新卒採用の際に、企業と新入社員の間に生じる誤解やすれ違い、これをミスマッチといいます。これは、企業と新入社員の間に起こる可能性がある問題の1つです。
具体的には、新入社員が入社前に抱いていた企業に対する期待と、実際に入社して働き始めた後の現実との間で大きなギャップが生じることにより、ミスマッチが生じます。このような状況が起こると、新入社員に対して適切なサポートやケアを提供できない場合、彼らが企業を早期に退職するリスクが高まります。
この記事では、新卒採用におけるミスマッチの問題点について詳しく説明するとともに、その原因と解決策についても紹介します。企業の人事担当者や、新卒採用に関心がある方々にとって、参考になる情報を提供できることを目指しています。
目次
- 新卒採用時の典型的なミスマッチ3点
●仕事の内容と能力の不一致
●雇用条件のミスマッチについて
●会社の雰囲気及び文化とのミスマッチについて - 新卒採用におけるミスマッチ発生の4つの要因
●企業の良い面だけをアピールしている
●学歴や経歴に囚われて採用してしまった
●就活の早期化で学生の企業理解が十分でない
●入社前のフォローが足りていない - 新卒採用でのミスマッチが引き起こす企業へのデメリット3点
●採用コスト(お金・時間)の無駄
●人材が確保できない
●離職率上昇が企業イメージを下げる - 新卒採用のミスマッチを解決するための3つの手法
●会社情報を全面的に公開する
●求める人物像を明確にする
●新卒内定者とのコミュニケーションの場の設定をする - 新卒採用におけるミスマッチ解消の他の方法
●OG/OB訪問の受け入れについて
●性格診断を活用し、長期的に働き続ける人材か見極める
●メンター制度の導入について - まとめ
新卒採用時の典型的なミスマッチ3点
新卒採用において、なぜいわゆるミスマッチが発生するのか、その原因を一緒に探ってみましょう。学生と企業との間でどのような点が食い違い、結果としてミスマッチを引き起こすのか、その具体的なケースについて解説します。
仕事の内容と能力の不一致
ここでは、求職者のスキルと職務内容が一致しないことで生じる問題、つまり「仕事内容と能力のミスマッチ」について考えます。このミスマッチは、業務遂行の困難さや予期しない教育コストの増大など、企業にとって大きな課題となります。
このミスマッチが発生する主な原因としては、企業が仕事の詳細や必要なスキルを十分に明示していなかったり、逆に求職者が自身の能力を過剰に見せてしまうことで企業が正確に評価できなかったことに起因する場合があります。
また、学生と企業との間でスキルや適性のギャップがある場合も、同様のミスマッチが発生します。学生の能力が企業が求めるレベルを満たしていない場合、業務遂行が困難となります。一方で、能力が高すぎる学生は、その能力を十分に活用できず、持て余す状況になりがちです。
このように、仕事内容と能力のミスマッチは、企業と求職者双方にとって、様々な問題を引き起こします。これを解消するためには、企業が仕事内容と必要なスキルを明確に伝え、求職者が自己の能力を適切に把握し、それを正確に伝えることが必要です。
雇用条件のミスマッチについて
雇用条件に関する誤解や予想とのズレ、これがミスマッチを生む一因です。給与や福利厚生、労働時間といった具体的な条件が、入社する前に抱いていたイメージと異なるケースがあります。
具体的には、「転勤により休日が土日から平日へと変わった」、「ほとんど残業がないと聞いていたが、実際には毎日残業が発生している」、「早朝や深夜の業務対応が必要となることがある」などの状況が考えられます。さらに、家庭の状況や年齢による価値観の変化により、これまでの働き方が適合しなくなると感じる人もいるかもしれません。
雇用条件の誤解やミスマッチが生じる主な原因は、採用時の確認や十分な情報共有が不足していることにあります。
企業側から見れば、「我々はこれだけの待遇を用意したのだから」と高いレベルの業務遂行を期待しています。しかしその一方で、実際には求職者が期待されるほどのパフォーマンスを発揮できていないケースもあります。また、求職者側からすれば、「この条件であればここまで高いレベルの専門性が求められるのか」と感じ、不満を抱くこともあるでしょう。
会社の雰囲気及び文化とのミスマッチについて
新入社員が企業の独特な文化や雰囲気に適応できず、その結果、企業または新入社員自身が満足できない状況を生むことがあります。これを「ミスマッチ」と呼び、これが発生すると企業と新入社員双方にとって不利益をもたらす場合が多いです。
「指導はトップダウンで行われるか、それともボトムアップか」、「業務は個人で進行するのか、チームで行うのか」、「評価は成果主義かそれとも年功序列か」といった企業固有の文化や運営方法が、ミスマッチの一因となることがよくあります。
