近頃、特に若い世代のSNS利用が盛んになってきていることから、「ソーシャルリクルーティング」と名付けられたSNSを駆使した求人活動が行われるようになってきた企業が増えてきています。
注目を集めつつあるこのソーシャルリクルーティングですが、具体的に企業はどのようにしてSNSを使いこなし、求人活動を展開しているのでしょうか?
今回の記事では、SNSを活用した求人活動の具体的な手法や、それらが持つメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。
目次
- ソーシャルリクルーティングとは何か
- SNSを駆使した3パターンの求人施策
1.企業の情報を伝えるためのツールの活用
2.採用用途のメディアとしての活用
3.他アプリとSNSの連携活用術 - SNSを活用した求人活動の4つの利点
1.求職者と募集企業の相互理解が深化する
2.ミスマッチ減少、内定辞退の抑制
3.求める人材を高確率で確保
4.無料、あるいは低コストでの求人活動 - SNSを利用した求人活動の2つの欠点
・計画策定・情報発信についての手間
・フォロワーが少ないと効果が下がる - まとめ
SNSと採用ページを巧みに活用し、求人活動を成功に導こう
ソーシャルリクルーティングとは何か
初めて聞く方も多いかもしれませんが、ソーシャルリクルーティングとは、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を駆使した求人や採用活動のことを指します。
具体的には、ソーシャルリクルーティングに取り組んでいる企業は、Facebook、Twitter、Instagramといった各種のSNSを上手に活用し、求職者へのアウトリーチを行っています。
各SNSはそれぞれに特色があり、また利用しているユーザーの年齢層や興味・関心も様々です。たとえば、Facebookでは30歳から50歳ほどの年齢層のユーザーが多い一方で、TwitterやInstagramは若い世代、特に10代から20代前半のユーザーが多く活動しています。
したがって、企業は採用活動の目標とするターゲット層の年齢や属性をしっかりと考慮し、それに適したSNSを選択し活用することが求められます。
そして、ソーシャルリクルーティングの手法には一様ではなく、様々なパターンが存在します。企業は自社のニーズや目指す目標に合わせて、これらの手法を適切に選択し、活用していく必要があります。
SNSを駆使した3パターンの求人施策
SNSを用いた求人の手法は、主に3つのパターンに分けることができます。
1つ目は、企業の魅力を伝える情報発信ツールとしての活用方法です。SNSは、企業のイメージや文化、ビジョンを広く伝えるためのプラットフォームとして有効に活用できます。魅力的な内容を発信することで、興味を持った求職者が自然と応募を考えるようになるでしょう。
2つ目の活用方法は、採用専門のメディアとして利用することです。求人情報や採用イベントの告知だけでなく、社員のインタビューや職場の雰囲気を伝える写真・動画などを投稿することで、企業の内側を見せることができます。これにより、求職者に対してより具体的なイメージを与えることが可能となります。
そして3つ目は、他のアプリケーションとSNSを連携させる活用方法です。例えば、求人情報サイトとSNSを連携させることで、求職者が自分のSNSアカウントで簡単に応募できるようにしたり、求人情報をSNSでシェアできるようにする等、様々な可能性が広がります。
以上、3つのパターンを踏まえた上で、企業の求人戦略に最適なSNS活用方法を見つけることが重要です。それぞれの特性を理解し、適切に活用することで、より効果的な人材獲得が可能となるでしょう。
1.企業の情報を伝えるためのツールの活用
企業の活動や魅力を広く伝える方法として、求職者に向けた情報発信の一環として、ソーシャルメディアを活用する手法が存在します。
この手法は、企業がTwitterやFacebook等のソーシャルメディアの公式アカウントを用いて、ソーシャルリクルーティングという形で行うものです。
企業が日々行っているイベントの情報、新商品の紹介、そこに関連する有益な情報など、企業の活動に関する情報を発信するだけでなく、新入社員がどのように働いているかの様子を紹介したり、インターン生のインタビューを掲載したりすることで、就活生向けの情報も提供します。これにより、求職者が企業に対して興味を持つきっかけを作ります。
