メリット1 企業と求職者の誤解を未然に防ぐ
従来の採用手段では、広告代理店や人材紹介業者を経由していたため、求職者への情報提供が不十分であることが問題となりました。その結果、求職者が抱く企業への理想と実際の職場環境との間にギャップが生じることがありました。
しかし、採用サイトを活用することで、求職者自身が企業についての情報を収集し、自分が働くことを想像することが可能となります。これにより、「想像と違った」「期待外れだった」という失望を防ぐことができます。
メリット2 希望する人材からの応募率向上
広告代理店や人材紹介業者を介することで、企業が伝えたいことが十分に伝わらず、必ずしも希望する人材からの応募が得られないという問題がありました。
これに対して、採用サイトを活用することで、自社が希望する人材像を明確に伝えることができます。これにより、求職者自身が企業の理念や方向性と自分とのマッチングを考えることが容易となり、希望する人材からの応募率を向上させることが可能となります。
メリット3 採用ノウハウの蓄積
ダイレクトリクルーティングを行う際には、自社で採用ノウハウを蓄積することが可能です。採用サイトを用いて自社の魅力や求めるスキルを明確にすることで、応募者とのギャップを減らし、希望する人材からの応募率を上げることができます。
採用が成功した場合も失敗した場合も、その結果から学ぶことができ、その結果がノウハウとして蓄積されます。これにより、「周囲への気配りができる人」「ムードメーカー的存在」など、人材選定において重要な視点を得ることができます。
以上の3つのメリットから、採用サイトとダイレクトリクルーティングを組み合わせた採用方法は、大きな利点を持つと言えます。
採用サイトとダイレクトリクルーティングにおける注意すべき点
採用業務の多様性が採用担当者の負荷を増加させる
採用サイトを適切に活用する際には、自社の魅力を伝えるためのコンテンツデザインや素材の作成など、制作に関連する業務が必要です。さらに、検索エンジン最適化(SEO)などのオペレーション業務、また応募者との連絡や面接日程の調整など、様々なタスクが発生します。
ダイレクトリクルーティングを導入する場合も同様で、求職者へのアプローチを行う「スカウトメール」を採用担当者が手動で行うことが基本となります。これにより、メールの文章作成や交渉などの細部にわたる作業が必要です。
採用サイトとダイレクトリクルーティングは、コストパフォーマンスが良いと言われていますが、これらの運用は長期戦が前提となります。そのため、「社内にダイレクトリクルーティングを行う能力を持つ人材がいるか」「十分な時間を確保できているか」など、運用体制を整備することが重要となります。
長期戦としての運用が不可欠
ダイレクトリクルーティングを成功させるためには、採用担当者がターゲットを見つけ、自社の魅力を伝えるための行動が必要です。
これは、求職者にアプローチする営業活動の一環として、「定期的なメールでの案内文の配信」「イベント開催のための企画や広報活動」などが含まれます。新卒採用や転職を考えている層に対するアプローチから採用成立までには手間と時間がかかるため、採用担当者はこの「採用までの長期間」を周囲に理解してもらう努力が必要となります。
「長期の運用」として予算を含めた取り組みを会社全体で進め、採用専門のチームを正式に設置することで、長期的な視点での大きな成果が期待できます。
採用サイトとダイレクトリクルーティングがマッチする業種と有効な使用シーン
ここからは採用サイトやダイレクトリクルーティングの活用が適している企業とその活用シーンについて紹介します。
ダイレクトリクルーティングが向いてる企業とは
長期的な採用計画を持つ企業
ダイレクトリクルーティングが一番活かされるのは、人材採用を長期的な視野で考えている企業です。これは、「自社に来ることを希望する人材」ではなく、「自社で活躍してほしいと願う人材」を採用することを目指しているからです。
求人サイトを介した採用では、「自社に興味を示す人材」が主にターゲットとなります。一方でダイレクトリクルーティングでは、「自社が必要とする人材」を直接探し、引き寄せることが可能です。そのため、求職者と企業の相性を見極めるために、時間をかけてコミュニケーションを取ることが必要となります。ただし、急な人員補充が必要な場合には、ダイレクトリクルーティングはあまり適していないかもしれません。