たとえ同じ業界や業種であっても、企業ごとに独自の文化や雰囲気、価値観が存在します。そのため、これらの要素について新入社員と企業間で共有されていない場合、ミスマッチが生じます。これは、「働くのが難しい」「社内になじめない」などの新入社員の不満となり、結果的に採用失敗につながる可能性があります。
新卒採用におけるミスマッチ発生の4つの要因
新卒採用では、企業と学生の間で仕事の内容や雇用条件についての認識が一致しない場合、ミスマッチが生じることがあります。
それでは、新卒採用におけるミスマッチが発生する具体的な原因を、4つに絞って詳しく見ていきましょう。
企業の良い面だけをアピールしている
企業は自社の魅力を最大限にアピールし、優れた人材を引き寄せるためにポジティブな面ばかりを強調する傾向があります。しかしながら、具体的な労働条件や職場の環境について詳細をおろそかにすることで、求職者が十分な情報を持たずに企業選びをするという状況が生まれてしまいます。
このような情報不足の状態で企業を選んでしまうと、新入社員と企業との間で期待値の齟齬が生まれ、結果として人材のミスマッチが発生する可能性があります。企業が短期的に採用目標を達成するために、あえてデメリットを伝えない方針をとることもあるでしょう。しかし、長期的な視点で考えると、採用後に企業の実情を知った新入社員が不満を感じ、ミスマッチが起きやすくなるという問題が生じます。
また、企業がデメリットを伝えなかったことが原因で、新入社員が退職を決意するケースも少なくありません。求職者は企業選びをする際、企業の良い面だけでなく、勤務時間や職場の雰囲気など、あらゆる側面を知りたいと思っています。従って、企業は自社の魅力だけでなく、実際の労働環境や働く上での課題なども適切に伝えるべきです。
また、就活生の中には、「労働条件を詳しく尋ねると、採用されないのではないか」という不安を抱いている人もいます。このような不安が原因で、本当に知りたい情報を求められずに入社し、その結果、期待と現実のギャップから早期退職を選んでしまうケースも見受けられます。
学歴や経歴に囚われて採用してしまった
新たな人材を採用する際、特に新卒者の場合、学歴や資格、インターンシップの経験、ボランティア活動などの履歴に目が行きがちです。しかし、それらの要素に注目しすぎると、採用者の人間性や潜在能力を見逃してしまうこともあります。
こうした傾向は、「この人は一流大学を卒業しているから、きっと優秀だろう」「TOEICのスコアが800点なので、英語を話すことに長けているはずだ」といった、書類上の情報だけで人物を判断してしまうときに特に見られます。しかし、このように採用を決定すると、求める実務のスキルやコミュニケーション能力が足りない、または企業文化にフィットしない人材を採用してしまうリスクがあります。
確かに、学歴や資格は応募者の努力や能力を示す一つの指標となります。しかし、一流大学の出身であるか、豊富なインターンシップの経験があるかは、その人があなたの企業にとって最適な人材である保証にはなりません。
たとえば、優れた学歴を持ち、難解な資格を保有していても、コミュニケーション能力に難がある学生も存在します。同様に、積極性に欠ける学生がいることも否定できません。
「長期間働き続けることができる人材かどうか」は、学歴や資格だけで判断することはできません。企業が長期的に働く人材を見つけるためには、その人が企業の文化にマッチしているかどうかが大切な判断基準となります。
就活の早期化で学生の企業理解が十分でない
近年、就職活動の早期化が進む中で、学生と企業間のミスマッチが問題となっています。
これは、学生が早期に就職活動に取り組むため、その結果として業界や特定の企業についての十分な理解を得るための時間が短くなってしまい、それが原因で生じるミスマッチの一因とされています。
学生が十分に業界知識や企業についての理解を深めることなく、入社の決断を下すと、「入社してみたら思っていたのと異なっていた」というギャップが生じ、これがミスマッチを生む要因となります。
したがって、学生が企業の実情について正確な理解を持てていない状況で採用を進めると、学生と企業の間に認識の歪みが生じやすくなります。これを防ぐためには、入社前に学生に対して業界や企業についての詳しい説明を行うことが重要となります。これは、学生が自身のキャリアを形成する上で重要な意思決定を行うための基盤を提供するとともに、企業側も長期的な視点で良質な人材を確保する上で必要不可欠な取り組みと言えるでしょう。
入社前のフォローが足りていない
