確実な採用のための求人票の表現のポイントとNG表現の押さえ方

2023/06/27

求人票の作成に悩んでいませんか?確実な採用を実現するためには、求人票の表現には特定のポイントを押さえ、NG表現を避ける必要があります。採用がますます難しくなっている現代において、求める人材を確保するためには、自社の魅力や働くことによるメリットなどを正確に伝え、興味関心を引き、応募意欲を高める必要があります。

本記事では、採用のプロである私たちが、求人票作成の基本からNG表現や書き方のポイントを解説します。求職者が応募したくなる求人票を作成するために、是非ご参考にしてください。採用活動において有効活用してくださいね!

目次

効果的な求人票作成のための基本と注意点

●求人票で必要な記載項目

まず、求人票を作成する際には、必要な項目と書く際の注意点を確認することが重要です。
以下に、求人票作成時に必ず必要な項目と注意点をご紹介しますね。

●求人票の記載に注意が必要な項目と書き方

求人票には、職業安定法により必ず記載しなければならない労働条件が定められています。以下に、最低限明示しなければならない項目とその書き方例をご紹介します。

(求人票に必ず記載しなければならない項目)
・業務内容
・契約期間
・試用期間
・就業場所
・労働時間
・賃金
・加入保険
・募集者の氏名または名称
・雇用形態(派遣労働者として雇用する場合はその旨)

(求人募集の書き方例)
業務内容: 営業職
契約期間: 期間の定めなし
試用期間: 試用期間あり(3カ月)
就業場所: 本社(福岡県福岡市中央区1-2-3)
就業時間: 9:00~17:00
休憩時間: 12:00~13:00
休日: 土日、祝日
時間外労働: あり(月平均15時間)
賃金: 月給23万円(試用期間中は月給20万円)
加入保険: 雇用保険、労災保険、年金保険、健康保険
募集者: 株式会社いろは
雇用形態: 正社員

上記は厚生労働省や都道府県労働局が推奨する記載例です。求人票作成時に参考にしてください。

求人票を作成する際の3つのポイント

続いて、求人票を作成する際に押さえておきたいポイントを3つご紹介します。

●求職者の関心を引くために求人票の具体的に情報を書く

求職者が「応募したい」「気になる」と興味を持つためには、求人票に具体的な情報を記載することが重要です。

以下に、2つの営業職の仕事内容の記載例を比較してみましょう。

《営業職の仕事内容の記載例》
(例1)NG例
仕事内容:自社商品の新規開拓営業

(例2)OK例
当社が提供する顧客管理ソフトの提案営業。主に中小企業向けに、予約台帳・お客様リスト管理ツール、顧客分析ツールなどを提案します。営業先は主に企業の総務部や飲食店などの実店舗になります。新規開拓は電話アポイントと飛び込み営業が中心で、既存顧客のフォローアップも業務の2割程度を占めます。

(例1)の記載は漠然としており、具体的な内容や仕事のイメージが伝わりません。

一方、(例2)では、提案する製品やサービスの種類、対象となる顧客、営業方法などが具体的に記載されており、仕事のイメージをしやすくなっています。

求人票を作成する際のポイントは、誰が見ても具体的にイメージできる言葉を使うことです。未経験の求職者でも仕事の内容や業務のイメージを持ちやすくなるよう、情報を具体的に書くよう心がけましょう。

●求人票のタイプに応じて適切な書き方をする

求人票の作成フォーマットには、大きく分けて2つのタイプがあります。

1)情報を入れるフォーマットタイプ
このタイプは、公共機関や求人サイトなどで求人を掲載する際によく使用されます。

《書き方のポイント》

具体的で詳細な情報を提供することで、他社との差別化を図る
多くの情報を掲載することで、求職者に自社の魅力を伝える
2)自由な掲載フォーマットタイプ
このタイプは、高校や専門学校、大学の就職課やキャリアセンターなどで使用されることが多いです。他の企業と一緒に、掲示板などに掲載されます。