さらに採用活動を実施する際には、ソーシャルメディアを通じて求人情報を告知したり、採用サイトで行っている広告を掲載することにより、ソーシャルメディア上で求職者を引き寄せることが可能となります。
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2.採用用途のメディアとしての活用
次に、企業が自社ブランドを強化する手段として、専用の採用アカウントを作成し活用する方法について詳しく解説します。
企業がこの専用アカウントを通じて何を達成しようとしているのかにより、運用方法は大きく変わります。一般的には、企業の基本的な情報を超えて、採用に関連する情報を積極的に提供することが一般的です。
例えばある企業では、採用プロセスに特化した運用方法を採用しており、面接の日時や合否通知の送付などの情報を、この専用アカウントを通じて求職者に伝えています。
また、別の企業では、社員のランチ情報や会社の特別な福利厚生の紹介、社内の雰囲気などを通じて、企業の魅力を広く伝えることで、より多くの求職者が自社に興味を持つことを目指しています。
採用専用メディアの運用は、企業が達成したい目標により内容が大きく異なりますが、SNSを活用した採用活動に注力している企業にとっては、重要な戦略の一つとなっています。
3.他アプリとSNSの連携活用術
近い未来、求人探しのアプリケーションが次々とリリースされている現代において、SNSとの連携機能を持つアプリが大いに注目を受けています。
その象徴とも言える存在が、「Wantedly(ウォンテッドリー)」という求人アプリです。このアプリは、SNSの巨人であるFacebookと連携することで、求職者がアプリ上で新たにアカウントを作成する手間を省き、簡単に求人への応募が可能となっています。
また、このシステムは、企業側にとっても大いに利点があります。それは、求職者のFacebookに掲示されている情報を基に、より深いレベルで求職者の人格や性格を把握することが可能になるからです。
しかしながら、このアプローチは、SNSだけを利用して完結するわけではなく、SNSを一部に活用した新しい形の採用戦略、ソーシャルリクルーティングといえます。
さらに、ソーシャルリクルーティングの一部として活用される他の方法として、SNS広告を活用した求人広告の有料掲載があります。この手法を用いることで、企業は採用ページへの集客を促進することが可能になります。
SNSを活用した求人活動の4つの利点
SNSを使った求人手法のメリットは何か?
SNSを使った求人活動のメリットは4つです。
1.求職者と募集企業の相互理解が深化する
一般的な求職プロセスでは、応募者と企業の間のコミュニケーションは、履歴書の検討から面接までの段階において、一定のフレームの中で僅かな回数に限られています。
しかし、SNSを介して接触した場合、求職者は企業に関する情報をより詳細に調査し、深い理解を得ることが可能となります。一方、企業側も求職者の日々の投稿からその人物像をより具体的に把握することができます。
加えて、SNS上のメッセージ機能を用いることにより、気軽にコミュニケーションを取ることが可能となります。これにより、短期間の採用プロセスでは把握できなかった情報を理解し、相互により有効なアプローチを行うことが可能となります。これらの要素が組み合わさることで、求職者と募集企業の間の理解が深まるのです。
2.ミスマッチ減少、内定辞退の抑制
SNSは情報を手軽にアップできるツールであり、その情報は普段の一面を伝えるために気取らない内容が多いです。これは求職者にとっては非常に便利であり、会社の内部情報を手軽に得ることができます。
具体的には、会社の日常や活躍している社員の紹介など、実際に入社しないとわからないような情報をSNSを通じて知ることができます。これにより、入社後の予期せぬサプライズや会社と自分の期待のミスマッチを減らすことができます。その結果として、内定後に辞退をするといった事態も減ることが期待できます。
つまり、SNSを活用することで、求職者が会社の情報を手軽に得ることができ、企業と求職者の間のコミュニケーションを円滑にし、結果的に内定辞退率を下げる効果が期待できるのです。
3.求める人材を高確率で確保
