【5分でわかる】学生バイトでも社会保険の加入は必須?手続きと注意点を詳しく解説!

2023/12/26

学生のアルバイトやパートは、飲食店や小売業等で人手が不足している場合に、手間をかけずにすぐに働いてもらえる貴重な働き手になります。

しかし、「学生のアルバイトなのだから、社会保険に加入する必要はない」と思われていませんか?

実のところ、ある条件が満たされると、学生のアルバイトでも社会保険への加入が義務付けられるのです。この事実は、アルバイトの学生自身の意志とは無関係です。今回は、このような学生のアルバイトに対する社会保険の加入条件や手続きの方法、そして注意すべき点について、分かりやすく説明します。

もくじ

社会保険の種類について

まず始めに、社会保険とは一口に言っても、一つの単一の保険を指すワードではないことを理解していただきたいと思います。実は、社会保険と言われるものは、「労働保険」と「社会保険(より狭い意味での)」という二つの大きなカテゴリーに分けられています。それぞれのカテゴリー内部でさらに、労働保険は二つの保険、社会保険(より狭い意味での)は三つの保険から成り立っているのです。

この記事では、これらの各保険の基本的な概要と、その保険に加入するために必要な条件について詳しく説明していきます。社会保険は我々の生活に深く関わっているため、その内容をしっかり理解しておくことは非常に重要です。

1. 労働保険について

労働保険は、「労働者災害補償保険(労災保険)」と「雇用保険」の2つのカテゴリーに分けられる、雇用者を守るための保険制度です。

労働者災害補償保険(労災保険)
<保険の詳細>
労働者が仕事中や通勤中に、ケガや病気、障害、あるいは最悪の場合、死亡といった災害に見舞われた際に、医療費などの経済的負担を全て補償する保険です。保険料の負担は事業主がすべて行い、労働者からの支払いは必要ありません。

<加入要件>
労働形態に関係なく、すべての労働者がこの保険に加入することが法律で義務付けられています。

雇用保険
<保険の詳細>
労働者が仕事を失ったり、勤務継続が困難になった場合に、生活費の補助や再就職のサポートを行うための保険です。失業期間中でも、一定の額が給付されるよう設計されています。

<加入要件>
以下の全ての条件を満たす労働者が雇用保険への加入が法律で義務づけられています。

・週に20時間以上働いている方
・1ヵ月以上(31日以上)働くことが見込まれている方
・昼間に学校に通う学生でない方

ただし、以下のケースでは昼間の学生でも雇用保険の対象となります。

・卒業証明書を持ち、卒業後も同じ会社で働く予定の方
・休学中の方(事実を証明する書類が必要です)
・大学院などに通学する学生で、その通学が事業主の指示や承認のもと行われている場合
・通信教育、夜間、または定時制の学校に在籍する学生の方

2. (狭義の意味での)社会保険について

(狭義の意味での)社会保険とは、我々の生活を安定させる目的を持った保険体制で、主に「健康保険」、「介護保険」、「厚生年金保険」の3つの要素から成り立っています。

健康保険について
<保険の概要>
健康保険は、働く人々が医療機関を利用する際に、医療費の一部を補填するための制度であり、また出産などで仕事を一時的に休む際にも補償が提供されます。基本的には、雇用者と従業員が各々半分ずつ保険料を負担します。

<加入条件>
健康保険への加入は、一週間の所定労働時間や月間の労働日数が正社員と同等の4分の3以上である場合、雇用形態に関わらず必須とされています。また、以下の条件をすべて満たす場合も、健康保険への加入が必須となります:

・週に20時間以上の労働がある方
・1年以上の長期雇用が見込まれる方
・月給が8.8万円(年収106万円)以上の方
・常時500人以上の被保険者を雇用する企業、または500人以下で大半の従業員が保険加入に合意している企業に所属する方
・昼間学生でない方
ただし、以下の条件を満たす昼間学生は、健康保険の適用対象となります:
・卒業見込み証明書を持ち、卒業後も同じ会社で働く予定がある方
・休学中の方(事実を証明する書類が必要)
・事業主の指示や許可を得て、大学院などに在籍している方
・通信教育や夜間学校、定時制学校の学生の方

介護保険について
<保険の概要>
介護保険は、高齢者が必要とする介護を全国的に支えるための保険制度です。加入者が要介護状態と認定された後、介護サービスを受けられるようになります。健康保険と同様、月給に応じて事業主と雇用者が各々半分ずつ保険料を負担します。

<加入条件>
介護保険への加入は、原則として40歳以上の全ての国民に義務付けられています。

厚生年金保険について
<保険の概要>
厚生年金保険は、65歳で定年退職後、加入期間や納めた保険料に応じて年金が支給される保険制度です。こちらも健康保険、介護保険と同様、月給に応じて事業主と雇用者が各々半分ずつ保険料を負担します。