《書き方のポイント》

埋もれずに目立つようにするために、レイアウトやフォントを工夫する
一目見てアピールしたい点が伝わるように、言葉の選定と目立つ工夫を行う

●欲しい人材のイメージを具体的に伝える

求人票には、欲しい人材のイメージを具体的に伝えることが重要です。

具体的なポイントは以下の通りです。

求人票に条件を詳しく記載することで、求める人材を絞り込むことができます。欲しい人材の希望する資格やスキル、仕事に取り組む姿勢など、具体的でイメージしやすい情報を載せましょう。

求人票を作成する際には、求職者が自社に興味を持ち、応募したいと感じるような情報を提供することが重要です。求人票には、他社との差別化ができるように具体的な情報を詳細に記載しましょう。

ただし、求人票には注意すべき点もあります。次項で詳しく説明しますので、NGな表現を避けるようにしましょう。

求人票を通じて欲しい人材のイメージを具体的に伝えることで、適切な応募者を絞り込み、選考にかかる時間を節約することができます。

求人票のNG表現! 絶対に避けるべき記載とは?

つぎに、求人票の記載には労働者保護の観点から制限があります。

求人票を作成する際には、法的制約や避けるべき表現、受け取り側が不快になる可能性のある表現に注意する必要があります。

これらの制約や注意事項を確認し、適切な求人票を作成することが重要です。

(1)性別を限定する表現

性別に関わりなく平等な雇用の機会を提供するため、「雇用対策法」「男女雇用機会均等法」では、求人票で性別を限定する表現は絶対に避けなければなりません。性別に基づく差別は法的に禁止されており、以下のような表現はNGとされています。

募集・採用に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること
例: 「男性限定の営業職募集」→ 「営業職募集(男女不問)」

募集・採用条件を男女で異なるものとすること
例: 「女性のみ、未経験可の事務職」→ 「未経験可の事務職(男女不問)」

選考方法や基準について男女で異なる取扱いをすること
例: 「男性は面接、女性は筆記試験あり」→ 「面接と筆記試験あり(男女共通)」

募集・採用に当たって男女のいずれかを優先すること
例: 「女性優遇の販売員募集」→ 「販売員募集(男女不問)」

求人内容の説明など募集・採用に関する情報提供で、男女で異なる取扱いをすること
例: 「男性は経験者優遇」→ 「経験者優遇(男女不問)」

求人票では、性別に関わる制限や差別的な表現を避けるべきです。代わりに、中立な表現を用いて求める人材の条件や職種を明確に伝えることが重要です。なお、特定の職種や業務の特性上、一方の性別である必要がある場合は例外として認められる場合もあります。また、男女格差の改善を目的とした措置により、一方の性別を優遇する場合は法的に認められています。しかし、一般的な求人票では、性別に基づく差別を避けるため、中立な表現を使用するよう心がけましょう。

(2)年齢を限定する表現

年齢に関わりなく平等な雇用の機会を提供するためには、「雇用対策法」と「男女雇用機会均等法」により、求人票で年齢を限定する表現は絶対に避けなければなりません。年齢に基づく差別は法的に禁止されており、以下のような表現はNGとされています。

求人票に年齢を理由に応募を断ることや、書類選考や面接で年齢を理由に採否することは許されません。
年齢不問という形式的な表現だけでなく、応募者の年齢に基づいた判断は行ってはなりません。
仕事を遂行する上で必要な能力や体力は、単に年齢だけで判断することはできません。
求人票では、年齢を問わずに応募を受け付けることを明示し、仕事内容や必要な能力について具体的に記載する必要があります。以下に示すような表現はNGですので、具体的な説明を追加することで適切な表現に変えましょう。