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上では、求職者自身の投稿を見ることで、彼らの興味や関心、性格、思考パターンといったプロフィールを深く理解することが可能となります。これにより、企業が特定の職位で必要とする基本的なスキルや推奨されるスキルに加えて、更には企業が理想とする人物像に近い人材を探し出し、採用するチャンスが高まるでしょう。つまり、SNSは単なる情報共有のプラットフォームでなく、効率的かつ的確に求める人材を見つけるための有効なツールとなり得るのです。
4.無料、あるいは低コストでの求人活動
SNSは、その使用が無償であるため、企業の採用活動にとって、経済的な負担を軽減する優れた手段となり得ます。自社のアカウントを設立し、フォロワーとの対話を通じてブランドの認知度を上げることが可能であり、それと同時に求人情報を発信することもできます。これにより、求人広告費を必要とせず、多くの求職者に直接企業のメッセージを届けることが可能となります。
さらに、SNSと連携した求人募集アプリを使用することも考慮に入れてみてください。これらのサービスは、従来の求人サイトに掲載するよりも費用を抑えられ、応募者一人あたりのコストを大幅に削減することができます。これらのサービスは求職者と企業を直接繋げるため、求職者の関心を惹くために必要な投資を減らすことができます。
SNSを巧みに活用することで、採用活動の効率を向上させ、経済的な負担を軽減し、質の高い応募者を集めることが可能です。これにより、人材獲得のコストを大幅に削減することができるでしょう。
SNSを利用した求人活動の2つの欠点
SNSによる求人活動には不利な点もあるので、説明します。
計画策定・情報発信についての手間
ソーシャルメディアを活用した求人募集は、定期的な情報発信が欠かせません。この情報発信は、採用活動の進捗状況だけでなく、企業の魅力なども発信することが必要となります。
さらに、採用活動専用のソーシャルメディアアカウントを運用する際には、そのアカウントのコンセプトや運用方針を自社で策定し、実行する必要があります。これは採用活動の一環として、戦略的な視点を持つことを求められるためです。
しかし、このようなソーシャルメディアの運用には時間と手間がかかります。運用担当者を用意し、その担当者が定期的な情報発信とアカウントの運用を行うことが求められます。これらの手間やリソースの確保が、ソーシャルメディアを活用した求人募集のデメリットとも言えるでしょう。
フォロワーが少ないと効果が下がる
ソーシャルメディアを活用した企業の採用戦略、通称「ソーシャルリクルーティング」は、多くのフォロワーを持つことによって初めてその真価を発揮します。企業が自社のソーシャルメディアアカウントを通じて情報を発信しても、それを見る人々、つまりフォロワーが少なければ、その効果は限定的です。
フォロワー数を増やすには、特に大企業でない場合、時間と労力が必要です。新たにソーシャルメディアを始めた企業が「直ちにソーシャルリクルーティングを始めたい」と熱意を持つのは理解できますが、残念ながらその成果が表れるまでには時間がかかる可能性が高いのです。この点を理解し、長期的な視点でソーシャルリクルーティングを進めることが求められます。
まとめ
SNSと採用ページを巧みに活用し、求人活動を成功に導こう
新たな働き手を迎え入れるためのアプローチの一つとして、SNSの利用が確実に増えていると予測されています。
SNSを通じた求人活動は、採用企業と求職者の間のコミュニケーションをより深く、より密に可能にします。これは、従来の採用方法ではなかなか困難だった相互理解を促進する大きな利点となります。
しかしながら、SNSの活用には注意点があります。SNSツールだけで求人活動を行ったとしても、必ずしも成功するわけではありません。
SNSは情報を瞬時に共有するのに適したツールですが、時間が経過するとその情報が古くなり、応募要項の詳細や企業の理念などを共有するのに適していないという特性があります。
そのため、SNSと自社の採用ページを組み合わせて求人活動を行うことが推奨されます。
自社の採用ページには、時間の経過で古くなりたくない情報を掲載し、その採用ページの宣伝をSNSを使って行うという方法が効果的です。
SNSを利用したソーシャルリクルーティングの普及が今後も進むことが予想されていますが、それと同時に、従来の採用ページの充実も行っていくことで、求人活動を成功に導くことができるでしょう。