新入社員と企業がうまくマッチしていたとしても、入社前後のサポートが不十分であると、新入社員の不安を増幅させる可能性があります。この不安は、職場環境や業務内容、人間関係など、新生活に対する期待と混ざり合って、新入社員の心を揺さぶることがあります。
さらに、入社前のサポートが充分に提供されなかった結果、新入社員が不安を解消できず、最悪の場合、早期退職を選択する可能性もあります。このようなケースは、企業にとっても新入社員にとっても損失となります。
「自分にピッタリの会社を見つけた」と自信をもって選んだ企業であっても、新入社員の多くは、未来の業務内容や人間関係について必ず不安を抱くものです。それは、新たな環境に飛び込むという挑戦そのものが、未知の領域に踏み出すことを意味するからです。
そのため、企業側は新入社員が内定辞退に至らないよう、入社前に十分なコミュニケーションを図ることが求められます。これには、例えば、懇親会を開くといった方法があります。これにより、新入社員は企業の雰囲気を肌で感じることができ、将来的な業務内容や人間関係について具体的なイメージを持つことができます。このような手段を通じて、企業は新入社員の不安を和らげ、彼らが安心して新生活をスタートできるようサポートするべきです。
新卒採用でのミスマッチが引き起こす企業へのデメリット3点
企業が新卒採用において学生とミスマッチを生じさせた場合、その結果として企業が抱える可能性のあるデメリットは何でしょうか。
以下では、ミスマッチが生じた際に考えられるデメリットを、経済的な損失、人的資源の浪費、そして職場環境への影響の観点から詳しく解説していきます。
採用コスト(お金・時間)の無駄
新たに社員を採用するとき、思いがけない採用ミスマッチが生じると、それが引き金となり社員が退職を選択することもあります。それが起こると、以下のような様々なコストが発生すると考えられます。
・社員が入社から退職までに受け取った給与
・採用プロセスに必要だった費用
・新たな社員の教育とトレーニングにかかった費用
・新たな補充人員を探すために必要な費用
このようなコストは、想像以上に大きなものとなります。株式会社エン・ジャパンが公表したデータによれば、新たに採用した社員が入社から3か月で退職を決意した場合、その損失は約187.5万円にも上ると言われています。さらに、1年間働いた後で退職すると、そのコストは約560万円、つまり前述の3倍に達することもあるとのことです。
また、採用した社員が期待通りのパフォーマンスを発揮できなかった場合、その人が活躍していれば得られたであろう利益、つまり「機会費用」も考慮に入れるべきです。
参考:なぜ人は辞めるのか? 退職を科学する | エン・ジャパン(en Japan)
人材が確保できない
早期退職が起こった場合、その原因としてミスマッチが挙げられます。この結果、組織には必要な労働力が不足するという問題が生じてしまいます。
この労働力の不足は、他の社員がその分の業務を引き受けることで表面的には解消されるかもしれません。しかし、ここで新たな問題が生まれます。それは、新たな人材を採用した際に、その教育に注ぐべきエネルギーが足りなくなるという事態です。
「業務の過重な負担」と「新規採用者への教育力の不足」、この二つが同時に発生することで、組織全体が悪循環に陥る恐れがあります。新たに採用された人材にとって、これらの状況は極めて不利な職場環境を作り出します。その結果、新人社員が早期に退職を選択する要因となってしまうことが考えられます。
離職率上昇が企業イメージを下げる
高い離職率を持つ企業は、学生や新卒者から見ると、ネガティブな印象を与えがちです。これは、「新入社員がすぐに退職するような企業には何か問題があるのではないか?」や「労働環境が良くないのではないか?」といった疑念を生むからです。そして、このような疑念が広がると、翌年度の求職者数が減少する可能性があります。
この状況は、企業が自身と相性の合わない人材を採用してしまった結果だけで生じることもあるのです。しかし、学生や新卒者は高い離職率を見て、「何かブラック企業的な事象が存在するのではないか?」と疑念を抱き、結果として応募を見送ることがあるのです。
さらに、高い離職率は求職者だけでなく、企業との関係を持つ取引先や顧客にも影響を及ぼす可能性があります。彼らは、「その企業は社員を大切にしていないのではないか?」という印象を持つかもしれません。これらの理由から、企業のイメージは離職率の高さによって大きく下がる可能性があると言えるでしょう。
新卒採用のミスマッチを解決するための3つの手法
新卒採用におけるミスマッチは、企業にとって非常に大きな問題です。これは、採用した新卒社員が思ったよりも仕事に適応できず、企業がかかった採用費用や人材育成の労力が無駄になってしまう事態を指します。また、新卒社員がうまく仕事に適応できないと、その負担は現場の先輩社員たちにも降りかかり、組織全体の負担増加につながります。