<加入条件>
厚生年金保険の加入条件は健康保険と同様で、一週間の所定労働時間や月間の労働日数が正社員と同等の4分の3以上である場合、雇用形態に関わらず必須とされています。また、以下の条件をすべて満たす場合も、厚生年金保険への加入が必須となります:

・週に20時間以上の労働がある方
・1年以上の長期雇用が見込まれる方
・月給が8.8万円(年収106万円)以上の方
・常時500人以上の被保険者を雇用する企業、または500人以下で大半の従業員が保険加入に合意している企業に所属する方
・昼間学生でない方
ただし、以下の条件を満たす昼間学生は、厚生年金保険の適用対象となります:
・卒業見込み証明書を持ち、卒業後も同じ会社で働く予定がある方
・休学中の方(事実を証明する書類が必要)
・事業主の指示や許可を得て、大学院などに在籍している方
・通信教育や夜間学校、定時制学校の学生の方

3.社会保険加入する際の注意点とは?

学生がアルバイトを行う際、一定の要件を満たすことで社会保険の加入が必須となります。これは、学生の一部にとっては給与の実際の受け取り額が減少する結果をもたらし、そのために社会保険への参加を望まないという選択をする学生も少なくないと考えられます。このような事態を避けるためには、事前に社会保険に関する詳しい説明を提供し、学生が社会保険への参加を希望しない場合は、社会保険の適用範囲外で働けるような配慮を行うことが重要です。これにより、学生が安心して働きつつ、企業側も法令遵守を図ることが可能となります。

社会保険への加入手順について

社会保険への加入手続きは、事業内容ごとに違いがあります。具体的には、農林漁業や建設業のような一部の業界では、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険の適用方法が異なり、これらを個別に適用する"二元適用事業所"として扱われます。一方、これら以外の業界では、労災保険と雇用保険の手続きや納付が一括で行われる"一元適用事業所"となります。

次に、雇用保険について具体的な手続き方法を説明します。

【提出書類・提出先・提出期限】

事業の種類により、提出書類、提出先、提出期限が変わります。

一元適用事業所の場合、提出書類は「雇用保険適用事業所設置届」を用意します。提出先は、社員が勤務する地域にあたる公共職業安定所(ハローワーク)です。提出期限は、事業所設置の翌日から10日以内となります。

また、「雇用保険被保険者資格取得届」も提出が必要で、期限は資格取得した翌月の10日までとなっています。

二元適用事業所の場合、提出書類には「保険関係成立書」が含まれ、提出先は所轄の労働基準監督署です。保険関係が成立した翌日から10日以内に提出が必要です。

さらに、「概算保険料申告書」の提出が求められ、これは所轄の労働基準監督署や都道府県労働局、または日本銀行(代理店含む)に提出します。こちらの提出期限は、保険関係が成立した翌日から50日以内となっています。

最後に、「雇用保険適用事業所設置届」および「雇用保険被保険者資格取得届」の提出が必要で、これらの提出先は所轄の公共職業安定所で、それぞれ設置の翌日から10日以内、資格取得した翌月の10日までが提出期限となります。

以上が、社会保険に加入する際の手順です。詳細は厚生労働省のウェブサイトを参照してください。

1.健康保険と厚生年金保険の加入手続きについて

健康保険と厚生年金保険への加入は、一定の手続きと準備が必要となります。以下にその要点をまとめました。

まず、準備するべき書類として「健康保険・厚生年金保険所新規適用届」があります。これは、被保険者が住んでいる地域の年金事務所に提出する必要があります。加入の義務が発生した日から5日以内に提出をお願いします。また、この情報は全国の相談・手続き窓口でも確認できます。

さらに、「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」も必要です。これは、被保険者としての資格を得るためのもので、同じく年金事務所に提出します。

また、「健康保険被扶養者(異動)届」(国民年金第3号被保険者関係届)も用意する必要があります。この書類は、扶養家族が変わった場合などに提出します。

特に、事業所が健康保険(協会けんぽ)・厚生年金保険の適用を受けようとする際には、これらの書類が必要となります。詳しくは、日本年金機構の公式ウェブサイトをご覧ください。なお、各種書類は日本年金機構のホームページからダウンロード可能です。

以上が、健康保険と厚生年金保険への加入手続きの概要です。必要書類の準備と提出先、提出期限に注意しながら進めてください。

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まとめ

我々の説明が皆様の理解に役立ったことを願っています。

学生であってもパートタイムの仕事において、「労働者災害補償保険」の加入は必須で、"社会保険"についても、特定の条件下では加入が必要となることがあります。これらの保険への加入は法的な「義務」であり、適切な手続きを怠ると法的な制裁が及ぶ可能性があります。後悔することのないよう、「知らなかった」という事態が生じないように、本記事の内容が皆様の参考になれば幸いです。