採用難を感じている中小企業・スタートアップ企業にも適用可能
ダイレクトリクルーティングは、中小企業やスタートアップ企業の採用にも有効な手段となり得ます。
中小企業やスタートアップ企業は、社長を中心に少数精鋭で運営しています。そのため、事業拡大に伴う人材確保の必要性が生じた際、一般的な求人サイトや求人雑誌を利用しても、知名度の高い大企業に引き抜かれることが多いのが現実です。
そんな時、ダイレクトリクルーティングを活用することで、企業が必要とする人材に直接アプローチを行い、自社の魅力や人材への依存度を伝えることで、優秀な人材を確保する可能性が高まります。
また、求職者にとっても、思わぬ企業からアプローチを受けることにより、就職の選択肢が広がるメリットもあります。
「希少価値の高い人材」や「エンジニア」を求める企業にも最適
特定の専門分野でのスキルを持つ「エンジニア」や、複数のスキルを兼ね備えた「ユニークな人材」など、企業にとって希少な人材を採用したいと考えている企業にとっても、ダイレクトリクルーティングは有効な手段です。
採用サイトやダイレクトリクルーティングを併用し、長期的な採用戦略を立てることで、希望する人材の獲得が可能となります。
採用サイトでは企業の魅力や求める人材像を詳細に掲示することができます。社風や福利厚生など、求職者が知りたい情報や、特定の資格や実務経験がある人材を求めているなどの要件を明示することができます。これにより、「希少価値の高い人材」や「エンジニア」の獲得が容易になるでしょう。
ダイレクトリクルーティング活用のシーン3つ
新社会人を対象とした採用活動における活用シーン
新型コロナウイルスの影響により、就職活動のフィールドはオンラインに急速に移行し、伝統的な就職説明会や合同面接会などの代替手段として、ダイレクトリクルーティングを活用する企業が増えてきました。
企業が優秀な新卒生や専門性の高い新卒生を採用するためには、一人当たり約70万円の費用がかかることがありますが、ダイレクトリクルーティングの活用により、採用コストを抑制する可能性があります。これは新卒採用のビジネス戦略として注目を集めています。
自社の採用サイトで新卒採用を行う際、企業文化や求めている人材に合わせた記事やデザイン等、サイトの構築が自由に可能であり、求職者に対して自社の魅力を全面的にアピールできます。SNSと自社サイトを連携させて具体的なターゲットに直接アプローチする手法も増えており、他企業との差別化を図ることが可能です。
キャリアアップを目指す人材に対する採用活動の活用シーン
中途採用を考える人材には、「すぐに転職を検討している人」(転職顕在層)と「将来的に転職を考えている人」(転職潜在層)の2つのタイプが存在します。
企業は「即戦力」を求めて、絶えず中途採用を行っています。その際、求職者の経験やスキルだけでなく、自社の文化に合う性格も含めて、企業の人材ニーズを全面的に満たせるかどうかを重視します。そのため、直ちに転職を検討している「転職顕在層」に対しては、ダイレクトリクルーティングが有効であると言えます。
また、将来的に転職を考えている「転職潜在層」に対しては、採用サイトや公式SNSを通じて、企業から時間をかけて接触することで、最初は興味がなかった人材でも企業理解を深める可能性があります。
新規ビジネスを立ち上げる企業における活用シーン
新規立ち上げ企業やスタートアップ企業は、多くの場合、知名度が低いため、理想の人材を探すことが難しいという課題を持っています。
そのような場合、ダイレクトリクルーティングを活用し、TwitterやFacebookなどのSNSを通じて自社の魅力や社内の雰囲気を伝えたり、気になる人材に直接接触することが可能です。
また、採用活動をスムーズに進めるための手法として、低コストで即時に開始できるという利点があります。大手企業との知名度競争には勝てないかもしれませんが、魅力的なメッセージで自社をアピールしながらファンを増やすことが可能です。そのため、ダイレクトリクルーティングは新規立ち上げ企業にとって有効な手段と言えるでしょう。