しかし、ミスマッチは必然ではありません。新卒採用におけるミスマッチを防ぐための有効な手段がいくつか存在します。今回は、その中から特に効果的な3つの方法をご紹介します。これらの方法は、学生へのフォローやアプローチの方法に着目しています。ミスマッチを減らすためには、学生と企業とのコミュニケーションが重要となるため、その具体的な手段を深堀していきたいと思います。
会社情報を全面的に公開する
求職者が自分に合う企業を見つけられるよう、あなたの会社の全ての情報を公開することが重要です。これにより、求職者が間違った判断を避けることができ、求人と求職者とのミスマッチを防ぐことが可能となります。
また、会社の課題や難点を公開することは、企業が率直に情報を伝える意欲があることを示し、求職者からの信頼を増やすことにつながります。
企業の採用サイトや求人広告を見直し、具体的にどのような業務を行っているのか、どのようなアプローチで仕事に取り組んでいるのか、求めるスキルレベルはどの程度なのか、給与や福利厚生といった条件、そして企業に入社することのメリットやデメリットなど、広範にわたる情報を提供しましょう。
さらに、会社情報を公開するための独自の手法として、説明会やインターンシップを積極的に実施することも効果的です。これにより、求職者が企業について深く理解する機会を増やすことができます。
説明会やインターンシップでは、業務内容を口頭で説明するだけでなく、実際に働く社員との対話の機会を設け、企業の雰囲気を直接感じてもらうことが重要です。
学生たちに説明会やインターンシップに参加してもらい、企業の状況を理解した上で面接に臨んでもらうことで、ミスマッチの可能性を軽減することができます。
面接や説明会でのエッセンシャルなポイントは、求職者からの難しい質問に対しても真摯に応えることです。これにより、企業の実情を包み隠さず伝えることができます。
企業のマイナス面を伝える際には、その問題をどのように解決していくかの施策も一緒に伝えることが重要です。
これらの改善策を伝えることで、求職者の不安を和らげ、志望度が下がらないようにすることができます。具体的にどのような手段を用いて問題を解決しているかを伝えることが求職者への安心感を提供します。
求める人物像を明確にする
企業が新卒者を採用する際には、求める人材の特性を具体的に定めて、人事部門全体で共有することが重要です。
採用基準が曖昧なままだと、面接を行う担当者によって評価のポイントが異なってしまい、その結果、求職者や面接官の数が多い場合には評価の一貫性が失われ、公平な採用が難しくなる可能性があります。
そういった事態を避けるために、全ての面接担当者が共有できる客観的な評価基準を作成し、それに基づいて企業の事業にマッチする人材を選び出すことが求められます。
何を基準に人材を選べば良いのか迷った場合には、現在の社員に性格診断を受けてもらい、その結果から社員の人格や仕事に対する意欲などのデータを取り出し、それをもとに自社に適した人物像を分析すると良いでしょう。
これにより、現在在籍している社員と性格が近い求職者を採用することで、「企業の文化と新入社員がうまく合わない」といった採用失敗を減らすことが可能となります。
新卒内定者とのコミュニケーションの場の設定をする
新入社員が抱く入社前後の大きな不安は、適切な対応がなされないと結果的に早期退職につながるリスクを高める可能性があります。そのため、新たに内定を出した学生に対しては、内定が出された後も継続的にコミュニケーションを取ることが重要となります。
内定辞退や短期離職を防ぐため、内定者との連絡を定期的に行い、彼らが感じる入社前の不安を解消するようなサポートが求められます。
可能であれば、内定者懇親会のようなイベントを設け、会社の雰囲気を直接体感してもらうことも、内定者の不安や疑問を払拭する上で有効です。
さらに、選考の過程で、「どのような環境であれば最もパフォーマンスを発揮できるか」、「自身のキャリアプランをどう設計しているか」、「何が苦手であるか」などを求職者自身に確認することも推奨されます。
ただし、これらの質問を直接聞くと、事前に準備した表面的な回答しか得られない可能性があります。そのため、これらの質問をする際は、採用ミスマッチを防ぐためにも、お互いにとってどのようなメリットがあるのかをあらかじめ伝えておくことで、より円滑なコミュニケーションが可能となります。
新卒採用におけるミスマッチ解消の他の方法
企業の実態を理解してもらったり、内定後や入社以降のサポートを提供したりするにもかかわらず、それでも何らかの理由でミスマッチが発生することがあります。