《NGの書き方と書き方の工夫例》

「アパレルスタッフ募集!40歳までの方」
→ 「主に30代をターゲットとした婦人服を販売」と具体的な顧客層を説明する

「介護職員募集!若い方限定」
→ 「食事や入浴の介助など」や「16:30~翌8:30の夜間勤務は月○回程度(休憩2時間含む)」といった具体的な業務内容を説明する

「体力に自信がある方」
→ 非常に抽象的であり、間接的な差別になります。「20kg程の食材を毎日運びます」といった具体的な仕事内容を記載する

なお、一部の職種や業務においては、合理的な理由に基づき年齢制限が認められる場合もあります。しかし、年齢制限を設ける際には、企業側はその理由を明示する必要があります。求職者や職業紹介事業者に対し、理由を書面などで記載しておくことが重要です。年齢制限を設ける場合でも、求人票では年齢に基づく差別を避け、能力や業務内容に焦点を当てた表現を心がけましょう。

(3)差別表現

求人広告では、人種や居住地、身体的特徴など特定の人々に対する差別的な表現を含むことは絶対に避けなければなりません。言葉だけでなく、イラストや視覚的な表現においても同様に注意が必要です。受け取り手が不快な思いや苦痛を感じるような用語や表現は使用しないようにしましょう。

以下は差別表現として禁止されている例です。

特定の人々に対する差別的な意図を持って行われる場合
その表現が特定の人々を侮辱するような場合
受け取り手が不快な思いや苦痛を感じるような用語や表現
具体的な言い換えの例を示します。

《NG例と中立な表現への言い換え例》

「外国人歓迎」
→ 「留学生・就学生歓迎」※職務能力や属性を明示することで掲載可能

「通勤が1時間以内の方」
→ 「Uターン者歓迎」※特定の居住地に限定しているため掲載不可

求人広告では、「使われた側の立場になって考える」という意識を持ち、差別的な表現を避けるようにしましょう。受け取り手が快適な思いや尊重された気持ちを抱くことができる表現を選びましょう。

(4)最低賃金以下の給与の求人

求人票において、最低賃金法により定められた各都道府県の最低賃金を下回る給与での求人応募や採用は絶対に避けなければなりません。

「最低賃金」とは、使用者が支払うべき給与の最低額を指します。この最低賃金は最近の年々上昇している傾向にありますので、最低賃金改訂のタイミングの前後は特に注意が必要です。

具体的な最低賃金の一覧は、厚生労働省のホームページにて確認することができます。

求人票を作成する際には、必ず各都道府県の最低賃金を考慮し、その額を下回らないようにしましょう。法律に則り、適切な給与条件を明確に記載することが求められます。

(5)求人票の誇張表現

求人票作成時に、自社を魅力的に見せるために業務内容や条件面を誇張することは避けなければなりません。誇張した情報によって応募者を集める一方で、実際の業務や環境とのミスマッチが生じ、トラブルが発生する可能性が高まります。

以下は、魅力的な求人票を作成する際のポイントです。

・自社が提供する商品やサービスの特徴を明確に記載する。
・どのような顧客層をターゲットにしているのかを示す。
・具体的な業務内容や営業活動の詳細を示す。
・他社との差別化できる福利厚生制度や教育体制などの特徴をアピールする。

以下は、求人票で避けるべき誇張表現と、書き方の工夫の例です。

NGの書き方:
「好待遇!基本給28万円、残業代支給、年間休日110日以上、アットホームな職場です」

書き方の工夫例:
【給与】
・基本給28万円(手当は含まれません)
・固定残業代5万円/48時間相当分を含みます。
・48時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給されます(全額支給)。
・通勤手当は全額支給されます。

【休日】
・完全週休2日制
・年間休日110日

求人票においては、具体的で正確な情報を提供することが重要です。誇張や不正確な表現は、一時的に応募者を集めるかもしれませんが、後々自社の評判を下げる原因となる可能性があります。求人票には、真実を正確に伝えることが求められます。