ダイレクトリクルーティングでの求職者へのアプローチのコツ
スカウトメール作成のポイントとコツを、ダイレクトリクルーティングの観点から紹介します。
ターゲットにあわせたスカウトメールを作成する
スカウトメールとは、その効果的な使用が成功を左右する重要なツールですが、それが開封されないなら、その存在価値はほとんどありません。
開封率を最大限に引き上げるためには、スカウトメールの件名を鮮やかに工夫することが必要不可欠となります。
その次に考慮すべき重要なポイントは、メールを受け取った求職者が自分が選ばれた理由を理解できるように、それぞれのターゲットに適応させたメッセージを作成することです。
ターゲットが自分に対する関心を引き立てるような、「あなたの◯◯の経験に基づいて」、「新規事業立ち上げのメンバー募集に際して」、「中途入社1年目で年収◯◯万円を獲得」などといった表現や、彼らに委ねたい業務内容、追求すべき目標、給与、休日などの詳細情報を明確かつ簡潔にまとめることが重要です。
熱意を込めた長文よりも、どの部分が評価されているのかが明らかで、特別感を引き立てる文章を作成することで、返信率を大幅に引き上げることが可能となるでしょう。
自社の魅力を伝える採用サイトに掲載するコンテンツ
求人情報を掲載する際、一般的な求人媒体では、細かなルールや規定に従い、原稿の長さや画像の数などに制限が出てきます。しかし、自社が運営し管理している採用サイトでは、掲載する情報の範囲や深さに対する自由度が大幅に広がります。
同業他社との競争が激しい採用市場において、自社の採用サイトに掲載するコンテンツに差別化を持たせることは極めて重要です。その差別化要素の一つとして、「人」、つまり自社の社員についての情報が挙げられます。
自社の魅力をより深く伝えるためには、社員一人ひとりの個性や日々の働きぶりを具体的に描くことが有効です。具体的な手法としては、社員の一日を追った動画の掲載、社員へのインタビュー記事、似顔絵やイラストを用いた視覚的な表現など、工夫の余地が広がります。
また、採用後に起こりうるミスマッチを防ぐ観点からも、業務内容や職場の雰囲気を具体的に示すことは必要不可欠です。可能な限り実態を反映した情報を提供することで、求職者にとって自社が本当にフィットする職場なのかを事前に判断する手がかりを提供することができます。
採用サイトとSNSの連携について
現在、多くの人々がプライベートでSNSを活用していることから、採用サイトとSNSを結びつける"ソーシャルリクルーティング"という手法が増えています。
各企業は、採用サイトの新着情報をSNSで宣伝することにより、情報を広める力を底上げすることができます。また、定期的に記事を更新することで、ユーザーに対して継続的に会社の魅力を伝えることが可能となります。これは、非常に大きな利点と言えるでしょう。
さらに、採用サイトの記事を通じて、社内環境や社員の実情を伝えることで、「求職者と企業の間のミスマッチ」を減らすことが期待できます。このようなミスマッチの減少は、求職者の離職率を下げ、結果的に採用コストを抑制する効果もあります。
ソーシャルリクルーティングを巧みに駆使し、採用活動を効率的に進めることで、人材採用のコスト削減につながると期待されます。このような新たな採用手法を取り入れて、企業の成長を促進しましょう。
まとめ
ダイレクトリクルーティングとは、企業が自身の採用サイトを利用して、積極的に求職者へ働きかけたり、直接スカウト活動を行ったりする、いわゆる「積極的な採用」の一形態を指します。
このダイレクトリクルーティングを実施することで、企業は自社が本当に必要とする人材と接触するチャンスが増え、また採用にかかる費用を節約することも可能です。これにより、最適な人材採用が可能になります。
ただし、大量の人材を同時に採用する必要がある場合には、ダイレクトリクルーティングは必ずしも最適な手段ではないかもしれません。しかし、特定のスキルや専門知識を持つ優秀な人材をピンポイントで採用したい場合には、非常に効果的な方法と言えます。
まだ採用サイトの運用やダイレクトリクルーティングを行っていない企業も、一度試してみてはいかがでしょうか。挑戦することから始めて、経験を通じて改善を重ねながら、長期的な採用戦略として取り組んでみてください。