このミスマッチを解消するためには、他にどのような戦略を採用することができるのでしょうか。それらの手段を一緒に探求していきましょう。
OG/OB訪問の受け入れについて
「OG/OB訪問」という言葉を耳にしたことがありますか?これは、自分が関心を持っている業界や会社で働いている先輩のところを訪ね、その先輩から直接、本当の仕事内容や社内の雰囲気といった情報を得ることを指します。この情報を元に、自分が目指す業界や会社について深く理解することが目的となります。
もちろん、現代ではインターネットを利用して業界や企業の情報を集めることも可能です。しかし、実際にその場で働いている人から直接、仕事の現実や感じていることを聞く機会は、他のどのような方法にも代えられない価値ある経験と言えるでしょう。
職場での喜びや困難を実際に経験している人から直接聞くことで、業界や企業についてより深く理解するだけでなく、自分が働くイメージをより具体的に形成することができます。これが、自分にとって最適な職場選びへと繋がるのです。
実際、マイナビが2021年に新卒を対象に行った就職活動に関する調査では、就職活動を進める学生の約4分の1がOG/OB訪問の経験があり、訪問した先輩の平均人数は4.5人という結果が出ています。
OG/OB訪問を通じて得られる直接的でリアルな情報は、インターネットでは得られないものです。その情報を基に企業研究を進めることで、業界や企業と自身とのミスマッチを避けやすくなるでしょう。このOG/OB訪問は、自分の将来を見据えた有意義な活動と言えるでしょう。
性格診断を活用し、長期的に働き続ける人材か見極める
性格診断とは、個々の性格やパーソナリティを客観的に評価するための心理学的手段であり、企業における人材採用の一部として多く導入されています。具体的には、「自社の業務に対して積極的に取り組む意欲があるか」、「チームの中で円滑なコミュニケーションを維持できるか」など、応募者の性格や人間性を深く理解するためのツールとなります。
多数の企業が性格診断を新卒採用のプロセスの一部として活用していますが、その理由は候補者が自社の業務に適合しているかどうかを客観的に評価するためです。たとえば、企業内で優秀な成果を上げている社員Aがいた場合、人事部は社員Aと同じような能力やポテンシャルを持つ新卒生を採用したいと思うでしょう。性格診断の結果を活用することで、候補者の中から社員Aと似た性格や傾向、能力を持つ者を見つけ出すことが可能になるのです。
このように、性格診断は、企業内で活躍する社員と候補者の性格や傾向が一致しているかを評価し、企業と応募者の相性を測る重要な役割を果たします。その結果、企業と候補者の間のミスマッチを減らし、より適切な人材採用を実現することが出来るようになります。
メンター制度の導入について
メンター制度は、新入社員や若手社員が直属の上司とは違う、年功や社歴が近い先輩社員から具体的な支援を受けるための体制です。新人社員から見れば、これはまるで社内にいる理解者であり、兄や姉のような存在となります。
支援を行う先輩社員は「メンター」と呼ばれ、一方で支援を受ける若手社員は「メンティー」と呼ばれます。
近年、若手社員の退職率が上昇している要因の1つとして、「気軽に仕事の悩みを打ち明けられる先輩社員がいないこと」や「問題が起こったときに警鐘を鳴らすことが難しい環境であること」が挙げられます。
そして、年功序列が徐々に廃止されていく傾向の中で、新たに会社に入ってくる後輩や年下の社員に取り残されることへの恐怖から、新入社員や後輩に対して競争心を持つようになり、社員間の孤立化が進んでいます。
このような「打ち明けにくい雰囲気」や「社員の孤立化」の問題を解決するために、メンター制度は社内の人間関係を強化し、精神的なストレスを軽減する役割を果たします。これは、職場のミスマッチの解消は言うまでもなく、社内の活気付けや社員の満足度向上、さらには離職率の低下にも役立ちます。
まとめ
新入社員の採用において、彼らが会社や職場に馴染めない、いわゆる「ミスマッチ」は、待遇、企業文化等、多様な要素が原因となります。
ミスマッチを未然に防ぐための一般的な方策は、「企業について深く理解してもらう」ことです。これは、採用サイトや企業説明会を通じて、企業の情報を提供することはもちろん、職場での問題点や潜在的なデメリットなど、必ずしも好意的でない情報も共有することを含んでいます。こうすることで、求職者が自分自身の適性と企業の要求を比較し、より適切な判断を下すことが可能になります。これが、ミスマッチを防ぐ一助となるのです。
つまり、この記事を参考に、新たな視点で採用戦略を見直し、ミスマッチを防ぐための新たな手法を試してみましょう。